なぜ雷が「稲妻」なのか?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 今回のお題は表題とおり、なぜ雷が「稲妻」と呼ばれるのか、についてです。なんで雷が「稲の奥さん」なのでしょうか?

 理由は「雷があると稲の実りが良くなるから。」です。「奥さんと実りに何の関係が...」というと難しい話になりそうですが、「雷と実りの関係」に注目すると少し化学の世界に近づいてきます。

 雷は大気中での大規模な放電現象であり、そのさい普通には起こらない化学反応も起こります。おそらく窒素分子の分解も起こる。通常の環境ではほぼ起こることのない窒素分子の活性化によって窒素酸化物などが生じ、それが窒素肥料の役割を果たすことで植物の(ここでは稲の)成長が良くなる、という訳です。

 窒素原子は大気の8割を占める窒素ガスの形で自然界に大量に存在しています。同時に生物の体を構成するタンパク質の基本要素、アミノ酸に必ず含まれている元素でもありますが、窒素ガスの分子はきわめて安定で植物はそれを直接吸収することはできません。(動物もですが。)窒素分子を分解してアンモニアや硝酸イオン、亜硝酸イオンなど、植物が利用できる形態に変化させる機能は自然界ではマメ科の植物の根に共生している根瘤バクテリアと呼ばれる細菌の作用が知られている程度です。雷の放電、つまり稲妻はもう一つの自然産の窒素肥料なのです。

 ハーバーボッシュ法による窒素固定技術が開発される以前、水田は窒素肥料不足の状態にあったはずですから、雷によって生じた窒素酸化物、窒素肥料を含んだ雨の降った場所は他より目に見えて稲の育ちが良かったのでしょう。

Thunder

続きを読む

開催まで後一ヶ月「東京工科大学オープンキャンパス(八王子)」(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 朝、スクールバスに乗っていてなんとなく気がついたのが写真のポスターです。「スタッフ募集!」東京工科大学のオープンキャンパスのアルバイトスタッフの募集が始まっていたのですね。

 なるほど、そろそろオープンキャンパスのシーズンです。ポスターにもある様に、八王子キャンパスでは第1回が6月16日(日)、第2回は7月14日(日)、つづいて8月4日(日)、8月25日(日)の全部で4回が予定されています。(正式な日程はこちらのサイトで確認してください。) 第1回まで丁度一ヶ月。もう少し時間があるのですが、アルバイトを希望する学生さんにも予定はあるでしょうから、今のうちにスタッフを確保しておこう、ということですね。

 

Img_2507

続きを読む

年に一度のワックスがけ(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 小学校や中学校くらいの生徒さんたちは自分の教室の掃除をしているのではないでしょうか。高校生の皆さんもやっているのでしょうか。自分がどうだったのか、あまりにも古いことで思い出せません。とはいえ、一般的なビルのオフィスで社員がみんなで掃除、さあ机を動かしましょう、という姿は想像しがたいと思います。そういう場所では清掃は専門の業者に依頼しているのではないでしょうか。

 本学、東京工科大学もそれは同じです。床、廊下の掃除からゴミの回収、庭の手入れまで、専門の方々が担当してくれいていて、学内は清潔に保たれています。

 とはいえ、例外もあります。(いや「清潔」の例外じゃありません、業者の方が担当するかどうかの例外です。)研究室の中は一般の清掃業者の方には依頼できない場所です。何しろ、研究室の中には危険な薬品や高価な測定装置がゴロゴロしていて、その部屋を使っていない人にはどこをどう掃除して良いのか分からないのが普通でしょう。

 と、いうわけで研究室の掃除は研究室を使う人間、つまり我々教員と学生諸君、ということになるのです。では、どのくらい清潔度が保たれるのか。これは研究室によってレベルはバラバラだと思います。まあ、使用する装置や実験の形態など、もともと研究室の環境はバラバラですからね(ということにしておきましょう。)

 とはいえ、例外もあります。こんどは「研究室の掃除は業者の方が担当しない」ということの例外。それが年に一度のワックスがけです。

Dekki_burashi

続きを読む

「工学部懇親会」って何?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 新学期が始まって一ヶ月と半分。10連休も終わって(おっと、大学は9連休でしたが)前期授業ものペースをとりもどし、学生諸君も落ち着いてきた様子です。教員にとって大きな行事であるオープンキャンパスにもあと少し時間がある。このタイミングで、工学部の懇親会が開かれました。

 さて、学部の教員の情報交換の場は「教授総会」「アゴラ」など、フォーマルな場もあるのですが、この懇親会はインフォーマルに情報交換をしましょう、という場でもあります。ということでアルコールあり。まずはビールで乾杯してスタートです。

