タブレットはフィールドワークにとても便利(江頭教授)

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 フィールドワーク、屋外での調査・研究活動は化学の分野ではあまりやらないことかもしれません。ただ私自身は「植物を利用した炭素固定」を研究テーマの一つとしているのでフィールドにでて計測などを行うことがあります。特にオーストラリアでの植林の研究はかれこれ20年近く行っているのですが、昔と今ではフィールドワークのやり方も変わってきています。

 特に変わったのは使用する道具、なかでもタブレットを使うようになったことでフィールドワークはかなりやり易くなりました。

 まずGPS機能。フィールドワークを行う場所は「何丁目何番地」と住所が決められる場所ばかりとは限りません。フィールでの自分の居場所、目的地を簡単にしることができるようになったことは大きな進歩です。GPS単体の機器もありますが、タブレットは地図アプリにフィールド内の場所を記録できるのが大きなメリットです。

 そして写真機能。いまだに専用のカメラには及びませんがタブレットなら簡単に記録を残すことができるので写真や動画をメモ代わりに使うことさえできるのです。

 GPSもデジタルカメラも20年前にはすでに存在していたのですが、それが一つでデバイスにまとまっていて、なおかつ安価に手にはいるわけです。タブレットがもたらした日常生活の変化も大したものですが、フィールドワークへの影響もかなりのものだ、ということができるでしょう。

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サステイナブルな文化財(江頭教授)

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 ノートルダム大聖堂で火災が発生した、という情報を知ったのは4月16日のニュースからだったと思います。ヨーロッパの宗教や建築についてほとんど知識も興味も無い私のような人間でもなんとなく存在を知っているノートルダム大聖堂ですから、それが大きく毀損したということに世界の誰もが多かれ少なかれ悲しんでいることでしょう。

 私としては「ヨーロッパの建物は石造り」という先入観が強くて最初は火事が起こること自体が不思議に思えました。まあ鉄筋コンクリートの建物だって火事にはなるわけですから別におかしなことではない、というか当然のことなのかも知れません。そんな程度なので「ノートルダム大聖堂が火災」ということの深刻さが今ひとつピント来ない。では、日本で考えたらどんな事態に相当するのだろう?

 「正倉院が火災に...」それは大変だ!

 「法隆寺が燃えている...」なんてこった!

 「伊勢神宮が灰に...」ええっ!えーっと、それは別に良いんじゃないかな。

いや、もちろん火事があったらそれはそれで大変なのですが、こと伊勢神宮に関して言えば「もう一回造れば良いんじゃない」と言うことになるのでは。

 

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新入生学部交流会のこと(江頭教授)

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 4月は新年度の始まり、ということでいろいろと新しい事を始める季節です。特に大学に入りたての新入生にとっては何もかも新しい事だらけの時期。大きな期待を胸に新鮮な驚きを感じながら日々を過ごしてもらいたいと思っています。

 しかし、その一方で新しい事、新しい環境には不安もつきものです。特に今までの友達と離れて新しい学校に入学した新入生諸君の不安は期待と同じように大きいものでしょう。

 そう考えてか、本学には「新入生学部交流会」という制度があります。これは4月の入学式早々に新入生が互いに、あるいは先輩たち、教員と交流できるイベントを行う、というものです。要するにイベントの機会を利用して早く友達を作ってください、という企画です。

 具体的な実施内容は各教員がアドバイザーとして対応する少人数のグループ(フレッシャーズゼミ、通称フレゼミ)単位で企画する事になっています。実施方法は各学部、各学科、各アドバイザーで自由に決めることができ、実施にあたっては簡単な食事ができる程度の予算も支給されます。

 この「新入生学部交流会」、我々工学部ではこの三年ほど各学科で2年生が中心となって新入生を歓迎するパーティーを開催することとなっています。

 今年も4月17日、本学の厚生棟という建物にある三つの大きな学生食堂の部屋を借り切って新入生歓迎会を実施しました。

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新入生学部交流会の場をかりて「学部長賞」の授与式も行われました。対象は2年生ですが、1年生後期のグループワークの授業「コーオプ演習Ⅰ」での発表が評価対象です。新一年生も来年、ここで表彰されるように努力して欲しいところです。

 

 

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「LCA」って何だ?(江頭教授)

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 前回の記事で触れた「環境アセスメント」に続いてもう一つ(私にとって)身近な「アセスメント」という言葉の使用例を紹介しましょう。「ライフサイクルアセスメント」通称LCAについてです。


