それでもあなたは間違っているー物質収支のはなし(江頭教授)

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 学生実験で「蒸留」の実験をしている、という話はずいぶん前のこちらの記事で紹介しています。実はその後の見直しで一時中断していたのですが、今年度から再開しています。

 さて、この実験ではエタノールと水を混ぜて図のような装置によって蒸留を行い、得られるエタノールの純度と回収率とを求めるという内容なのですが、同時に物質収支についても検討してもらう事にしています。

 「物質収支」という言葉を聞いたことがない人も多いかと思います。文字どおり「物質」の「収支」のことで、マテリアルバランスと言ったほうがピンとくるでしょうか。

 今回の実験では「三口フラスコに入れたエタノールと水の混合液」の量(質量です)が「蒸留された溶液」と「三口フラスコに残った溶液」の質量の和に等しいか、という確認。さらにエタノールのみに注目して「入れたエタノール」が「出てきたエタノール」と「残ったエタノール」の和になっているかも確認することになっています。

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そろそろ来年の時間割の話をしよう(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 来年の話をすると鬼が笑う、と言いますがこちらは鬼が大爆笑しそうな来年度、つまり2021年4月からの時間割のお話しです。

 本学の工学部は2015年の開設です。私もその時からこの大学にいたので、時間割がまさにゼロから作られていく過程を目撃しました。まず最初の年度は1年生しかいませんから時間割の調整も比較的簡単。2年度目でもまだ余裕。などと思っていると3年度目の時間割は結構大変なことに。

 はじめのうちは、朝1限はなるべきはずそう、せっかく大学に来ているなら空き時間をなくそう、などといろいろ学生さんに配慮した時間割が組まれていたのです。でも、3年度目になると必要な授業を巧く配置すること自体が難しいパズルの様に。教員への配慮も無くなって、私は月曜1限から5限までぎっしり埋まる、という時間割になってしまいました。

 とは言え、これは3年度目がクライマックスで4年度目になるころには一段落。大学の4年生は基本的に卒業研究が中心となるので時間割の設計は実質的には3年度目で終了しているのです。

 さて、開設4年目で時間割は完成。あとはそのままか、というとそんな事はありません。

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耳の痛いマスクのはなし(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 マスクについて「不都合な真実」的な何かをお話ししようという訳ではありません。本当に、物理的に、生理的に「耳」が痛い、というお話です。

 わたしはそもそも眼鏡着用者なのでコロナ騒動以前から耳、というか耳の付け根にそれなりの負担をかけて生活していました。年度末など忙しい時には「眼鏡の蔓が痛い」と感じることもしばしば。これにマスクのひもがプラスされたのですからもういけない。慢性的な耳の痛みを感じるようになりました。

 ところがこれが終わりではなかったのです。このブログでも何回か触れてきたのですがこの冬学期(正確には後期ですね)から「対面授業、ただし遠隔受講化」というスタイルの授業をいくつか始めたのですが、その際に耳にかけるタイプのヘッドセットを用いることに。ヘッドセットとしての性能には満足しているのですが、これも耳に負担がかかるのです。

 さて、困った。どうしたものか?

 

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期末試験のこと (江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 私のところに大学の学務課から「【八王子キャンパス】2020後期 定期試験時間割(案) 確認のお願い」というメールが届きました。そうです、期末試験の時間割についての連絡がきた、つまり本学では後期の定期試験を行う、ということです。

 いや、大学で試験があるのは当たり前だろう。

 それはそうなのですが、前期は授業がオンライン化されていたために定期試験を実施できなかったのです。試験では本人確認が必要ですし、カンニング対策も重要です。これをオンラインで行うというのは(原理的にはいろいろな方法が考えられると思いますが)実際には困難だ、という判断で前期は試験なし、ということになりました。

 当然「【八王子キャンパス】2020前期 定期試験時間割(案) 確認のお願い」というメールが来ることはなかったのですが、後期は対面授業となった科目も多く、それらの授業では試験を実施することもできる様になったということです。

