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化学の基本は実験にあり(森本講師)

| 投稿者: tut_staff

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 本学に工学部・応用化学科が設置されて2ヶ月が経過しました。現在最初の学部1年生が一般教養や学部・学科開講の講義を受けると同時に、できたての学生実験室で学生実験を行っています。学生が実験に取り組んでいるのをみていて感じることは、学生の皆さんが座学で学んできた、または、学んでいる化学の知識はそのほんの一部でしかなく、実験してみてはじめて気づくことがたくさんあるということです。

 簡単な例として、「分子量Xの化合物AをY gはかりとり、水に溶かして100 mLの溶液を調整する。このAの水溶液のモル濃度を求めよ」という問題を考えましょう。これは高校化学でもよくある濃度の基本問題で、「Y/(0.100X) mol/L」と求めることができるでしょう。
 では、この実験操作を実際に行うことを想像してみてください。まず、「化合物AをY g測りとり」というのは、家の台所にあるような天秤ではかってよいのか、それとも0.1 mgの違いもわかるような天秤でなくてはならないのか、実験の目的に応じて使い分けなければなりません。

 次に、「水に溶かして100 mLの溶液を調整」については、メスシリンダーではかりとった100 mLの水に溶かすのでよいのか、メスフラスコで正確に100 mLの溶液をつくる必要があるのかも、目的が分析なのか合成なのかによって操作が異なるでしょう。もっと細かくいえば、化合物Aは通常の空気中で扱えるものなのか(潮解性や風解性等はないか)、また、水は水道水でよいのか蒸留水がよいのか等も考えなければなりません。本学科の1年生はまさに今、このような実験に臨んではじめて気がつく細かい事柄を体験・体感しています。

 高校の教科書・参考書には、いちいちそんな細かいことは記載されていません。そこまで扱う余裕がないというのもありますが、一番の理由は、今欲しい情報・データを取得するために、適切な操作や手順を実験者自らが学び、考え、実行することが求められているからだと思います。その「化学の作法」を学ぶ場が学生実験といえます。

 今化学の教科書に載っている法則や事実も、もともとは科学的に信頼できる実験操作と実験手法に基づいて明らかにされてきました。これから化学者として新しい物質をうみ出し、新たな事実を証明するときに必要となるその作法を、学生がしっかり身につけられるように、私達応用化学科教員も講義や実験の指導を行っています。

森本 樹

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