 本学工学部の特徴の一つ「サステイナブル工学教育」ですが、その中心的な授業は三つ。講義中心の「サステイナブル工学基礎」、演習中心の「サステイナブル工学実習」、そしてグループワーク中心の「サステイナブル工学プロジェクト演習」です。その講義で重要な比重を占めるのがこのLCA。特に「サステイナブル工学実習」ではLCAの演習を行っています。

 「LCA」が何故サステイナブル工学の主要な構成要素であるのか、と言う話はまた別の機会に譲るとして、LCAが何かを説明しなくてはいけません。LCA、つまりLife Cycle Assessment は、われわれの身の回りにある製品やサービスがどの資源をどのくらい使っているか、何をどのくらい環境に放出しているか、を算出する手法のことです。

 Life Cycle と名前がついているのは製品そのもに何が入っているのかではなく、製品が作られる時、あるいは廃棄される時も評価に含めているという点を強調してのことでしょう。


 二つの製品を比較したとき、特に消費者目線で見たとき、「当然こちらが省資源」と思っても意外にも逆の結果になる、というケースがあります。例えば「紙おむつ」と「布おむつ」の比較。紙おむつは使い捨てですが布おむつは再利用可能ですから当然布おむつが省資源の様に思えます。しかし、紙おむつはそのまま廃棄されるのに対して布おむつは毎回洗濯する必要がある。そう考えると洗濯に必要となる「水資源」の重要度によっては紙おむつの方が省資源になることもあるのです。

 

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「アセスメント」って何だ?(江頭教授)

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 皆さん、アセスメント、という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これを読んでいるあなたが高校生や大学生なら聞いたことがある、という人が多いのではないかと思います。でも私が高校生のころには全く聞いたことがありませんでした。いや、別に「俺も昔はワルでねぇ...」なんて話をしたいわけではありません。私が高校生の頃にはなかった言葉だと言いたいのです。

 アセスメントの由来は英語の Assessment ですが、辞書を調べると「評価」と出ています。こちらはもちろんずっと昔から存在した言葉なのですが、これがカタカナの「アセスメント」になったのはおそらく「環境アセスメント」という言葉の一部として広く用いられる様になったからだと考えられます。「環境アセスメント」とは東京都環境局の説明を引用すれば

環境アセスメント(環境影響評価)とは、大規模な開発事業などを実施する際に、事業者が、あらかじめその事業が環境に与える影響を予測・評価し、その内容について、住民や関係自治体などの意見を聴くとともに専門的立場からその内容を審査することにより、事業の実施において適正な環境配慮がなされるようにするための一連の手続きをいいます。

となります。

 ここでのアセスメントは確かに「評価」なのですが、単に目的に対する評価にとどまらず住民など他の利害関係者に対する影響まで含めた評価だ、という意味まで含んでいるのでしょう。そう考えると「環境評価」では不十分。「環境影響評価」としてもまだニュアンスを伝えきれないので「環境アセスメント」という言葉が使われたのでしょう。

 

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履修登録のこと(江頭教授)

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 本学の夏学期の授業、今日から第2週間目に入ります。学生諸君もそろそろ落ち着いて、授業にもリズムができてきた頃でしょう。

 さて、小学校から高校まで、学生諸君が度の授業を学ぶかは基本的には学校側が決めていました。選択授業があってもごく一部。それに対して大学の授業では学生諸君による授業の選択の幅が非常に大きくなっています。

 これは大学側からみると、どの学生がどの授業を受けているのかが分からない、という事になります。ですから学生諸君に「自分はこの授業を選択します」と宣言してもらわなくてはならないのです。

 そのための仕組みが「履修登録」です。本学では約1週間の履修登録期間にWEB上で学生が各自の履修する授業を登録することができる様になっています。その期間に体調を崩した人は自宅から登録することも可能です。

 最初の1回は様子見として、2回目以降は履修する科目を決めてきちんと出席する、履修登録はその決意を表明する機会だ、というえば少々大げさでしょうか。

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桜と雪(江頭教授)

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 東京工科大学の八王子キャンパス、正門横の池のまわりの桜がきれいなのですが、桜の木は他の場所にもあります。写真の桜もその一例。本部棟と図書館等の間にある日本庭園の桜です。

 今年の桜は開花の後に寒い日が多かったので長持ちしていましたが、4月10日の水曜日にはとうとう雨が降ってもうそろそろ桜の季節も終わりかな、などと思っていたら...。

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大学院博士後期課程のすすめ-3 ハイリスク・ハイリターンな博士後期課程へ進学する覚悟(片桐教授)

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 4月3日の大学院新入生ガイダンスで、博士前期課程(修士課程)進学の学生さんに、博士後期課程(博士課程)進学をおすすめしました。修士課程だけでも2年間余分に大学に行くのに、さらに3年間も行く事をなぜすすめるの?。といわれる方も多いでしょうが、それでも、私は「有能な方」には博士後期課程への進学をすすめます。

