俳句とブログ(江頭教授)

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 以前、他の大学に居た頃の話です。コロナなんか無かった時代ですから、卒業生主催の謝恩会や職員の忘年会など、いろいろなパーティーがありました。さて、そこでときどき挨拶にたつ偉い先生、このひとが実に話が長い。ごちそうをまえに待たされるのはつらいし何とかならないか。お恐れながら先生は話が長い、と切り出すのも憚られるし。などと思っていたらその先生がどうやら俳句をはじめた、という噂が。これは良い!きっと話が短くなるに違いない。

 私自身は俳句というものとは全く縁が無いのですが、一体何が良いのだろう。「会心の一句」でこころスッキリ!ライバルと切磋琢磨して「俳句王に、俺はなる!」いや「ゴムゴムの 俺はなるなり 俳句王」とか。(季語がない!)

 まあ、冗談はともかく、俳句をたしなむ人が挙げる魅力の一つに感受性がするどくなって活き活きとした毎日が送れる、ということがあるそうです。俳句というアウトプットを常に意識しているからインプットの感度も上がる。その影響で自分のアクティビティも向上する、ということでしょうか。

 なるほど。そういえばそんなものが私にもあったぞ。そうだ、このブログを書くことだ!

 

Haiku

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「誰でもできる英語発表」(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 私が大学院生だったころ、はじめて国際学会で発表する、という時に先生が「誰でもできる英語発表」という小噺を教えてくれました。

まず念入りにスライドを準備する。

"Next slide please"で新しいスライドが出たら"This is important"と言う。

これをくり返す。

ここぞ、というときに"This is most important!"

これが今から40年くらい前の話で、小噺自体ができたのがそれよりも前。日本の国際化もまだまだ。英語の読み書きはともかく、話すのに抵抗を感じる人が多かった時代の話です。スライドは時間をかけて準備することができますが、発表で話すのは負担だ、という思いからこんな小噺が作られたのでしょう。

 いくら何でもこれを実際にやった人はいないと思います。でも、発表を聴く側の立場で考えると意外と良い発表なのではないか、とも思えます。

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発表に対して活発に質問する学生はなぜ高く評価されるのか(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 ここのところ連続で本学応用化学科の1年生の授業での発表について紹介してきました。(「工学基礎実験Ⅱ(C)」と「コーオプ演習Ⅰ」)この機会に「良い発表」というものについてコメントしておきたいと思います。

 大学の授業における「発表」というものは、やはり学会発表がモデルになってると考えるのが普通でしょう。大学の先生は大抵どこかの学会員で学会に参加して発表しているものですからね。

 では学会発表は何を目的として行われるのでしょうか。良い成績を取るため?そんなはずはありません。会場をドッカンドッカン沸かせたい。いや、それは別のところでやってもらいましょう。

 学会に集まってくる研究者達は新しい情報が欲しくてやってくる。だから発表者は聴衆に新しくて価値のある情報を正確かつ分かり易く伝えるべきだ。それができているのが良い学会発表だ。

 たしかに一面的にはそのように思えます。でも、学会の役割はそれだけではありません。

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「コーオプ演習Ⅰ」中間発表(2021)(江頭教授)

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 本学工学部の特徴の一つ、コーオプ教育。その最初の授業と位置づけられるのが1年生後期の授業「コーオプ演習Ⅰ」です。授業内容は最新の工学・技術的トピックスについて調査し、発表すること。グループワークを中心とした授業で、賛否のわかれる技術上の課題やサステイナブル社会に関連する新技術などを対象として調査を行い、調査結果に基づいたディスカッションの内容を発表します。

 先日、この「コーオプ演習Ⅰ」の中間発表に参加してきました。

 本学科の1年生全員が必修の授業で、5~6人のチームにわかれると1チーム約8分の発表でも一会場では収まりません。今回は4会場で実施。私の参加した会場での発表は4班。比較的長い時間がとれるようになっているのはこれが中間発表会だから。学生間の相互の指摘や教員からのアドバイスをもとに内容や発表を改善するための場なのです。