 立食形式のパーティーなので三々五々集まってはいろいろな情報交換を。コーオプ実習先訪問で見た学生さんの様子や保護者懇談会での質問内容の確認、学科ごとの学生の様子や今後の学部の改善案、そして大学の運営に関する意見まで。ざっくばらんに話ができるのがインフォーマルならでの良さです。

Img_campus_map

続きを読む

「先生は何にも分かってくれない!」「はい、その通り。」(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 大学生も4年ともなると自分の研究、卒業論文研究(卒研)を始めます。そのとき学生さんは「先生は何にも分かってくれない!」と感じているのではないかなあ、というのが今回のお話です。

 小学校から大学の卒研が始まるまで、先生と学生とのコミュニケーションは圧倒的に先生から学生へという方向に偏っています。たまに学生から先生に話をする場合も多くの情報は共有されているのが普通。要するに学生と先生とのコミュニケーションは必要とされる労力が極端に少ないのです。(精神的に話しにくい、というのはあるかも知れませんが、それとは別の話です。)

 講義や学生実験のなかで先生が学生さんに質問をする場合などはその典型例でしょう。先生の求める答えは実際には最初から決まっていて、学生さんはその答えを言い当てるだけで良い。極端に言えば自分はその答えが分かっているというサインをだせばOKだったりします。

 でも、これは卒研がはじまる前の話です。研究となれば主体は学生さん本人に。とくに学生さん本人が実施した実験の結果の内容を報告する段になると先生よりも学生さんの方が多くの情報を持っている状態になります。学生さんが先生に教えなくてはならない状況になるわけですね。

Kaisya_kaiwa_communication

続きを読む

「実学」じゃなければ「虚学」なのか?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 ラジオのニュース解説番組を聴いていると耳慣れない言葉が。「虚学」が、どうやら「実学」以外の学問、という意味で使われているのです。最初は弁護士の方がしゃべったので「けったいな表現をする人だなー」と思ったのですが、ラジオのパーソナリティーの方まで「虚学は実学の反対」という解説を付けたので二度ビックリ。そんな言葉があるんだ!

 うーん、余りにも変だ。そう思って内閣府のホームページで「虚学」という言葉を検索してみました。該当は11件のみ。ちなみに同じ条件で「実学」を検索すると468件がヒットします。

 さて、この11件のほとんどは「実学」に対して「虚学」という言葉をその場の思い付きのように使っているものです。例外は日本学術会議の「新しい学術の在り方 ― 真の science for society を求めて ―」という平成17年の第19期日本学術会議「学術の在り方常置委員会」の審議結果報告書ですが、この中では「現在では実学と虚学は対立する概念とは言えない。」と明確に断り書きがついています。

 やっぱり「虚学」という概念があるとしても一般的ではなく、「実学とは言えない学問」を「虚学」と言い換えているだけではないでしょうか。実学だってそんなに定義がハッキリしていないのに、実学以外というのはもっとぼんやりした表現です。そして、端的に言って「虚学」という言い方は注意を要する表現であり、これが教育行政に関わる議論において専門用語として定着することは避けるべきことだと私は思います。 

Photo_6

続きを読む

私が考える「サステイナブル工学」(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 「サステイナブル工学」。本学工学部の一つの特徴として打ち出しているコンセプトではありますが、「サステイナブル工学」は概念としては多くの人が考えているものの、「これがサステイナブル工学だ」という具体的な内容は定まっていないと思います。そこで今回のお題は私の考える「サステイナブル工学」ということにしましょう。

 さて、「サステイナブル工学」を考える前に今までの工学、というか現時点での工学とはどんなものかを考えて見ましょう。工学の誕生は産業革命と相前後していて、産業社会の進歩と同期して工学も進歩してゆきました。この産業と工学の進歩の成果は人々を豊かにするという点で疑いようもないほどに明白な成果を挙げています。多少の問題はあるとしても、この進歩の成果を全肯定することがサステイナブル工学の大前提だと私は考えています。

 この素晴らしい産業と工学ですが、このままでは環境破壊や資源・エネルギーの枯渇を招くことが分ってきました。このまま継続することはできない。つまり、現状の産業と工学はサステイナブルではないことが分かった。これは1970年代にはすでに広く知られる様になっていた考えです。

 ではどうすれば良いか。一つの考え方は環境破壊や資源・エネルギーの枯渇を防ぐために産業と工学の発展を抑制し、さらには後退させようという考えです。このような考えは私は絶対に認められません。そこが私の考える「サステイナブル工学」のポイントです。

Photo_4

 環境破壊や資源・エネルギーの枯渇のためいままでの工学はサステイナブルでは無い、ならば進歩を抑制し時代を遡らせるのか?