 上記の前書きには「有能な方」という制限を付けています。博士後期課程を誰にでも無条件に勧めるのは無責任きわまりないと思います。ハイリターンの影には必ずハイリスクがあります。このBlogではそのあたりを述べます。


 学位を揶揄して、「学士は参加賞、修士は努力賞、博士は一等賞」というそうです。学士号は与えられた課題をこなしていけば、つまり大学の授業や卒研に参加していれば、卒業して取れる。修士号は獲得するために人一倍の努力を必要とする。しかし、博士号は誰もが獲得できるものではない。それなりのセンスと才能を必要とします。博士課程において、努力は必要条件であっても十分条件ではないという事です。厳しい事を申しますが、努力は必ずしも報われません。

 人は残念ながら自分を客観的に評価できません。自信過剰な人も、卑下する人もいます。きっちりと客観的に評価できる人はほとんどいません。前(2019.04.09)に述べたにように大学の教員は、学生の能力目利きのプロです。その専門分野で博士号を取れるかどうかは、あなたの指導教員に聞くのが一番です。
 博士の肩書きを得たとしても、それに見合う実力を身につけられなければ、最悪です。肩書きがあなたの足を引っ張ります。
 自分に不安だった片桐は修士2年の時に、指導教授に「私は博士課程にすすめるでしょうか?」とお伺いを立てました。

 

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大学院博士後期課程のすすめ-2 企業における博士の価値(片桐教授)

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 4月3日の大学院新入生ガイダンスで、博士前期課程(修士課程)進学の学生さんに、博士後期課程(博士課程)進学をおすすめしました。修士課程だけでも2年間余分に大学に行くのに、さらに3年間も行く事をなぜすすめるの?。といわれる方も多いでしょうが、それでも、私は「有能な方」には博士後期課程への進学をすすめます。


 文科省の資料(http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile/2017/07/24/1386653_05.pdf)では、博士後期課程へ行かれる方のうち、前期課程からすすまれるのは6割、残りの4割は社会人入学者だそうです。また、リクナビ(https://job.rikunabi.com/2020/s/_______29__/)で検索すると、会社から大学院への派遣制度を有する会社は450社くらいあります。多くの会社は一部上場企業で技術を大事にする会社です。

 会社から大学へ派遣される場合、2年間一生懸命大学で研究し、その後会社にもどり、1年間かけて論文を作成するパターンが多いと思います。3年間の課程のうちそれでも2年間は会社の仕事を休むわけですから、そのコストは数千万単位です。会社は福利厚生だけで大学院進学を応援してくれる訳ではありません。また、会社から派遣してもらうと、その会社をやめにくくなる制度があります。従業員に博士号をとらせる事には会社にも数千万以上のメリットがあるという事です。つまり、会社は「博士号」をもつ従業員をもつ事にそれだけの価値を見いだしているという事です。

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大学院博士後期課程のすすめ-1 博士後期課程は前期課程とまた違います(片桐教授)

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 このブログの以前のシリーズで、「大学院のすすめ」を8回にわたり連載しました。
(2015.6.9, 6.10, 6.11, 2017.10.4, 10.11, 2018.1.2, 1.4, 2019.3.5)
 今回は、さらにもう一歩すすめて、大学院博士後期課程、博士のすすめを3回に分けて掲載します。

 4月3日の大学院新入生ガイダンスで、博士前期課程(修士課程)進学の学生さんに、博士後期課程(博士課程)進学をおすすめしました。修士課程だけでも2年間余分に大学に行くのに、さらに3年間も行く事をなぜすすめるの?。といわれる方も多いでしょうが、それでも、私は「有能な方」には博士後期課程への進学をすすめます。


 前のブログ(2019.3.5)で学位は学術称号という栄誉称号である事を述べました。そして、そのような学位の国内の最高峰が「博士」です。1887年以来、「博士」は一貫して学位として法律により定められています。
 日本の修士号取得者は同世代の約5%です。しかし、イギリスでは約3割、アメリカでは約2割ですから、私の頃の大学進学率程度です。一方、博士は日本で1%程度、英米でも2%程度です。そのため、欧米でも博士は評価されます。

 大学の学士課程において、学士は、先生の与えた課題を、先生の与えた方法で解決できるようになることを目指します。つまり、戦闘能力の獲得を目指します。教員は学生さんを知の最前線に連れて行きます。そこまでの道のりを教えられます。教員は先生であり教育者の役割を果たします。

 

 

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