 今回は

時事問題などをベースに,
サステイナブル社会を実現するために克服すべき問題を抽出し,
工学的な技術を用いて,どうやって理想の姿に近づけるかを提案する

という課題です。テーマ設定から皆で決めましょう、ということですね。さらに出口の条件として

理系の高校生(1年前の自分たち)を聴衆として想定し,
スライド(PowerPoint)を用い,
口頭でプレゼンテーションする

ということが決まっています。

 選ばれたテーマは当然ながら4班で別々。「森本先生の前で人工光合成とは何かを解説するなんて勇気あるなあ」とか「その図は2年生のサステイナブル環境化学の授業で見せる予定だよ」などなど。私としてはバラエティに富んでいて面白かったですね。でも、今回印象に残ったのは発表よりも質疑応答の方でした。

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工学基礎実験Ⅱ(C)「レポート発表、講評、ディスカッション」(江頭教授)

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 応用化学科の1年生の学生実験は「工学基礎実験」という名称です。工学部共通の命名なので応用化学では正確には「工学基礎実験(C)」。前期はⅠなので今学期、後期の1年生の学生実験は「工学基礎実験Ⅱ(C)」となります。

 さて、後期も始まって8週間。折り返し点を越えて半分の実験が終了したので表題の「レポート発表、講評、ディスカッション」を開きました。提出されたレポートを教員がみて、これは、と思えるレポートを書いた学生さんに発表を依頼。学生さん同士の質疑応答と、それに加えて教員からの講評を行う、という会です。実験後半にも同じ趣旨の会を実施しますので、正確には「レポート発表、講評、ディスカッション(1)」ですね。

 毎年実施しているこの発表会ですが、昨年度対面ただし遠隔受講可」というハイブリッド形式としていました。今回は新型コロナウイルス感染症の状況が収まっていることを受けて対面での実施としました。

 今回と前回、対面とハイブリッド形式との差を改めて実感したのは質疑応答の部分でした。発表それ自体は発表者がオンラインに居ても対面とかなり近いレベルでできると思いましたが、質疑応答はかなりの差があります。対面での質疑応答には発表者と質問者の他に聴衆が居るのですよね。

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「アナと雪の女王2」っておかしくないですか?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 私は「アナと雪の女王2」は公開当時(2019年の暮れだったかと)に見に行きました。その際の私の印象は、これは一言いわねばならん、でした。とはいえネタバレ無しで書くのは難しい。そう思って我慢していたのですが、先頃TV放映が有ったそうなので疑問を吐き出そう、というのが今回の趣旨です。あっ、「アナと雪の女王2」がディスられるのが耐えられない人はここまでにしておきましょう。

 まずはネタバレ無しで大まかなお話しから。大ヒットした「アナと雪の女王」の第一作目は素晴らしい音楽の魅力もありましたが、ストーリーが斬新で、今までディズニーが作ってきたプリンセスの物語とは明らかに違う、というのも人気の理由の一つだったと思います。

 とは言え、良く考えて見ると「アナと雪の女王」第一作はほとんど従来のプリンセスの物語をなぞっています。見ている私達は大体こうなるだろうと予測しながらみることになる。そして最後の部分でその予測を裏切ることで「今までのとは違う!」という新鮮な驚きを与えることに成功したのだと思います。

 その第一作を引き継いだこの「アナと雪の女王2」ですが、今度ははじめから「今までのとは違う!」ことをばかりなのです。新鮮な驚きを感じる以前に、物語は一体何の話をしているのか理解不能な状態に。どうして「これ」をすると「あれ」になるのか、斬新過ぎてよく分からない、という感じなのです。

(以降には「アナと雪の女王2」のネタバレを含みます。)

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「人類のあるべき未来について考えてみてください」(江頭教授)

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 東京工科大学には大学院が併設されていて、我々応用化学科の学生が大学院に進学する際、普通は「サステイナブル工学専攻」に所属することになります。私はその「サステイナブル工学専攻」で「サステイナブル工学概論」という授業を担当しています。この授業のなかで「SDGs」について触れ、「あなたの研究はどのSDGsの目標に貢献しますか」つづいて「あなたの研究はDGsの目標5に貢献しますか」(ちなみに目標5は「ジェンダー平等を実現しよう」です)というレポートを書いもらったことはすでに紹介した通りです。

