植物からPETボトルを作る技術(江頭教授)

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 先日の記事ではサントリーの環境への取り組み、「ペットボトルの100%サステナブル化」のお話しを紹介しました。まずペットボトルのリサイクルが一つ、もう一つは植物由来素材のみを使用してペットボトルをつくる、という取り組み。この二つを合わせて「100%サステイナブル化」と呼ぶのだそうです。

 リサイクルと並んで「植物由来素材」がキーワードとなっているのですが、これはどういう内容なのでしょうか。まず、石油由来ではなく、再生可能な資源だ、というのはわかりますね。では具体的にはどんな植物から何をつくるのつもりなのでしょうか。

 ペットボトルの「ペット」はポリエチレンテレフタレート( polyethylene terephthalate )のこと。なんか「ポリエチレン」とついているので「ポリエチレンをテレフタル化したもの」みたいに感じますが、本当はエチレングリコールとテレフタル酸がエステル結合してできるポリマーなので「ポリーエチレンテレフタレート」と「ポリ」で区切るほうが感じがでます。

 余談はともかく、「ペット」の原料であるエチレングリコールやテレフタル酸を分泌する植物があるのでしょうか?エチレングリコールが含まれている樹液(甘そう)が採れる木とか、テレフタル酸をたっぷり含んだ果実(これは酸っぱいに違いない)が実る木とか。世界は広いのでそいういう植物もあるかもしれませんが、どうやらここで考えられているプロセスは別のものの様です。

 サントリーグループ「プラスチック基本方針」を説明するWEBページでは「2030年までにグローバルで使用する全ペットボトルの100%サステナブル化を目指します」として題してこの「ペットボトルの100%サステナブル化」が説明されています。その中で「米国バイオ化学ベンチャー企業・アネロテック社」と共同研究をして「ペットボトルを含むその他一般のプラスチックを、直接モノマーを含む基礎化学品(ベンゼン・トルエン・キシレン・エチレン・プロピレンなど)に戻すケミカルリサイクルの技術」の可能性を見出した、としています。


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今日から授業再開です(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 授業再開とは、ちとオーバーな。連休がおわって授業がまた始まるというだけでしょう。

 はい、それはそうなのですが2021年5月の連休明けには少し違った意味合いがあるのです。皆さんご存じの通り、現在東京都には緊急事態宣言が出されています。本日、5月6日から本学はこの緊急事態宣言に対応した授業形態に移行するのです。

 本学は2021年の新年度から、本格的な対面授業を再開しました。ですがこの事態の急変を受けて方向転換することとなりました。実験、演習など対面でしか実施できない一部の授業を除いて大幅にオンライン授業への切換を行います。その初日が今日、連休明けの木曜日というわけです。これから1週間、学生の皆さんも我々教員も巧くオンライン対応ができるか、神経を使う一週間になりそうです。

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スマホか携帯か?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 先日の記事(「続・パソコンかスマホか?」)で総務省の令和2年版「情報通信白書」から情報通信機器の世帯保有率の推移のデータを紹介したのですが、同じ「情報通信白書」に面白いデータを見つけたので紹介しましょう。今回のタイトルのとおり、スマホと携帯、どちらを使っているのか、という調査です。

 「ガラケー」つまり「ガラパゴス携帯」と揶揄されるほどに従来の携帯電話は時代遅れなものと認識されていると思います。だとすれば携帯の利用者は凄く少ない様に思うのですが、これが意外や意外、2019年度のデータでも24.1%、およそ4人に一人が携帯電話を使っているというのです。

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江頭2:50さん休業と聞いて(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 この学科ブログに私的なことを書くのは気が引けますが、これには一言コメントしておきたくなりました。まあゴールデンウィーク中の一回ということでお許しを。

 タレントの江頭2:50さんが活動休止を発表したとか。体調を崩したそうで「体にガタがきた」とのコメントが。で、報道の中で驚いたのが江頭2:50(55)という記述。彼は55歳だったんですね。55歳であのルックス、あのバイタリティ、いやー若かいなあ。私が今58歳なので3歳ぐらい若いのだけなのです。3年前の自分にあれは無理だなあ。

