本学の技術で開発した高強度高耐熱性ポリイミド樹脂が実用化(山下教授)
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こんにちは。高分子・光機能材料学研究室の山下です。
ポリイミドは450℃の高温に耐える唯一の高分子で、人工衛星などの宇宙材料やコンピュータの回路などに使われている材料です。
私たちは産業技術総合研究所、住友精化株式会社と共同で、ポリイミドに粘土などの無機物を分散したハイブリッド・フィルムを開発しました。陶器やガラスは水や空気を通さず優れた絶縁性をもつ材料ですが、曲げることはできません。柔軟な高分子と無機物をハイブリッド化することで、優れた性能と柔軟性という2つの特徴を両立することができたのです。
開発の当初は、優れたガスバリア性があることから太陽電池用材料としての応用を検討しました。実際、現在市販されている太陽電池用材料はせいぜい10年しか耐久性はありませんが、私たちの開発した材料は少なくとも30年以上もの耐久性があることが分かりました。
いろいろ研究を進める中で予想もしなかったような特性があることが分かりました。まず、高分子に無機物を混ぜたことによって、無機物から赤外線輻射がおき、優れた放熱性を示すことに気づきました。今日のパソコンやタブレットは高性能化に伴って大きな発熱があり、いかに冷却するかが製品開発の鍵となっています。われわれの開発した材料は従来の材料よりもすぐれた冷却性能をもち、テレビやスマホなど電子機器への搭載が始まっています。
また、電気自動車のモーターの絶縁材としてもすぐれた性能を示すことが分かりました。この材料は企業と協力して実用化が始まっています。
化学の醍醐味は当初予想しなかったような現象に出会ったときの驚きにあります。化学の分野でノーベル賞を受けるような研究は実験の失敗から発見されたものが少なくありません。実験室でいろいろな材料に触れ、色やにおいを自分で体感しながら世界があっとおどろくような発見に巡り合えます。皆さんも化学の魅力に触れてみませんか?
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