ゲイ=リュサックとステアリン酸(江頭教授)

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 ゲイ=リュサックの名前は皆さん化学の授業で聞いたことがあるのでは。私は「姓はリュサック、名はゲイ」なのかと思っていたのですがゲイ=リュサックで姓なんですね。名はジョセフ、ミドルネームがルイでジョセフ・ルイ・ゲイ=リュサックがフルネームだそうです。

 さて、このゲイ=リュサックの名前が有名なのは「ゲイ=リュサックの法則」があるから。気体同士が反応して別の気体ができるとき、それぞれの気体の体積(同じ温度と圧力で測定します)が簡単な整数比になる、という法則です。「簡単な整数比って何だよ」と思いますが、それが何なのか、の探求が分子という概念の誕生のきっかけなのですね。

 なんでいきなりゲイ=リュサックの話を始めたか、ですが、実は前々回から紹介している「ロウソクの科学」に彼の名前がでているのです。ただしゲイ=リュサックの法則とはあまり関係のないステアリン酸の発見者として触れられています。

 ステアリン酸はカルボン酸の一種で炭素数が18、本来ならオクタデカン酸と呼ぶべき物質です。常温では固体。比較的低い温度で溶け(融点 69.9℃)て可燃性なのでロウソクの原料として用いられる。それで「ロウソクの科学」に出てくるわけです。

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人間は一人当たりどのくらいの二酸化炭素を排出しているか? 「ロウソクの科学より」 (江頭教授)

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 「人間は一人当たりどのくらいの二酸化炭素を排出しているか?」については人間一人当たりの消費カロリーから(その1)、人間の呼吸速度から(その2)と複数の方法で求めまています。おっと、排出量と言っても化石燃料起源ではなく、生物としての人間が呼吸によって発生している二酸化炭素の量のことです。で、その値は年間 0.27 ~ 0.33 トンでした。

 さて、前回の記事で紹介した(写真の)マイケル ファラデーの著書「ロウソクの科学」に以下のような記述を見つけました。

ひとりのおとなは二十四時間に、七オンス(一オンス=約二八・三五グラム)だけの炭素を二酸化炭素に変えます。(角川文庫版 「ロウソクの科学」三石巌訳 186ページ)

明示されてはいませんが、これはおそらく呼吸速度から計算したものでしょう。

ということで、この情報を元に「人間は一人当たりどのくらいの二酸化炭素を排出しているか?」を計算してみましょう。

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推薦図書 ファラデー著 三石巌訳「ロウソクの科学」(江頭教授)

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 「ロウソクの科学」は子供たちに科学への、というか化学への興味をもってもらうためにファラデー(あの、マイケル・ファラデーです)がおこなった実験つき講義を記録した本です。具体的には「1861年のクリスマス休暇に、ロンドンの王立研究所で催された連続6回の公演の記録である」と本書(角川文庫版)の「解説」(訳者、三石巌氏による)に記されています。

 内容はタイトル通り、まずは1本のロウソクからスタートします。ロウソクが燃えるときに起こっている現象の細かい観察からスタートして燃焼という現象・化学反応についての説明に進みます。ロウが蒸発して可燃性のガスとなること、しかし燃焼するためには支燃性のガス、つまり酸素が必要なこと。酸素を含まない空気では炎が消えてしまうことを実験的に示してゆきます。またロウソクから生じるすすに注目して炭素の存在を示し、それが酸素と反応すること、反応して二酸化炭素を生じること。生物(ここではファラデー自身)の呼気には二酸化炭素が含まれていることなども示されます。カリウム金属を使った水素の発生、水素の燃焼から水が生じることなどいろいろな化学反応の実験を手品のように面白く見せてゆくのです。

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PC作業の解説動画を作ってみた!(江頭教授)

