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2015年4月

2015.04.29

TOEICという英語実力認定試験について【前編】 (片桐教授)

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Toeic_2 TOEICは企業などで英語能力の審査に使われる試験です。今では、企業だけではなく大学でも単位認定などに使われています。そして、このTOEICは全世界で一律に行われている試験なので、その結果は世界のどこでも通用します。

http://www.toeic.or.jp/index.html

 英検2級に合格する人(高校卒業程度)はだいたい500点は取れます。就職活動において資格欄に記入する場合は理系では600点以上欲しいところです。
 多くの企業では、730点以上で、海外での仕事に堪えると評価されます。
 一部の企業では昇進の条件としてこのTOEICのスコアが求められます。
 N化学工業では550点を取らないと、実績があっても課長になれません。この会社の研究所では研究員が550点以上を取ると、所長さんがおいしい「うなぎ」をごちそうする風習があるそうです。

 T自動車では本社の係長の昇進条件として、600点が義務づけられているそうです。H製作所では部長になるには800点とか、外資系のI社ではマネージャーになるためには830点が求められます。

 パナソニックでは海外勤務者は650点、主事昇格基準として550点を公表しています。その他多くの企業がTOEICを昇進条件として明示しています。
http://www.toeic.or.jp/corpo/intro01/case01/saiyo_dantai.html
このweb pageの会社名を見ていると、一つの傾向を見て取れます。それは海外に事業展開している、あるいは海外との取引を積極的に行っているということです。

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本を読もう:読むことと書くこと、書くために読む(高橋教授)

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Blog1503ab  読書の勧めを、色々なところで耳にし、また目にはいると思います。私たち応用化学科のブログでも、お勧めの図書が挙がっています。来年の受験を控えた受験生の皆さんからは、『そんな時間無いよ』という声が聞こえてきそうですね。私たちの東京工科大学では、学生諸君の日本語力増強のために、今年度、“本を読む”ことに力を入れています。では、なぜ読書を勧めるのでしょうか。ここではその理由を考えてみましょう。

 それは、自分の考えをまとめて人に伝える場面では、知識の蓄積が必要だからです。まとまった書き物をするためには(アウトプットするためには)、十分な情報が必要(インプットが必要)なのです。外からの情報(知識)を得ずに著作物を仕上げることができる人は、そう多くないでしょう。著名な作家であっても、著作物を作るに際して数多くの資料を集め、それらを参考にされているのです。著名な作家の蔵書量が数万冊という話を聞いたことがあると思います。

 皆さんは、司馬遼太郎という作家をご存知でしょう。数多くの歴史小説や評論を残されていますね。大阪府東大阪市にある司馬遼太郎記念館では、6万冊におよぶ多くの蔵書や資料などが展示されています。以前この記念館を訪問した際には、その蔵書と晩年に使われたという書斎を拝見し、「こういう書斎でじっくりとまとめることができるといいな」でも、「やはり書くためには、読んで知識を得ることが大事だな」と感じ入りました。(写真は、記念館外観と書斎です。)

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2015.04.27

光と分子の不思議な相互作用(山下教授)

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 我々は光を当てると反応して様々な機能を発現する高分子材料の開発を行っています。

 私が最初に「光」に興味をもったのは大学2年生のときです。当時私は化学部に属し、大学祭で化学発光などのデモ実験を行うことになり試薬の合成に取り組みました。自分たちで合成した2つの試薬を混ぜた瞬間、鮮やかに輝く液体を見て心惹かれたことが鮮明に記憶に残っています。当時の私にとって、日焼けとか感光性樹脂から連想すると、分子に光エネルギーを与えると化学反応がおこるということは、詳細な反応のしくみはさておきなんとなく理解はできると思いました。ところが逆に分子が化学反応を起こし、そこから光が出てくるというのがなんとも不思議に思えたのでした。

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 卒業研究では光固相四点重合で世界的に有名な長谷川正木先生の研究室を選び光化学反応の研究を行いました。大学院では西郷和彦先生の指導の下、有機合成反応の素反応の開拓を行い、有機材料の合成技術を身に着けました。博士課程二年の春、東京大学に先端科学技術研究センターが発足し急遽助手のポジションができたということで三田達先生のもとでポリイミドの光機能の研究をはじめ、その後、堀江一之先生らとともに光化学反応を経由して光で光を制御する新しい技術「フォトオプティカル効果」を見出しその材料開拓、Moerner教授たちとの巨大プロジェクトである光化学ホールバーニング(PHB、波長多重記録によって人間の脳の記録密度に迫る超高密度メモリーの開発)をおこないました。分子が光を感じて色や形を変えることにわくわくするような喜びを覚え、連日夜中の12時過ぎまで研究室ですごしました。

