「人口論」と「成長の限界」(江頭教授)

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 昨日の記事ではマルサスの「人口論」について紹介しました。「人口増加は幾何級数的」であるから、食糧生産の限界によって必然的に飢餓をもたらす、という内容は、実は1972年出版の「成長の限界」とよく似た部分があると思います。と言うか「人口論」は「成長の限界」よりずっと以前に書かれているので「成長の限界」が「人口論」を前提としているのですね。

 両者に共通するのは「幾何級数的」あるいは同じ事ですが「指数関数的」な成長の特徴、というか恐ろしさでしょう。「人口論」では人口が単体で議論されますが、「成長の限界」では人口に工業生産を含めた文明の規模が対象となっています。いずれも「幾何級数的」「指数関数的」に成長する特性を持っていて、早晩限界に到達する。野放図に成長がつづけば、それが限界に達したとき、悲劇的な形、具体的には多くの人の死、という形で成長が抑えられることになる。この議論はどちらの書物にも共通しています。

 では「成長の限界」はどこが新しかったのでしょうか?

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国連食糧計画(WFP)が作成したハンガーマップ(世界のどこで飢餓が深刻なのか、を示した世界地図)です。世界では8億人以上の人が飢餓に苦しんでいます。

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書評 マルサス 「人口論」 (光文社古典新訳文庫)(江頭教授)

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 「人口論」は18世紀の英国の経済学者、トマス・ロバート・マルサスによる古典的な書物です。原著は1798年に英語で書かれた書物ですが、日本語にも翻訳されており、吉田秀夫氏による1948年の翻訳版は青空文庫で無料で読むことができます(全部ではありませんが)。今回紹介するのは2011年に光文社から斉藤 悦則氏による翻訳で 「光文社古典新訳文庫」の一つとして出版されたもので、私はその電子書籍版を読みました。「新訳文庫」とタイトルにある通り、より現代的な訳文で読みやすくなっています。

 「人口論」の第一章で著者のマルサスは以下の二つを前提として議論を進めるとしています。

第一に、食糧は人間の生存にとって不可欠である。

第二に、男女間の性欲は必然であり、ほぼ現状のまま将来も存続する。

(「性欲」って...。1948年版の翻訳では「情欲」となっていてなかなかの品格なのですが、まあ、新訳の方が分かりやすいですね。)

 さて、この前提からマルサスは

人口は、何の抑制もなければ、等比級数的に増加する。

と結論します。それに対して

生活物資は等差級数的にしか増加しない。

といいます。前後の文脈から「生活物資」は食糧を意味しているとみなして良いでしょう。

 この二つの条件から人間の社会で飢餓が無くなることはない、全ての人が豊かに暮らせる理想的な社会が到来する(「人間と社会の完成」と表現されています)ことは不可能だ、と述べているのです。

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今日から期末試験(江頭教授)

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 昨日、1月21日は2018年度の最後の授業日でした。1月14日が「成人の日」でお休みだったため、一週繰り越しての授業最終日でした。

 というわけで今日からは期末試験がスタートします。期間は1週間。普通の授業と同じペースで試験があるのですが、試験をしない授業もありますし(体育とか)、授業内で試験を終わらせている授業もありますから、そこまで過密スケジュールという訳ではありません。

 また、試験の時間は1時間。通常の授業は90分なので、30分短くなっています。これに対応して試験期間中は休み時間も少し長く取れるようになっています。

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書評「マイケル・サンデルの白熱教室2018」(江頭教授)

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 書評とは少し違うかも知れませんが、今回は「マイケル・サンデルの白熱教室2018」について書いてみたいと思います。私が見たのは今年(2019年)のお正月にやっていた再放送で、本放送は2018年の6月から行われていたようです。

 さて、「マイケル・サンデルの白熱教室」、2018とついている様に以前から続いている番組の最新版です。最初の「白熱教室」の放送は2010年だったでしょうか。講堂一杯の学生と討論形式で進めるという授業形式はなかなか高度なもので、私の周りでも話題になった記憶があります。

「なるほど...。君の名前は。」

というサンデル教授のものまねが流行っていたような。

 さて、2010年の「白熱教室」は大学(ハーバード)の講義でしたから対象者は学生。2018では「世界の若者たち」という括りで背景の異なるいろいろな人たちが参加しています。もちろん、流ちょうに英語を操れることは必須ですし、その上で場所が非英語圏のギリシャの遺跡と設定されていることから非常に偏った人選となることは致し方ないでしょう。世界の、という割りに日本人は1人もいませんし、インドの農民や中国共産党の若手幹部の姿も見えません。それにプラスして「若者」という方にも疑問が。30代後半って若者なんでしょうか?

