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八王子市でバイオマスについて考える(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

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 バイオマスとは植物(あるいは動物)がつくりだした物質、それもある程度の量(マス)が確保できるもの、といった意味です。鉱物資源などと違ってバイオマスは必要に応じて再生産が可能なので、サステイナブルな社会の重要な資源の一つになる訳です。
 特にバイオマスからエネルギーを得よう、という研究は古くから続けられてきました。石油や石炭といった化石資源が使われる以前は薪が主要なエネルギー源だったことを考えると自然な発想かもしれませんが、それは産業革命以前のこと、今や使用されるエネルギーの量は劇的に増加しています。バイオマスだけで人間の生活に必要なエネルギーを得ることはやはり大変なことなのです。
 さて、あなたが「バイオマスエネルギーで一儲けしよう」と思ったらどうしますか?まず大量の植物が育つところに畑を作るのではありませんか。場所は赤道付近の日照時間の長いところが良いでしょう。大陸の内部は降雨量が少ないので海の近く、大きな川のそばも良いでしょう。ブラジルでしょうか。インドネシアでしょうか。大農場のそばに大規模な工場を作って液体燃料を製造、大型タンカーで世界各地に輸送しましょうか。日本よりは人件費も低いので一挙両得ですよね。

 なるほど、でも現状ではバイオマスから得られる液体燃料は石油より高価です。一儲けのためなら石油が売った方が楽ではありませんか。いえ、もっと簡単な方法もあります。石油会社の株主になれば寝ているだけで配当が入ってきます。

 そうです。経済性だけを考えるならバイオマス燃料に(少なくとも現在は)魅力はありません。しかし、バイオマス燃料はサステイナブル社会に移行した未来の社会では必ず大きな役割を果たしているはずです。この時間のギャップをどのように埋めていくのか。技術にこだわりつつも技術にとらわれずに、「八王子」という地域に根ざした解答を探していきたいと思っています。[写真は八王子長池公園で回収された剪定枝。ほとんど薪のような高品位のバイオマスが定期的に得られます。]

江頭 靖幸

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