pHとpKa(片桐教授)

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 このブログの9月13日の江頭先生の記事で、pHの話題が出ました。今回はこのpHに類するpKaの説明で、このpHやpKaがエネルギーに比例する尺度であることを説明します。

 pHに類する概念として、かなり前のこのブログの「有機化学Ⅰ」の講義解説でpKaという酸性度を表す指数についてお話ししました。(http://blog.ac.eng.teu.ac.jp/blog/2015/11/-1pka-035c.html)。

 さて、pKaの定義を以下に示します。このようにしてみると、このpKaは[A ]という化学種のエネルギー的安定性(ポテンシャルエネルギー)を表現しています。このpKaはいろいろな操作で、そのH-Aという化学種のプロトン放出能を[A ]という化学種のエネルギー的安定性として表現しているわけです。

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つまり、平衡定数をエネルギーに換算するためにlogを使い、ポテンシャルエネルギーは値の小さい方が安定、大きい方が不安定だから、マイナスの符合を付けるわけですね。つまり、pKaもpHもそのポテンシャルエネルギーと比例する尺度です。

 これだけでは何だか良く分かりません。もう少し説明しますね。

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あなたが「サステイナブル工学」学ぶと何が変わるのか?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 さあさあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい。ここに取り出したるは東京工科大学の工学部。この工学部、工学部といってもそんじょそこらの工学部とはわけが違う。なんたって「サステイナブル工学」をやる工学部だ、てーんだからさあお立ち会い。

って、このテンションで続けるのもしんどいのでいつものスタイルに戻しましょう。

 「サステイナブル工学」は本学工学部が設立された際、工学部での教育の柱の一つとされたコンセプトです。従って、このブログでも「サステイナブル工学」については何度も取り上げていたのですが、よく考えると「高校生の皆さんの視点に立って『サステイナブル工学』を学ぶと何が変わるのか、どんなメリットがあるのか」を直接説明したことはなかったなあ、などと、ふと思ってしまったのです。

サステイナブル応用化学で扱う物質は分子から違うよ。なんたってサステイナブル炭素がサステイナブル骨格をつくってそこにサステイナブル水素が結合…

いや、そんなバカな。人がどんな教育を受けたとしても扱う物質に違いはありません。これは化学の、いや、科学の常識です。では、他の工学部では教えてくれない化学反応を教えてくれるのでしょうか。

今は昔、サステイナブル工学を志した学者達が八王子奥地のサステイナブル山の霊峰に閉じこもってはや100年。下界の喧噪を離れてひたすら研究に邁進して独自に作り上げたのが、このサステイナブル工学。専門家曰く約50年は進んだその威力をばご覧じろ…

とまあ、これもあり得ないですよね。

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リトマス試験紙とpH試験紙(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 酸と塩基、いやアルカリについて勉強したのは小学生の頃だったと思います。「リトマス試験紙」をつかって酸性は赤、アルカリ性は青、などなど。このリトマス試験紙というのが「色が変わる」のはもちろん、「赤と青でワンセット」とか、いかにも子供の好奇心をそそるような設定ですよね。(設定言うな!)「青いリトマス試験紙を酸に漬けて赤くすれば赤いリトマス試験紙の代わりになるのか?」などと考えたことを覚えています。

 酸性とアルカリ性と中性、小学生のころは単純で良かった。でも中学、高校と進むと酸性にもアルカリ性、いや塩基性にも程度があるよ、という話がでてきた。それが pH です。酸性とアルカリ性は「酸の素を含む」と「アルカリの素を含む」というよりも、「酸の素が多い」酸性と「酸の素が少ない」塩基性、と理解するべきだ。そして「酸の素」の正体は…酸素じゃないんですよね。

 結局「酸性」の指標は水素イオン濃度であり、その程度を表す数値としてpH、水素イオン指数が導入されているわけです。では、この水素イオン濃度は具体的にどのように測定するのか。その一つがリトマス試験紙の発展型であるpH試験紙です。

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指数とpH(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 指数って何だろう?そう思って調べると「不快指数」や「知能指数」といった何かの性質の程度を数字で表したものだ、という説明が見つかります。でも指数の用例はこれだけではありません。例えば「指数関数」で使われている指数という用語は何かの程度を表すものではありませんよね。

 指数にはもう一つ、102(10の二乗)の2、103(10の三乗)の3といったべき乗を表す数字、という意味があり、これを冪指数といって区別することもあるそうです。先ほどの指数関数は10やeなど、きまった数に対して与えられた数字を冪指数としたときの値を対応させる関数ですからこちらの意味での指数なわけです。

 などと考えていてふと気がついたのですがpH、つまり水素イオン指数の「指数」はどちらの意味の指数でも通じるのでは。いや、ちょっとまって。水素イオン指数の定義には「マイナス」がついているな。中性は水素イオン指数では7だけど水素イオン冪指数だと-7とすべきなのでしょうか。

 pHについてもう一つ疑問が。pHのpって何の略なのでしょうか?

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「People」「Prosperity」「Planet」あなたのどこに属していますか?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 サステイナブル工学や、その目標であるサステイナブル社会を説明するために下図のような三つPのバランスを表現した図が用いられることがあります。三つのPとは「People」「Prosperity」「Planet」のことです。( SDGs にまで視点を広げると「Peace」「Partnership」をいれた五つのPになりますね。)すべての人々は「People」「Prosperity」「Planet」という三つの価値のために働いていることを意識せよ、ということなのですが、今回は少し変わった質問をしてみましょう。あなた自身は三つのPのどこに属しているでしょうか?