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IoT ( Internet of Trees ) について(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 前回の記事ではIoT(Interenet of Things)の森林版として IoT 、Interenet of Trees という名前を出したのですが、これは単なる思い付きの命名、まあ駄洒落のようなものです。でも書き終わった後にもしやと思って調べると、なんと真面目にこのInterenet of Trees、IoTrees の研究をした組織があるのですね。

 下図がそのIoTreesのホームページ。esaのWebサイトの一部です。で、esaって何でしょう?これは欧州宇宙機関( European Space Agency )のことでEU版NASA、というかEU版JAXAのようなものでしょう。IoTreesの内容は前回の記事で私が書いた内容とほぼ同じ。とくに樹木に取り付けるセンサーとしてデンドロメータを選んでいるあたり、わかってらっしゃる、とい感じです。
 宇宙機関のプロジェクトということですので、デンドロメータのデータは衛星通信をつかってクラウドに送られるとか。たしかに人口密度の低い地域の広大な森林をモニタリングするならその方法が有効ですよね。

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樹液流センサーの未来(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 前回の記事では樹液流センサー、つまり伝熱現象を利用して樹木の中を流れる水の速さを測定するセンサーの、とくにグラニエセンサーについて紹介しました。今回は想像の羽を広げてこの樹液流センサーが今後、どのように使われてゆくかを思い描いてみましょう。

 現在、樹液流センサーの利用目的としては一部農業分野での利用(灌漑の計画など)も挙げられていますが、それ以外は研究目的での利用が想定されています。とはいえ、将来的、それもごく近い将来にIoT(Interenet of Things)のネットワークが構築されたとき、その中に樹木も含まれているべきでしょう。これもまたもう一つの IoT 、Interenet of Trees ですね。

 日本の国土の3分の2を占める森林が IoT から外れていて良いわけはありません。日本の森林がどのような状態なのか。例えば今現在どのぐらいの二酸化炭素が固定されているのか。今日は固定が進んでいるのか、放出が優勢なのか。去年からどのくらい増えて、来年はどのくらい増えそうなのか。などなど、日本全国津々浦々の木々にたくさんのセンサーが取り付けられて日本の森林の健康状態がリアルタイムで把握できるような世界、それが Interenet of Trees の世界です。どこかの森林の成長が悪い。だとしたらそれはその森だけの話なのか、近隣の状態はどうなっているのか。限られた人手で森林を管理し続けるには必要な投資でしょう。

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樹液流センサーのこと(江頭教授)

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 私は乾燥地植林に関する研究を行っていますが、その時いつも問題になるのがどこから水を調達するのか、調達された水はどの程度有効に使われるのか、といった水に関する情報です。特に樹木がどれだけの水を利用するのか、は重要な情報なのですがこれはそう簡単に知ることができません。

 さて、この樹木が利用する水についての情報を与えてくれる「樹液流センサー」、つまり樹液の流れを計るためのセンサーはいろいろな種類があります。そのどれもが水の流れと伝熱との相互作用を利用していますが、もっともシンプルなのが発熱するヒーターを樹木の中に埋め込んでその温度を測定するタイプ。ヒーターの温度は流れた止まっているとき最も高くなるのですが、樹液が流れると、そしてその流れが早いほどヒーターは冷却されて温度が下がる。その下がり方を測定することで樹液流を測定するのです。

 実際のセンサーはヒーターだけでなく、基準となる周辺の温度を測定するためのプローブが必要で、樹木に2本の針状のプローブを埋め込んだ形となります。このタイプのセンサーは開発者の名前をとってグラニエセンサーと呼ばれています。シンプルでありながら信頼性が高いことがメリットです。

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 上の写真は実際にこのタイプのセンサーを取り付けたところ。3組のセンサーを取り付けたので合計6本のプローブが樹木に埋め込まれています。