 なんで江頭2:50さんがそんなに気になるかって?お気づきの方もいるかもしれませんが、この記事を書いている私は「東京工科大学 工学部 応用化学科 教授 江頭 靖幸」なんです。私も「江頭」姓なんですよね。

 「江頭」というのはそれほど多い姓ではないと思います。でも親族でも知り合いでもない「江頭」という名前を時々見ることがあります。私自身は子供のころ強烈な「江頭」体験があるのです。

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サントリーグループの目指す「ペットボトルの100%サステナブル化」のこと(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 少し前の話になりますが本学のバーチャルオープンキャンパス用に作製された、東京工科大学のSDGsに対する取り組みに関する動画「SDGs×東京工科大学 ~2030年への挑戦~」でのトークに参加しました。その際、司会進行(ファシリテーター)を担当してくれた竹下隆一郎氏(ハフポスト日本版の編集長)から振られたのが、このサントリーグループが発表した「ペットボトルの100%サステナブル化」の話題でした。

 この計画、具体的な内容は

リサイクル素材あるいは植物由来素材のみを使用し、化石由来原料の新規使用をゼロにすることで、100%サステナブル化を目指します。

とされています。「化石由来原料の新規使用」をゼロにすることが100%サステイナブル化だ、としている訳ですね。この言い回しには、例えば

1)素材以外の化石資源の利用(例えば火力発電の電気を利用した加工など)はあり

2)石油から作られたPETボトルをリサイクルするのはあり

という前提があるのでしょう。もちろん、1)や2)が特に問題だということはありません。

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続・パソコンかスマホか?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 むかし「笑ってお仕事。」というCMがありました。マイクロソフト社が Poor man's Mac (貧乏人のMac)、じゃなかった、Windowsを発売したときのCMで、私は「何て趣味の悪いCMなんだ」と思ったものです。とはいえ今でも覚えているほどの印象を残したということはCMとしては成功しているのかも知れませんね。

 それはさておき、ここで「お仕事」という単語が入っているのがポイント。Windows(と、それをインストールしたPC、正確にはIBM互換パソコン。日本ならNECのPC98など)は仕事に使うもの、仕事に使えるだけの信頼性のあるもの、と主張したかったのだろうと思います。当時グラフィカルユーザーインターフェイスでは圧倒的に先行していたMacの利用者イメージがアーティスト的だったことから差別化を図りたかったのでしょう。(いや、化学者がアーティスト的だという気はありません。化学者がMacを使っていた理由は別にあるのです。)でもユーザー側からみても「仕事でもなければ(Macはともかく)Windowsなんか使いたくないよ。」という気持ちに寄り添ったCMと言えるでしょう。(ほんとか?)

 さて、話は変わって前回の「パソコンかスマホか?」論の続きとして、今回は以下のようなデータを持ってきました。出所は総務省の「情報通信白書」の令和2年版。いろいろな情報通信機器の世帯保有率の推移を示したグラフです。

 

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パソコンかスマホか?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 これを読んでいるあなたが高校生だったら、たぶんスマホ派なのでは...などという決めつけはいけませんね。パソコンだろうがスマホだろうが、どちらが優れているということもありません。適材適所で使えば良いだけの話。ですが、やっぱり人により好みというものがあるのではないでしょうか。

 私は古い人間なのでやっぱりパソコン派です。スマホは少し情報をみるとか、本来の電話として使うとかならともかく、何かの作業、具体的に言えば文字の打ち込みがあるとやっぱり敷居が高くなります。せいぜい自分のメールアドレスが限界。従って、文章をつくるような、あるいはグラフを作るような作業はパソコンで行うことに。まあ、これがパソコンの適材適所というものでほとんどの人はそうなのでは。だとするとスマホをメインで使っている人は創造的な仕事をしていない...って、やっぱり決めつけてるじゃん。