 さて、今回書いてもらったレポートは「人類のあるべき未来について考えてみてください」でした。詳しくは

2050年を超えて、未来の世界について考えてください。

人口・生活空間はどのようになっていて、農業・工業(エネルギー・資源と汚染)がどのような技術に基づいているのでしょうか。

「こうなるだろう」ではなく「こうなってほしい」「目指すべき未来を」考えてください。

という課題です。

 では、レポートを読ませてもらって思うことをまとめてみましょう。

 一つはほとんどの学生さんに人類の未来(あるべき、ではなく、ありそうな未来です)についての共通のイメージがある、という点です。曰く「人口は2050年頃に100億人程度でピークに達する。エネルギーは再生可能エネルギーに。資源節約のために徹底したリサイクルが必要だ。」多少の温度差はありますが、ある程度似通ったイメージが共有されているのですね。

 

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「ハンス・フォン・ゼークト」大将の組織論(片桐教授)

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 ドイツの軍人「ハンス・フォン・ゼークト」大将の組織論、という格言?では、軍人を4種類に分類しその適切な職制・役割について述べています。

  • 利口で勤勉な者 =参謀に適している。
  • 利口な怠け者 =指揮官に適している。
  • 愚鈍な怠け者 =小隊長に適している。
  • 愚鈍で勤勉な者 =重用してはならない
  • だそうです。

別バージョンでは

  • 有能な怠け者。これは前線指揮官に向いている。
  • 有能な働き者。これは参謀に向いている。
  • 無能な怠け者。これは総司令官またはもしくは下級兵士に向いている。
  • 無能な働き者。これは処刑するしかない。

とされています。

 この格言?はいろいろなバリエーションや表現をもちます。また、多くの戦略家、戦術家の同様のコメントもあるようです。うろ覚えですがクラウゼビッツの戦争論にも同じように記述されていたように記憶しています。

 いずれも興味深いことに「怠け者」を指揮官にすることを薦めている点で共通しています。

 私自身はこれまでの経験から自分は出来損ないの「参謀」タイプと自認していました。働き者になろうと努めて来ました。しかし、なんということでしょう、新しくできる工学研究科の研究科長職を拝命しました。研究科長職はある意味指揮官です。その2年半の経験から指揮官は怠け者のであるべき理由を、私も理解してきました。

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100%リサイクルってどういうこと(江頭教授)

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 皆さん、「リサイクル率」とはどういう意味だと思いますか?

 何かの製品がリサイクルされている。その製品を1個買ったとき、製品がリサイクル品である確率がリサイクル率

これが普通に思いつくリサイクル率の定義ではないでしょうか。

 たとえば新規に作られた製品がすべて回収され、一度だけリサイクルされたとします。この場合、市場に出ているその製品は半分が新品、のこりの半分はリサイクル品となります。つまりリサイクル率は50%となります。

 ではリサイクル率が90%というのはどんな状態でしょうか。市場に出ている製品のうち新品は10個に1個。それ以外の9個はリサイクル品なのですから新品は平均で9回リサイクルされることになりますね。

 一般化すればリサイクル率がx%のとき、リサイクルされる回数は x/(100-x) となります。

 さて、最近「日本コカ・コーラ、旗艦製品で100%リサイクルのペットボトル採用」という記事を見つけました。

 先の式に x = 100% を代入すると…リサクルされる回数は無限回になってしまいます。そもそも、購入する製品が全部リサイクル品だとしたら新品が作られないということ。最初のリサイクルでは一体何をリサイクルしているのでしょうか?

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いや、ちゃんと見てみましょう。この記事では「100%リサイクル」と言っているだけで「リサイクル100%」とは言っていません。

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東京工科大学八王子キャンパスで5Gが利用可能に?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 先日、何気なくスマートフォンを確認すると以下の様な画面に。右上の黄色い丸で囲んだ部分を注目してください。いつの間にか東京工科大学の八王子キャンパスで5Gが利用可能になっていました。そうか、これでインターネットの速度がぐっと速く…あれっ?そういえば大学キャンパスでは通信の速度について全く気にしていなかったなあ。

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それはそのはず。よく考えてみると本学のキャンパスの教室では大学が用意した無線LANによるWiFi環境が整備されていて、携帯電話のモバイル回線を使うことは通常ありません。

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