 まずは「People」。このブログを読んでいる以上、読者のあなたは確実に「People」の一員です。そのうち「いえ、私はAIです」なんて読者が現れる可能性はありますが、2021年9月の時点では大丈夫かと。

 では「Planet」はどうでしょうか。人間だって自然の一部なんだ、生きているんだ、友達なんだ、という視点にたてば人間も「Planet」の一部かも。でもわざわざ「People」と対峙させられている項目なのですから人間は属さない、と解釈するべきではないでしょうか。

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バスの発着所がやってきた!(江頭教授)

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 我々東京工科大学工学部応用化学科の研究室は本学八王子キャンパスの正門近くにある片柳研究棟という建物の中に入っています。下の写真の左側に移っているのがその片柳研究棟の西側の側面です。最近、その辺りの広場に本学のスクールバスが集まっています。夜になるとここがバスの駐車場となってはいるのですが朝の時間帯にこれは一体…。

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バスが止まっているところに何か標識が…。

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鍋の「効率」はどのくらい(江頭教授)

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 エアコンの効率とかならわかるけど「鍋」の効率って何?と思った方もいるかも。これは私が以前授業で行っていたデモ実験のお話しです。

 教室に鍋とカセットコンロを持ち込んで、実際にお湯を沸かしてみせる訳ですが、それだけでは意味が無いですよね。お湯を沸かす前後でカセットコンロのカセットの重さを量ってガスの消費量を計る、というのがこのデモのポイントです。カセットに入っているのはブタンガス。その完全燃焼を仮定すればその燃焼熱を求める事ができる。それに対して鍋のお湯を沸かすために必要な熱量はどのくらいか。沸騰させなければ水の比熱と室温と水の沸点(100℃)との差、そして水の量から計算することができます。

 授業の本来の目的は、このような方法で「お湯」を製造(?)するとき、どのくらいのコストがかかるか、を計算することです。実際計算すると水道水のコストやカセットコンロ、鍋の減価償却などを抑えてカセットの値段がダントツ。使った分だけの比率で計算しても、この燃料の費用が圧倒的なのです。これを受けてコストダウンをするにはどこに注目するべきかを明らかにすることが肝心ですよね、というお話しをします。

 さて、実際に普通サイズの鍋で1Lのお湯を沸かしたとき、この効率は40%程度になりました。

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日本の人口は世界で11位ですが(江頭教授)

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 昨日の記事で日本の人口が世界で11位だ、ということを紹介しました。では他の指標ではどうなのでしょう?

 まず国土面積。1位がロシア、2位はカナダ、3位アメリカ、4位中国、5位ブラジル、6位オーストラリア、7位インド、ということで中国、インド、アメリカ、ブラジル、ロシアといった人口の多い国が数多くでてきます。そんな中で日本はずっと下位で60位くらいだとか。小さな国にたくさんの国民が住んでいる国なのですね。

 では二酸化炭素の排出量はどうでしょうか。中国が1位、アメリカ、インド、ロシアと続いて日本は第5位です。日本より排出量の多い4カ国はすべて人口10位以上の人口大国なのですが、逆に日本より人口が多くても二酸化炭素排出量が少ない国が6カ国はあるわけで、人口11位の国にしては日本の排出量は大きいのですね。

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出典)全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(https://www.jccca.org/)より

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日本の人口が世界で11位になっていた(江頭教授)

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 日本や世界の統計について、細かい数字を覚えていることは難しいのですが大体の値を頭に入れているといろいろと便利です。東京の人口は約一千万人。日本の人口は約一億人、もうちょっと正確には一億二千万人、世界の人口は77億人。日本のGDPは約500兆円などなど。

 そんな豆知識の中に「日本の人口は世界の10位」というのがありました。ありました、と過去形なのは表題のとおり最近順位が変わったことに気がついた、ということなのです。

 wikipediaには「国の人口順リスト」という項目があり、現在(2021/09/06)確認すると日本の順位は確かに11位。日本を抜いて10位になったのはメキシコでした。総務省統計局の「世界の統計」2021を見てみましょう。「主要国の人口の推移(2011~2020年)」という表では2020年の人口は日本が1.253億人、メキシコが1.289億人で、確かにメキシコに追い抜かれています。じつは2019年の段階で日本1.262億人、メキシコが1.276億人で、すでに追い抜かれていたのですね。どうやら私は情報のアップデートができていなかったようです。

Hyousyoudai

 

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寒い!(江頭教授)

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 9月に入って夏も終わり、ということなのでしょうか。ここ八王子は、今までの暑さが嘘のように急に涼しく、いや寒くなりました。9月1日の最高気温が22℃、2日は20℃を割って19.7℃という有様。いくら何でもこの変化はおかしい、やはり地球温暖化による異常気象なのか、などと考える前にここはアメダスの過去のデータを確認してみましょう。

 まず9月の気温はどの程度なのでしょうか。アメダスでは観測地点ごとに1977年からのいろいろな気象データの月ごとの最大値、最小値が示されています。9月の平均気温の最大値は1999年の24.6℃、最小値は1981年の20.4℃となっています。最高気温は39.2℃(1984年)から14.2℃(1980年)なので9月は夏から秋への季節の変わり目で温度の変化幅の大きな月なのが分かります。

 なるほど、さほど驚くことではないのかな、というわけではありません。9月は前半が暑くてだんだん涼しくなるはず。やはり9月1日、2日で20℃くらい、というのはどうなんだろう。

Sick_samuke

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