 こうなると、今回の議論に参加している「世界の若者たち」はかなり偏った構成になっていて、欧米の高度な教育を受けて非常に成功した、しかも高齢化の進んだコミュニティのメンバーだ、ということがいやが上にも意識されてしまいます。

 要するに恵まれすぎるほどに恵まれている人たち。ハーバード大学の講義であった最初の「白熱教室」ならこのような偏りも織り込み済みです。「正義論」は社会のリーダー層にむけた教養として教えられている。2018年版も同じ前提を共有しているのですが、この番組を作成した人たちはその点について意識的だったのでしょうか。

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今日は補講日(江頭教授)

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お正月休みが終わって今日でちょうど一週間になりました。今週で金曜日の授業は終了です。

と、書いたのが先週の金曜日。なのですが、今日は授業が予定されています。そうです、本日は後期の「補講日」に当てられているのです。

 補講というのは本来予定していた授業ができなくなった場合、その時間に行う予定だった授業を別の日にやり直す、ということです。(成績不振の人に向けた授業は補習ですね。)多くの場合は教授が都合で授業をできない、という理由で補講となります。小中学校、あるいは高校でも先生が都合で授業を休むということはほとんど無いと思います。ただ、大学の教授は時として授業を休まないとならないケースがあるのです。大学教員の責務は教育と研究の両方ですから、研究の関係で授業に出られない、というのが多いですね。

 今日は私自身も補講をすることになりました。学会の会議に出席するため一回休講にしていたのです。月曜日の授業を補講に回したので今日金曜日に授業をして来週の月曜日にまた授業、というちょっと慌ただしい学期末になってしまいました。

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サステイナブル工学プロジェクト演習最終発表本選(江頭教授)

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 「サステイナブル工学プロジェクト演習」、先日その最終報告会の予選について紹介しましたが、今回は本選についての紹介です。

 昨日、16日には半年、というか後期15回の授業の最終回として「最終報告会」の本選が開催されました。本選、とあるのは先週予選を行い選抜された班による発表会であること(これは本選の本の部分)と、今回の選ばれた班が学部長賞で表彰されること(これが本選の選の部分)によります。

  「サステイナブル工学プロジェクト演習」は本学工学部の3年生によるグループワーク形式の授業です。特徴としては3学科合同の授業であること。異なる学科の学生が集まってグループワークを行うことになっています。三学科合同で約300人、通常授業は二クラスに別れ、各27班でのグループワークとなります。

 予選では全54班がグループワークの成果を8会場に分かれて発表し、その中から10班が今回の本選に進みました。

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「研究室配属に関する説明会」を開催しました。(江頭教授)

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 そうか、今のうちに4年生から始まる卒業研究を行う研究室を決めないとね。授業が終わって春休みになってからだと説明会を行うタイミングが難しいからいっそ試験期間の前に、という訳か。

 ええ確かに。でも実はこの説明会、2年生向けなのです。

 応用化学科では2年生で研究室に配属されます。でも配属されるのは2年生の3月30日。その2日後には3年生になりますから、実質的には3年生の初めからの配属となります。

 「えっ?3年の初めって早くない?」その通りですね。実はこれ、本学工学部の特徴であるコーオプ教育との関係で決まりました。応用化学科の学制諸君は3年の前期にコーオプ実習として学外での研修を行うことになります。従って、3年前期、学生諸君は大学から離れて学外に出る時間が長くなります。早期の配属を行うとしたら3年前期には無理。夏休みを過ぎれば3年後期になってしまいます。ということで、少々早いですが2年後期末のこの時期に説明会となったのです。

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プラスチックのいろいろなリサイクル(江頭教授)

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 プラスチックのリサイクルについて、以下の様な話を聞いたことはありませんか?