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隠れた存在(?)の,過マンガン酸カリウムに匹敵する強い酸化剤(西尾教授)

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 高校の化学で酸化剤と還元剤について学びますが,教科書では,過マンガン酸カリウム(KMnO4)が強い酸化剤として紹介されています.過マンガン酸カリウムのMnの酸化数は+7という高い酸化状態ですが,相手の物質を酸化させ(酸化数を増大させ),Mn自身は還元されて酸化数が減少します.酸性水溶液中では+2に,中性・塩基性水溶液中では+4になります.

 高校の化学では酸化剤・還元剤の反応の進みやすさ(強さ)を数値で厳密に示すことはしませんが,大学では,電気化学で「酸化還元電位」あるいは「標準電極電位」という,V(ボルト)での定義について学びます.酸化還元電位の高い物質やイオンは還元されやすいため,強い酸化剤となります.過マンガン酸カリウム(水溶液中では過マンガン酸イオン, MnO4-)の標準的な酸化還元電位は+1.51Vで,この数値はマンガンやアルカリマンガン乾電池の電圧程度ですが,酸化還元電位としては非常に高い値です.(電圧と電位の定義の違いも,電気化学で学ぶ重要な内容です.)

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2015.04.24

化学クラブ研究発表会に参加して(須磨岡教授)

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 3月27日に日本化学会関東支部主催(後援:文部科学省)の化学クラブ研究発表会(http://kanto.csj.jp /?page_id=387)に審査委員として参加してきました.この発表会は,関東地区の中学校・高等学校の化学クラブや理科クラブで行われた化学に関 連する研究成果の発表の場として毎年開催され,今年で第32回目となります.今年も,関東各地から多くの中学校・高等学校の参加がありました(口頭発表 31件,ポスター発表41件,日本化学会東海支部化学教育協議会より派遣されたエキシビション発表1件).
 口頭発表の会場は広く立派だったため か,壇上に登った発表者の緊張が伝わってきましたが,生徒の皆さんには良い経験になったと思います.研究内容も,身近な話題を追求したテーマや環境やエネ ルギーに関するテーマなど,いずれの発表も大変興味深いものでした.また,ポスター発表では,コメンテーターの先生方だけではなく,参加した中学生・高校 生の間でも熱い議論が交わされ,会場は熱気にあふれていました.やはり,興味を持ったテーマに関する調査や実験には各自の思い入れがあり,教科書の丸暗記 とは異なるものがそこにあることを痛感しました.   

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2015.04.22

新入生交流会を開きました(江頭教授)

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 4月、東京工科大学工学部の開設と同時に新しい学生さんが入学してきました。応用化学科も90名の新入生を迎え、すでに授業を開始しています。

 4月18日の土曜日、新入生を歓迎する交流会を開きました。新しい学生生活を始めた新入生諸君とわれわれ教員との交流はもちろん、学生諸君の相互の交流も目的です。

 場所は本学の体育館。入学式を行った場所で今度はスポーツです。優勝賞品(図書カード)をかけて各チーム、熱い戦いを繰り広げてくれました。

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推薦図書 松田 勝彦著 「商品から学ぶ化学の基礎」 化学同人(原准教授)

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 我々の身近にある様々なものは、実に多くの化学の原理に基づいています。本書は、普段当たり前に接している身の回りの商品の不思議を再認識し、どのような化学で成り立っているかを知ることができます。
  例えば、花火の化学についてその歴史を含めて興味深い紹介があります。夏目漱石は「化学とは花火を作る術ならん!」と書いたとのことです。我々の心を動か す花火にも多くの化学があるのです。どのような化合物の組み合わせで夜空を彩る大爆発を設計するのか、それを実現するためにどのようにして先人は化合物を 手に入れたかが解説されています。
 また、緑茶の主成分であるテアニン(うま味)、カテキン(渋味)、カフェイン(眠気覚まし)の3つについての 紹介も読者の興味を引く内容になっています。これらの有機化合物の化学構造がさりげなく示されていますが、それよりも栽培方法と成分の関係、お茶の味との 関係、おいしいお茶の入れ方の理由などを知ることができます。これらのお茶の化学を知れば、普段のお茶の時間もさらに楽しめるかもしれません。   

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2015.04.20

学生実験の今昔(江頭教授)