 スマホでないとできない事もあります。例えばカメラがついていて写真が撮れることと、ついでにQRコードを読み取れるので画像を使って任意のURLにナビゲートできるのも大きいですね。

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お休みには何をしましょうか?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 私が博士課程の学生だったころのこと。体調を悪くして一週間ほど大学を休んだことがあるのです。それまでの実験研究の流れが強制的に中断されるのですが、さてどうしよう。

 前から気になっていたのがパソコンを勉強してプログラムを作ること。昔のことなのでデスクトップのパソコンで、Windowsの様なグラフィカルなユーザーインターフェイスなどありませんでした。先輩に譲ってもらったEPSONのNEC互換パソコンを使ってBASICでプログラムを作ってみよう。

 どんなプログラムをつくろうか?何がきっかけだったか忘れてしまったのですが、数値計算で逆ラプラス変換を行うプログラムを作ってみよう、そう思いついたのでした。

 と、ここまで書いたところで詳しい人なら「こいつ何言ってるんだ」と思ったはずです。

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「温暖化が起こるのは地球に出入りするエネルギーのバランスが崩れているから」ではない、というはなし(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 二酸化炭素などの温室効果ガスによって地球が温暖化する、ほとんどの人は知っている話ですよね。でもどうして温暖化が起こるのでしょうか。

 温室効果ガスが赤外線を吸収するから...これだけでもよく分かりません。ちゃんと理解するためには地球に出入りするエネルギーのバランス、つまり太陽からやってくるエネルギーと地球から宇宙に逃げてゆくエネルギーのバランスを考えないと。

 太陽からやってくるエネルギーは光として地球に到達します。その波長はいろいろ。可視光も紫外光も含んでいます。地球から宇宙に逃げてゆくエネルギーもあるのですが、それは赤外線として出て行く。入ってくるエネルギーと出て行くエネルギーが同じなら地球の温度は一定です。

 ところが大気中に温室効果ガスが増えると、大気による赤外線の吸収も増える。地球から出ていこうとする赤外線が大気に吸収されてしまうのに入ってくる光はそのまま。地球のエネルギーバランスが崩れて温暖化が起こるのです。

 と、このように言われると、そうかな、と思うかも知れません。でもこれは正しい言い方ではありません。

 

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「目標」46%削減と言ってますが、それは「夢」なのでは(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 このブログの内容は私(江頭)の個人的意見であり、学校法人片柳学園、東京工科大学、あるいはその一部(工学部、応用化学科)の組織としての意見をかならずしも反映するものではありません。

 と、注意書きをしてから本題に。先日2030年度の温室効果ガス排出量の新たな国別削減目標を13年度比46%減とする、という発表がありました。TBSのニュースサイトの2021年4月23日の記事によると小泉環境大臣がこの2030年に46%削減という目標について

『金メダル目指します』と言って、その結果、銅メダルだったとき非難しますかね

という発言をしたとか。

 小泉幸太郎君はずいぶんと弱気なんだなあ。46%が金メダル?とんでもない!金メダルというなら100%削減と言うのが普通じゃないか。いや、本物の金メダルに比べたらこんなの控えめな方。もう一歩踏み込んで世界の他の国が放出する温室効果ガスも責任をもって回収・固定してみせます、世界の皆さん、どうぞ温室効果ガスのことは忘れて今まで通りに経済発展に尽力し、幸せな生活を目指してください、となぜ言えないのか!

 えっ!そんなことを言って達成できなかったらどうするのかって?それこそ、「『金メダル目指します』と言って、その結果、銅メダルだったとき非難しますかね」ってことですよ。棒ほど願って針ほどかなう、ってのが人生。目標を大きく持たない人間は大成しないよ、君ぃ。

 まあ、なんと言いますか。ちょうど就職活動中の学生さんに「どんな職業につきたいですか」と聞けば「目標」を聞いたことになりますが、小学生に同じことを聞いても「夢」が返ってくる様なものでしょう。こんな物言いをされると46%削減が「目標」ではなくて「夢」の様に思えてしまいます。

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