 プラスチックは石油からつくるけれど石油のほとんどは燃料として利用されている。プラスチックのリサイクルをしても節約できるのは石油なのだから、プラスチックをリサイクルするのはやめて燃料として燃やせば良いのでは。

なるほど、一理ありそうです。でも「プラスチック循環利用協会」の資料をみるとプラスチックのリサイクル率(おっと、正確には有効利用率です。この点は後述。)は2016年の統計で84%に達していると言います。やっぱりプラスチックはリサイクルすべきなのでしょうか。それとも日本はリサイクルを重視しすぎて間違った選択をしているのでしょうか。

 答えは「リサイクル」という言葉の定義に関わっています。普通「リサイクル」という言葉を使うとき私たちが想像するのは「使用済みのPETボトルをそのままPETボトルとして利用する」というイメージではないでしょうか。例えば「リサイクルショップ」という言葉で使われている「リサイクル」は確かにこのような意味だと思います。でもこれ、正確には「リユース」ですよね。(「リユースショップ」と言うべきかな、と思って検索したら本当にあるんですね。こういう名前。)

 「リサイクル」という言葉をリユースと区別するなら、「使用済みPETボトルを溶かしてもう一度PETボトルを新しく作り直す」という意味でしょうか。でも、使用済みのPETボトルにはどうしても不純物が入り込むので、このような「リサイクル」を実現するのはきわめて困難です。実のところPETボトルに限定するなら可能なのですが、他のプラスチックが混ざってしまった場合PETボトルの成分だけを分離してリサイクルするのは非現実的です。

 このように厳密な意味でリサイクルを考えると84%がリサイクルされているというデータはにわかには信じがたいことに思えます。

 さてこの問題、ポイントは「リサイクル」という用語に「もとのプラスチック製品以外のものとして再利用する」という方法が含まれている、という点にあります。

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プラスチック循環利用協会「プラスチックリサイクルの基礎知識2018」より。

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三角関数で関数の概念を学んだ!(江頭教授)

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 「三角関数を義務教育で教えるべきか」という議論が一部で盛り上がっていたそうですが、今回はそれに便乗してみましょう。

 私も中学時代に三角関数を習ったわけですが、その際に三角関数の加法定理を習って、それを暗記させられた記憶があります。「サインコサイン、コサインサイン、コサインコサイン、サインサイン」なんて唱えながら覚えたものです。あと「プラプラ、マイマイ、プラマイ、マイプラ」ですね。

 そんなことをしながらふと思いました。

「どうしてこんなにややこしいのだろう?」「sin(α+β)=sin(α)+sin(β)ではなぜいけないのだろう?」

 そこまで考えて突然理解しました。

「sin(α+β)=sin(α)+sin(β)となる関数を考えてもよいが、それは実際の三角形とは無関係な何かになってしまう。関数と関数につける名前は別のもの。関数の名前は人間が勝手につけたものだが、関数にはそれ自体の本質があって、人間が自由に変えることはできないのだ。」

何を当たり前の事を、と思われるかもしれません。しかし私にとっては、人間が変更することのできない数学的な真実というものの存在がすっと腹に落ちた瞬間だったのです。

 私の場合はその後の進路から三角関数を使う側の人間になったのですが、たとえそれがなかったとしても、この関数についての理解、もっと言えば数学についての理解は非常に重要だったのではないかと思います。でも、数学の教科書を作っている人たちも私の通っていた中学の数学の先生も別に「加法定理で数学の神髄を教えてやろう!」と思っていたわけではないでしょう。三角関数以外の部分で同様の理解に達した人もたくさんいたと思います。

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(三角関数の加法定理:Wikpediaより。普通上の二つ、sinとcosを加法定理と呼ぶと思います。)

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金曜日の授業は今日で終了です(江頭教授)

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 お正月休みが終わって今日でちょうど一週間になりました。今週で金曜日の授業は終了です。

 えっ、もう冬学期が終わり?試験が終わればお休みなんだ!

 いえいえ、残念ながら終わるのは「金曜日」の授業です。正確には水曜日から金曜日の授業が終了するということです。火曜日の授業は来週まで。来週の月曜日が休日なので月曜日の授業は再来週まで開講されています。もっと言うと来週の金曜日は何かの都合でできなかった授業のための補講日となっています。結局、冬学期の授業終了は1月21日の月曜日となります。

 その後、1週間の試験期間があり、その予備日まで含めると冬学期の授業期間の本当の終わりは2月1日です。

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