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(推薦図書)事故がなくならない理由 芳賀繁「安全対策の落とし穴」PHP新書(片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

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事故がなくならない理由

芳賀繁「安全対策の落とし穴」

PHP新書、ISBN 978-4-569-80826-0

 リスク・ホメオスタシスについての解説書です。

 たとえば、技術の進歩により車の走行システムは以前よりも安全になり、かなり高速でもカーブを曲がりきれないことはなくなってきました。しかし、それゆえに車に乗る人は以前より高速でカーブに入ることに躊躇がなくなり、結局のところ事故は減らないという結果になります。技術者はその技術の進歩だけではなく、その進歩に「慣れてしまった」人間のこころの動きを理解しなければならない、ということをリスクとそれに関わる人間の心理を軸に述べています。

 理系学部の学生の中には、大学の教養科目を軽んじる者もいるようです。しかし。新しい技術や科学の開拓に関わるものは、その技術や科学を利用する「人 間」も理解しなければならない、と私は思います。それゆえに、理系だからこそ心理学のような人文科学系科目や法学などの社会科学科目もしっかりと学んで欲 しいと思います。そのような技術や科学と人間との関わりのひとつの切り口を、社会心理学をもとに簡潔にわかり易くまとめたこの本をお薦めします。

片桐 利真

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