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2015年2月

2015.02.26

高分子の分子量ってどのくらい?(山下教授)

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図は分子量無限大の高分子ゲル

 高分子は、エチレンやスチレンなどといったモノマーが多数連なった構造をしています。教科書ではポリエチレンは-(CH2-CH2)n-と書かれており、このnが重合度を表しています。一般には「nはすごく大きな数」と言われていますが、具体的にどのくらいなのかは示されていません。いったい高分子の重合度はいくらなのでしょうか?

 一つの例として、もっとも単純な構造の高分子であるポリエチレンについて考えることにしましょう。n=1のときは炭素が2つの分子で、エタンと呼ばれます。エタンは沸点がマイナス89度の気体です。nが5のときはデカンという液体で沸点は174度です。nが10になると結晶となり、減圧(15mmHg)下で205度の沸点をもつようになります。nが60のときにはもろいろう状の固体、nが1000を超えるとポリエチレンのような固い固体となります。このように重合度nの大きさによって同じ構造式であらわされる物質の性質は著しく変化しますが、nが十分大きくなるとnが多少変化してもその物質の性質はあまり変わらなくなります。nが十分大きくなってはじめてポリエチレンはコンビニ袋のように柔軟で丈夫なフィルムとなるのです。このように高分子らしさを発揮するためには十分大きな重合度が必要で、高分子合成に携わる化学者にとっていかに分子量の大きな高分子をつくるかが課題になっているのです。

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2015.02.23

ノーベル賞に注目集まる。公式ブログアクセストップ5。(江頭教授)

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 応用化学公式ブログも昨年、10月27日に三本の記事をアップしてから、今月まで26件の記事が登場しました。

 今回は、記事のアクセスランキングから、人気の高かった5本を紹介します。

第一位 「ノーベル物理学賞おめでとう!天野浩君との思い出。」

 片桐先生がノーベル物理学賞受賞者、天野浩先生との思い出を綴った一文で、昨年10月29日の記事です。12/11に掲載の改訂版と合わせると堂々のアクセス第1位でした。

 やはり、ノーベル賞の話題性が大きいのでしょう か。片桐先生と天野先生は小、中、高と同じクラスで学んだ親友同士。知り合いがノーベル賞を取った、という話も珍しいですが、そもそも小学校から高校まで 同じクラスの旧友がいる、という段階で珍しい気もしますね。

 なお、改訂版には片桐先生と天野先生の高校時代の写真が使われています。最初の記事の写真は片桐先生の高校時代の写真を使ってい ましたが、せっかくなので、片桐先生と天野先生のツーショットの写真が欲しいお願いしたところ、ご実家まで探しに行ってくださり、改訂版の登場となりました。

第二位「天野浩先生(ノーベル物理学賞)からの年賀状」

 これも片桐先生と天野先生のお話し。「成功するまでは苦難の連続でした」というサクセスストーリーは良く聞きますが、実際の年賀状から、それが書 かれた時の気分を想像すると、ずしんと重いものが感じられます。天野先生の年賀状の内容や、その文字から、研究者としての苦悩がにじみ出るようでした。

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2015.02.19

(推薦図書)中西 準子著「環境リスク学―不安の海の羅針盤」日本評論社(江頭教授)

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51ypp70v28l  日本のリスク学の先駆者、中西準子氏の講演やインタビュー、論説を集めた本です。中西氏は、下水処理の問題を起点に環境問題に科学に基づいた現実的な解決・対応を真摯に探求し続けた研究者であり、現在も環境と安全の問題に科学者の立場から積極的に発言を続けていてる方です。氏のホームページ(今年からブログに移行しています。)は多くのアクセスを集めているといいます。

 この本は、専門家向けではなく、一般の人たちに向けた本で「リスク」の本質がわかりやすく説明されています。

 と、3ヶ月前まで思っていたのですが...。

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2015.02.15

新学期の時間割、作成中です。(江頭教授)

