核磁気共鳴装置が新規に導入されました(森本講師)
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応用化学科が管理する装置に、核磁気共鳴(NMR: Nuclear Magnetic Resonance)装置が加わりました。この装置は、分子構造を決定するのに必要不可欠な実験機器です。
分子は様々な種類の光(電磁波)を吸収します。例えば、紫外光や可視光は分子の中の電子の運動を、赤外線は分子の振動運動を、マイクロ波は分子の回転運動を活発にする(励起する)ことができます。これは、分子がいろいろな電磁波に対する「アンテナ」を持っているという風にイメージできるかもしれません。また、分子はある特殊な条件下で、別の電磁波に対する「アンテナを開く」ことがあります。そのうちの一つに、分子が非常に強い磁場の中に置かれたとき、ラジオ波を吸収するようになるという性質があります。
「ラジオ」いう言葉からを聞くと、周波数によって色々な放送局があって、それぞれには異なる雰囲気の番組がある、というようなことを連想しませんか?これに似たことが強磁場中に置かれた分子には見られます。例えば、メチル基の水素原子とアルデヒド基の水素原子は化学的には異なる環境・雰囲気にある水素であるとわかりますが、実はこの2つの水素は異なる周波数のラジオ波を吸収します。同様に、6個の炭素からなる化合物、ベンゼンとシクロヘキサンの水素も異なるラジオ波に応答します。この性質を利用すると、分子がどのラジオ波を吸収するかによって、その分子内にある原子の置かれている環境・雰囲気を明らかにできる、つまり、構造を解析することができます。
核磁気共鳴装置はこの構造解析法を実行するために使用する装置です。
写真右側の脚三本の大きな物体は超電導磁石で、液体ヘリウム・液体窒素で常に冷却されています。そして、写真中央の小さめの箱はラジオ波を発生させるための装置です。そして、写真左のパソコンでどの周波数のラジオ波が分子に「受信」されたかを解析することで、化合物の構造を決めることができます。
この装置は学生実験だけでなく、最先端の研究にも欠かせないものです。化学の道に進むみなさんにとって、新規に合成する化合物が本当に思った通りの構造になっているかを調べることは、化学(分析)の基本です。こういった機器分析による化合物の構造解析も化学の大事な一分野ですので、その活用法や原理を講義・実験や研究室で身につけてください。
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