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 4月17日(金)から東京工科大学 応用化学科の学生実験が本格的に開始されました。先週のガイダンスを受けて、いよいよ学生が実験室に入って実験を開始したわけです。
 最初は多少の混乱もありましたが、事故もなく実験もほぼ予定通りに終わって一同、ほっとしています。私(江頭)は実験の基礎としてホールピペットを例とした「計量の正確さ」を検証する実験を担当しました。
 具体的には「ホールピペットで純水を計量して、その重さを量る」という作業を繰り返すもので、作業そのものは単純なものです。しかし、測定における誤差の考え方を学び、与えられた目盛を盲信せず自分でチェックする姿勢に触れる、という意味で大切な実験なのです。

 実は私も学生時代、これと同様の実験をしていました。もう30年ほども前の事ですが、作業の内容はほとんど同じです。ただ、一点だけ大きく進歩したところがあったのです。

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光触媒で化学物質をつくりだす(森本講師)

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 触媒とは、それ自身は反応の原料にはならないけれども、起こらなかった反応を進行させたり、遅い反応を促進する作用を持つ物質のことです。ハー バー・ボッシュ法によるアンモニア合成をはじめとする現在の化学工業における重要な反応には、たいてい触媒が不可欠です。また、実験室スケールの実験で も、酸・塩基や遷移金属等を触媒とする反応が日常的に使われ、様々な新規化合物を創り出すための原動力となっています。

 この触媒の一種として「光触媒」と呼ばれる物質があります。これは、光エネルギーを吸収して、それによってある反応を促進する物質です。私たちの 身の回りでは、壁や窓ガラスに光触媒を塗ることで、光エネルギーを使って汚れを分解したり、汚れを防ぐ反応を進行させる、というような応用例があります。 また、植物が行っている光合成は、光エネルギーを使って二酸化炭素を炭水化物に変換するので、一種の光触媒系と見ることもできるでしょう。

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2015.04.18

「応用化学×ICT技術 —新感覚な化学の授業を目指して—」(上野講師)

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上野です。

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 東京工科大学では、ICT設備(情報通信技術:コンピュータやネットワークなどに関する技術やサービス)に力を入れており、それを積極的に授業に取り入れています。例えば、学生の出欠確認、教員と学生の電子ファイルのやり取り、アンケートや小テストなどを全学で共通のシステムを使用し ています。当然、ほとんどすべての教室や研究室で無線LANを自由に使用でき、教員や学生は使用することができます。

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2015.04.13

科学者と良心(山下教授)

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 みなさん、こんにちは。

 昨年度、世間を騒がせた話題の一つが「科学における捏造」でした。

数々の優れた研究や発見も、多くの科学者が類似の研究を進める中である一人の研究者の独創的な発想によって成し遂げられます。その過程では多くの他の研究者が同じ現象を見ていたかもしれませんが、ちょっとした変化に気を留めたかどうかが成否の分かれ目となります。科学は自然という客観的事象を対象とした学問でありながら、科学者という主観が非常に重要な役割を果たしているのです。

Img_20150525_103743  ところが、科学の研究は極めて客観的に遂行されなければならない、というルールがあります。自分の主観で意見を述べるのではなく、誰もが共通で観察できる客観的事実に基づいてのみ議論されるのです。たとえば、お医者さんは患者を診ながら聞いたこと、観察したことを逐一カルテに記入してゆきます。これと同様に、科学者も実験の過程をこと細かく実験ノートに記し、論文ではそれを忠実に公開するのです。実験結果が生まれるまでの過程を世界中の科学者と共有して客観的な議論をすることによって絶対的な真実に迫ろうとするのが現代の科学の方法論なのです。

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2015.04.07

「工学実験を安全に行うために」(江頭教授)

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3 「工学実験を安全に行うために」
 これは、本年4月から開設される工学部のために書き下ろされた安全に関するマニュアルです。4月から始まる学生実験の開始に合わせて昨年度から準備を重ね、2月19日に印刷にまわすことができました。
 じつは従来から、東京工科大学の八王子キャンパスでは安全マニュアルとして「安全のてびき」という冊子が作られています。にもかかわらず、なぜ新たな安全についての冊子が必要なのでしょうか?その大きな理由のひとつは、私たちが日常使っている機械と実験で使う機械とで、大きな違いがあるからです。

 皆さん、いまこのブログをPCで見ていますか?それともスマートフォンでしょうか?
 正直に答えてください。PCやスマホを使い始めるとき、マニュアルをきちんと読んでから使い始めた人、いますか?

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