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学生実験をみてみよう その8「反応熱」(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

Fig1_2

 本学の学生実験を紹介する本シリーズも今回で8本目になりました。

 今回のテーマは「反応熱」です。

 実験自体は高校でも行われる定番の実験。「水にNaOHを入れた後に塩酸で中和」「水に塩酸を入れた後にNaOHを投入」。

どちらの順番でも発熱量は変わらない、というヘスの法則を実験的に示すのことが目的です。

 高校でこの実験を体験した人、右の写真を見て違和感はありませんか?

 そうです。実験は普通のビーカーで行っていて、とくに保温に注意を払っていないように見えます。高校の教科書では発泡スチロール製のカップを利用した実験が紹介されていたのではないでしょうか?

 発泡スチロールを使うのは断熱のほか、熱容量が小さくて水と比べて無視できるから、と説明さています。でもいくら発泡スチロールだからって、熱容量を無視するなんて、といつも思っていました。

 そこで、今回の工学基礎実験Ⅰ(化学)では、「容器が加熱される」ことを前提にする(つまり、熱容量は一定だが値は不明でもかまわないとする)、ことで発熱量の値を計算せず、その変わり二つの実験での温度変化を比べることでヘスの法則を検証することにしました。
 えっ!?断熱はどうなったかって?
 断熱対策はこれです↓

Fig2_2

2リットルのビーカーを使って反応器のスケールを大きくしてみました。

「大きいものは冷えにくい」、二乗三乗側とよばれる法則を応用して断熱性を向上させた実験が可能になります。

大きなビーカーを使った実験ではより精度良くヘスの法則が成り立つことが示されます。

おまけ

大きなビーカーをかき回す特別のスターラーの動画を以下に。

Fig3

以前、紹介したスターラーに関する記事(その1その2)の一部ですが、実はこのスターラーチップの作成はこの実験の下準備だったのです。

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