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「金のサビ」でナノテクノロジーに貢献します(西尾教授)

| 投稿者: tut_staff

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 こんにちは.金属表面化学研究室の西尾です.ここでは,金の錆(サビ)に関する研究を紹介します.

 綺麗に磨かれた金属製品には艶やかな光沢がありますが,金属の多くは自然環境で錆びる,つまり酸化される特性をもっています.その反応は多様で,リチウムの様に水と激しく反応するもの,鉄の様に除々に酸化されて内部まで錆が進行するもの,ステンレスの様に薄い酸化皮膜を形成して内部を保護するもの等がありますが,いずれの場合も金属の表面は酸化されています.

 一方,金(gold)は最も錆びにくい金属であり,金鉱山から金単体の状態で採掘されます.しかし,金を陽極とし,電解液中で電気を流すとに酸化されてオレンジ色の錆の皮膜ができます. (この操作を「陽極酸化」といい,得られる皮膜を「陽極酸化皮膜」といいます.) 金の陽極酸化皮膜の特性について調べたところ,食品としても使われるクエン酸の水溶液中でも金酸化物皮膜が得られ,非常に微細な多孔質構造を持つ事がわかりました.また,しゅう酸水溶液中では金のまま,真っ黒な多孔質皮膜を形成する事もわかっています.現在,これらの金の陽極酸化に関する研究とナノテクノロジーへの応用を進めています.

西尾 和之

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