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 コロナウイルス感染対策のために本格的にオンライン授業が普及した2020年ですが、この影響で Google Meet や Zoom などのWEB会議システムに親しむようになった人も多いのではないでしょうか。かく言う私もその1人。Zoomを使うことが増えていろいろな機能を見ているうちに「画面共有」と「録画」を組み合わせるとデスクトップでの作業をそのまま録画できる、ということに気がつきました。

 授業や学生実験などでちょっとしたPCでの作業をやってもらおう、というとき口頭で説明するのはなかなか難しい。プロジェクター越しにやって見せても学生さんはなかなかついてこれません。結局部屋中をまわって1人1人に指導することになります。

 ここはマニュアルを作って、と思うのですが今度は作業をするごとにスクリーンショットを取って保存、という作業が結構面倒でなかなか手が出ません。

 でもWEB会議システムを使い、デスクトップを「画面共有」して「録画」する。その際、解説を口頭で入れればもう完璧。ということで、以下の様に動画を作ってみました。

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「バーチャルオープンキャンパスDAY」用の動画を撮影しました(江頭教授)

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 異例づくしの2020年、という毎回同じような書き出しになってしまうのですが、今回も新型コロナウイルス感染症の蔓延防止に関係した、というかきっかけになった話題です。

 本学で毎年行っているオープンキャンパスですが、今年はオンラインでの開催となり「バーチャルオープンキャンパスDAY」と銘打って実施されています。次の開催は12月6日の予定で、それに向けていろいろな準備を進めています。その一つが動画の撮影です。

 以下は本学科の高橋昌男学科長による「工学部応用化学科 コロナ禍そしてこれからの新しい授業形態について」という動画なのですが、話をしている高橋学科長の後ろでいろいろ画像が切り替わる様になっています。これは動画をグリーンバックで撮影し、その後で画像を合成したのだそうです。

 広報で、これは良いやり方だ、ということになったのでしょう。今度は応用化学科全教員の分を取りましょう、ということになりました。ということで私も動画を撮影されることに。

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後期授業は半分まで終了しました(江頭教授)

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 9月の終わりにスタートした2020年度後期の授業は本日(11月20日)で金曜日の授業が第7回まで終了、来週から第8回に入ります。実は一部の授業、具体的には火曜日から木曜日の授業は一足先に先週で7回を終了しています。月曜日と金曜日の授業は学園祭(結局本年度は開催できませんでしたが)のために1週おくれとなってる、そのせいで本日やっと全ての授業で第7回が終了となるのです。

 さて、一学期の授業は14回、それにテストを加えると15回ですから後期の授業は今週で半分が終了、そして来週から後期の後半が始まる分けです。2020年度ももう大詰め、ということでしょうか。(少々気が早いですか?)

 本学工学部は一部にクォーター制を取り入れた変則的な制度(私は「ハーフ・アンド・ダブルクォーター制」と呼んでいます。)をとっているので前期の折り返し点では本当に学期(前期前半=1期と呼びます)が終了するのですが、後期の折り返し点は別に区切りがあるわけではありません。ただ、私個人は本学工学部の別学科の授業を手伝っているので、ああっ、後期も半分おわったんだなぁ、と感じています。

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健康診断を受けてきました(江頭教授)

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 労働安全衛生法は事業者が労働者に対する医師による健康診断を定期的に、通常は1年ごとに、実施することを規定しています。東京工科大学も事業者、そして労働者は教職員ですから、教職員の健康診断が年に一回ある、ということになります。学生向けの健康診断は年度替わりの春、そして教職員の健康診断は秋、と決まっているらしく、毎年今ぐらいの季節に健康診断が行われます。

 今年度はコロナウイルスの感染拡大の影響で健康診断もオンラインで…というはさすがに無理なので例年通りの健康診断が。ただし、順番待ちの椅子のならびがソーシャルディスタンスを考慮したものになっていたり、問診の際にお医者さんと面と向かわないで話す配置になっていたり、と感染症対策と思しき変更点がそこここに見受けられたのも事実です。(いらすとやさんも「問診のイラスト」を修正しないと。)