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Photo  4月に迫った工学部の開設、いよいよ工学部第一期生のための授業が開始されます。
 まだ最終決定ではありませんが、新年度からの時間割を少し覗いてみましょう。

 まず、大学の授業について。大学以外の皆さんにはあまりなじみがないかも知れませんが、大学の授業は単位制です。授業を選択して受講し、試験に受かると、それに応じて単位が「1単位、2単位、...」ともらえます。これを集めて特定の数に達したら、進級、卒業研究の開始、卒業などが許可されます。
 つまり単位制では、決められた一つの時間割に従うのではなく、自由に授業を選ぶことができるのです。

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2015.02.12

紫外・可視分光光度計が設置されました(西尾教授)

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Uv_2  学生実験用の装置として,最新の紫外・可視分光光度計が納入されました.

 この装置は,波長を厳密に選別した光(単色光)を試料に当て,紫外域から可視域にかけて透過率や反射率を測定するものです.

 研究では「何色」という目での評価も重要ですが,この装置を使うと,光の波長に対する透過率・反射率を図にしたスペクトルが得られます.例えば,UVカットレンズが「何ナノメートルの波長の光」を「何パーセント」カットするのか一目瞭然となります.

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2015.02.07

高尾山から東京工科大学を望む(江頭教授)

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東京工科大学の八王子キャンパスは八王子の南、小高い丘の上にあり、広々としたキャンパスに背の高いビルが建っています。そこからの眺めはなかなかのものになります。

 扇形のビルが向かい合った特徴的な形の建物、研究棟(写真上)からは新宿の高層ビル街からスカイツリーまで眺めることができます。

 応用化学科がある片柳研究棟(写真下)から、北の方向には八王子サザンスカイタワーをはじめ八王子の街並みが、南西の方向には富士山が、そして西の方向に高尾山も見えています。

 高尾山、小学生時代に遠足にいったりしましたか?アクセスが良く、登りやすい山であり、同時に多様性に富んだ植生をもった自然豊かな山です。東京の有名行楽スポットの一つですね。

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2015.02.04

(推薦図書)事故がなくならない理由 芳賀繁「安全対策の落とし穴」PHP新書(片桐教授)

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事故がなくならない理由

芳賀繁「安全対策の落とし穴」

PHP新書、ISBN 978-4-569-80826-0

 リスク・ホメオスタシスについての解説書です。

 たとえば、技術の進歩により車の走行システムは以前よりも安全になり、かなり高速でもカーブを曲がりきれないことはなくなってきました。しかし、それゆえに車に乗る人は以前より高速でカーブに入ることに躊躇がなくなり、結局のところ事故は減らないという結果になります。技術者はその技術の進歩だけではなく、その進歩に「慣れてしまった」人間のこころの動きを理解しなければならない、ということをリスクとそれに関わる人間の心理を軸に述べています。

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2015.02.01

発光分光光度計が設置されました(森本講師)

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本応用化学科にまた新たな測定機器が導入されました。物質の発光現象を調べるのに欠かせない発光分光光度計(日本分光製)です。この装置によって、物質が光を吸収したときに、どのような紫外光・可視光を発するか調べます。

 分子が光(紫外光や可視光)を吸収すると、その中に存在する電子がより高いエネルギーを持った状態に移行します(これを励起と呼びます)。この現象は光エネルギーが分子の中に蓄えられるという風に見ることもできます。この高いエネルギーを持った分子は通常、長いものでも数ミリ秒程度のうちに、そのエネルギーを外に放出して元の状態に戻ります。このとき放出されるエネルギーは熱のかたちで周辺の分子に渡されたり、また励起された電子が分子の外に飛び出して化学反応を起こしたり、場合によっては電気エネルギーとして取り出せることもあります。また別の過程として、そのエネルギーを光エネルギーとして発する分子もたくさん存在します。

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