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板書には iPad + Apple Pencil が最高な件(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 板書って、iPad は黒板の代わりにはならないでしょう。

 それはそうですね。実は今回のお話しは「対面授業、ただし遠隔受講可」の授業についてのお話しです。本学では対面授業を重視していますが、学生個々人の異なる状況に配慮して遠隔受講も可能とする、という取り組みをしています(こちらの記事をご覧ください)。理屈はその通りだとしてどのように実践するのか、ということで対面の授業をしながら配信もする、という授業の実施方法についても検討しました(詳細はこちらの記事に)。

 授業を配信する場合、そのまま「授業を配信する」と考えると難しい。逆に「オンライン授業を対面で実施する」と考えればやりやすいのでは、と考えました。でも今までの対面授業の中でどうしてもやり続けたいことがある。私にとっては黒板に板書することがそれでした。自分の授業の中で定番になっていて、これをオンラインでやるにはどうするべきか、というのが課題になったのです。

 ビデオカメラで黒板を写す。これが一番単純な発想なのですが、この場合文字はそれなりに大きく書かなくてはなりません。それに受け手の学生さんの状況によっては充分な解像度の映像が送られるかどうか分かりません。

 ならば、PCの画面上に文字や図形を書いてその画面を授業の参加者と共有したらどうだろう。マウスで文字や図形を書くのは難し過ぎるからペンタブレット(PCに接続する入力装置で、ペンを利用するもの)で書けば良いのでは。

 なるほどこれなら「板書」をきれいな映像で発信できそうだ、と思ったのですがペンタブレットというものはキーボードの様にPCの前にどっしりと腰を落ち着けて操作するものなんですよね。これでは、チョーク一本で黒板に線を書き足して行く様な、今までの感覚とはほど遠いものになりそうです。

 ならペンタブレットじゃなくて普通のタブレットなら良いのでは。タブレット自体をネットにつないで、そこから発信するということで。これなら片手にタブレットを、もう一方の手でペンを持ちながらスクリーンの前で説明しながら絵や式を書くことができそう。

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「単位を取るために大学を出」る人なんているのかな?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 政治向きのはなしはこのブログにはふさわしくないというのは重々承知しているのですが、大学に籍を置くものとしては一言言わねばなりますまい。少し前のニュースですが、静岡県知事が日本学術会議問題で菅総理を「教養レベルが露見した」と痛烈に批判というのです。それだけなら、そんな話があったのですね、ぐらいなのですがその時の知事の言葉として

「菅義偉さんは (中略) 学問された人ではないですね。単位を取るために大学を出られたのじゃないかと思います」

との発言が紹介されていたのです。

 いや、いくら何でもそんな人はいないでしょう。普通の人は「大学を出るために単位を取る」のではないでしょうか。あるいは「学位をとるために大学に入る」のでは。純粋に単位をとることを喜びとする人がもし居たとしたら、それはそれで(学問ではないかもしれませんが)何かを極めた人物だと思います。でも、それにしたって大学を出ちゃだめでしょう。大学に入らなくちゃ単位はとれない。

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「第2回大学院フェスティバル」が開催されました(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 皆さんの中で「大学院フェスティバル」という言葉を聞いたことがある人は少ないのではないでしょうか?少なくとも私はこのイベントではじめて聞きました。本学の大学院のイベントですが対象者は本学の学部学生。大学院生が学部生に向けて自分がどんな研究をしているのかを紹介する、それがイベントのメインです。

 我々応用化学科の学生が大学院に進学する際、普通は「サステイナブル工学専攻」となります。「応用化学専攻」ではないのですね。「サステイナブル工学専攻」は「工学部」とは異なって学科ごとの運営ではありませんから、この大学院フェスティバルというイベントも応用化学に限定されずにいろいろな専門の学生さんが参加することとなります。

 実はこのイベントが開催されたのは今年で2回目。昨年度は対面で行っていたのですが、今年はご多分に漏れずオンラインで開催となりました。

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