続きを読む

貴金属に関する素朴な疑問 (雑感のような書評のような)(片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

 今回は江頭先生(2019年5月2日)の「白金カイロの思い出」に触発されたブログです。

 小学生の頃は切手を集めていた。中学生になってからはマンガの単行本を集めていた。高校生は受験参考書や問題集を「集めて」いた。こうやってみると私の趣味は全て「収集」系のようだ。
 大学生になってからは知識を集めることが趣味のひとつになった。進路先として人類の能力の限界を広げる工学部ではなく知の限界を広げる理学部という学部を選んだ。どのようなことでも新しく知ることは喜びであった。できることなら「全知」になりたいと思う。しかし、それは人間の短い寿命では望むべくもない。「知」は限りないもので、それを集めきりコンプリートすることはできない。


 素朴な疑問を覚え、それを調べる勉強は楽しい。しかし、多くの素朴な疑問は、調べても、調べても、答えを見つけ出せない。

 私の中学生の頃の疑問のひとつは「なぜ白金カイロは『白金』なのだろうか」というものであった。「金よりも高価な白金を使わなくても、同族のパラジウムやニッケルで同じ機能はだせないのだろうか」というものである。
 この素朴な疑問を父(当時、化学の助教授)にぶつけた。「自分で調べてご覧」とはぐらかされた。理科の先生にも尋ねた。「それを理解するには、君の知識(知的な準備)はまだまだ不十分だから、もっと理科を勉強しないさい」とごまかされた。大学生になってからもいろいろな先生に尋ね、いろいろな書籍を読んだけども、満足のいく回答はどうしても得られなかった。

 わたしはしつこいタチのようである。45歳を過ぎて、本屋でその答え(の一部)を記述している書籍を見いだした。

 

Fig_6

左から白金、金、銀、銅のインゴッド(延べ棒)

続きを読む

「全学教職員会」って何?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 前回紹介した「教授総会」と「アゴラ」、本学の教員が参加する会議にはもう一つ、「全学教職員会」があります。

 実は、こちらの記事こちらの記事でも紹介しましたが、本学の「全学教職員会」はその名前通り本学の教員のみならず、職員も含めて全員参加する講演会形式の会議です。この点、学部レベルで開催される「教授総会」や「アゴラ」とは大きな違いです。

 「全学教職員会」は全員参加、とはいえ本学には我々工学部応用化学科がある八王子キャンパスとともに蒲田キャンパスもあります。同じ都内とはいってもそれなりの距離離れているキャンパスをいききするのは結構大変ですから、この「全学教職員会」では両キャンパスの会場の間で相互に映像配信を行い、それによって同時開催を実現しています。

 さて、4月10日の全学教職員会のテーマは学長と理事長による本学の運営方針、基本方針についてでした。学長と理事長による公開座談会という新しい試みも。これが本年度第1回です。

 さらに5月8日、昨日の全学教職員会ではもっと多くの登壇者が登場しました。

Gakutyou

 まずは学長が登壇。今日は蒲田からのオープニングトークでした。

続きを読む

「アゴラ」って何?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 本学の応用化学科、というか工学部は2015年の設立です。私はこの学部設立の1年前、2014年の4月1日づけで大阪大学から本学に移ってきたのですが、その間際の3月14日に

東京工科大学工学部アゴラの開催について(開催通知)

というメールが届きました。ということで今回のお題。「アゴラ」って何?

 まず、このメールにあるアゴラですがメールの本文中に「本学工学部に参加いただきます先生方による打合せ会」と説明がありましたので、まあ意味は分かります。でもなんで打合せ会がアゴラなんだろう。

 本学に来て分かったのですが、「アゴラ」というのは学部で行われる会議のこと。これは他の大学でも「学科会議」とか「領域会議」の名称で行われているものです。これらの会議には二つの役割があり、一つは学科や学部としての決定を行うこと。例えば卒業判定の結果を承認したり、教員の学外(学会など)での活動に許可をだすことなどがこれに当たります。もう一つは学科にある問題点を検討したり大学全体の制度変更に対して意見を出すなど、問題点を話し合うことです。

 本学の場合、決定を下すための会議を「教授総会」と呼び、話し合いのための会議を「アゴラ」と呼んで両者を区別しているのです。本学に赴任前の私達を含めて「本学工学部に参加いただきます先生方による打合せ会」であれば「アゴラ」に分類される訳ですね。「教授総会」と「アゴラ」、参加者は同じですが位置づけは異なりますから議題も議事運営の雰囲気も違っています。「教授総会」の中でも、決定できるほど内容が詰め切れていない場合には「この議題は次のアゴラで議論を」などということもあります。会議の運営方法としてはなかなかよくできていると思います。

 ということで、もう一度。本来「アゴラ」って何でしょう?

 

Tour_img841100145

 

続きを読む

«今日は10連休明け?いえいえ、本学は一足先に授業を再開しています(江頭教授)