 実は私はこの健康診断が結構苦手なのです。大人げないのは重々承知なのですが、高校生や大学生の皆さんが受けている健康診断と私たち中高年の受けている健康診断には決定的な違いがあります。よく「バリウム」と呼ばれている胃部X線検査です。(この「バリウム」という呼び名もどうなんだか、という話は以前こちらで書きました。我々が飲まされているのは「硫酸バリウム」でそれ以外の普通の「バリウム」化合物って毒性なんですよ。)

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学生実験の「レポート発表会」(江頭教授)

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 応用化学科の1年生の学生実験は「工学基礎実験」という名称です。工学部共通の命名なので応用化学では正確には「工学基礎実験(C)」。前期はⅠなので今学期、後期の1年生の学生実験は「工学基礎実験Ⅱ(C)」となります。

 さて、後期も始まって8週間。半分弱の実験が終了したので表題の「レポート発表会」を開きました。提出されたレポートを教員がみて、これは、と思えるレポートを書いた学生さんに発表を依頼。それに加えて教員からの講評を行う、という会です。

 昨年までは普通に教室で行っていたのですが、今回は「対面ただし遠隔受講可」という授業形態になりました。レポートを発表してくれる学生さんの中にもネットワークの向こうから参加する人が多かったですね。

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大気中の炭素の質量はどれくらいか(江頭教授)

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 大気中の二酸化炭素濃度が 400 ppm を超えたというニュースを聞いたのは、はていつ頃のことだったろうか。そう思って調べてみるともう5年以上も前なんですね。月日の経つのの何と早いことかと思います。それはさておき、このデータを使うと大気中の炭素の量が計算できるな、と思いつきました。今回はその計算をやってみましょう。

 さて、先日「大気の量はどのくらい?」という記事で大気圧と重力加速度、それに地球の表面積から大気の質量を 5.27×1018 kg と見積もりました。大気の全量がわかったので400ppmという数字を使って二酸化炭素の量を出せばよい。ppmは「100万分の1」ですから…ちょっとまって、ppmは体積分率で重量分率ではないですよね。

 体積比ですから要するにモル比で計算すれば良いわけです。空気の平均分子量を29として、炭素の原子量は12ですから、29で割って、100万分の400倍にして、さらに12をかければ良いでしょう。

 結果は 8.67×1015 kg ( = 866 Pg ) となりました。

 さて、IPCCの第5次報告書にある炭素循環の表と比べてみましょう。 大気中の炭素の質量は産業革命前は 589 Pg とされていて、これが人間の活動によって240 Pg ほど増加したとされています。 589+240で 829 Pg。あれ、計算の結果より結構小さいのですが…。

 

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サステイナブル社会のエネルギー源(江頭教授)

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 我々応用化学科が所属する工学部の大学院は「工学研究科」ではなく、「サステイナブル工学研究科」という名称です。サステイナブル工学の確立を目指す、という方針を明白に示した訳です。

 さて、その大学院の授業のなかで私は「サステイナブル工学概論」という授業を受けもっています。

 と、ここまでは実は先日の記事の焼き直しです。そのときは SDGs とサステイナブル工学の関係について学生諸君の考えを紹介したのですが、今回のお題は「サステイナブル社会」ではどんなエネルギーが使われているか、という問いかけです。

 まず、一番多かったのは太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーです。こちらの記事で触れたように現在の普及率がまだまだ低くて「全一次エネルギーに対して再生可能エネルギーの占める割合はまだ3.6%に過ぎ」ないことは授業でも触れているのですが、将来の、という前提で考えれば強い期待が持たれていることが分かりました。

 とは言え、小規模なエネルギー源で地産地消的な供給体制をイメージする人もいる一方で、大規模な太陽発電プラントを作って超伝導ケーブルや化学物質の可逆な反応を利用してエネルギーを世界中に送る、というグローバルなイメージを持つ人もいます。具体的な一つの決まったイメージはないようです。太陽発電衛星など、壮大なイメージを挙げた人も一定の割合でいましたね。

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