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2015年7月

2015.07.31

学生実験をみてみよう その8「反応熱」(江頭教授)

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 本学の学生実験を紹介する本シリーズも今回で8本目になりました。

 今回のテーマは「反応熱」です。

 実験自体は高校でも行われる定番の実験。「水にNaOHを入れた後に塩酸で中和」「水に塩酸を入れた後にNaOHを投入」。

どちらの順番でも発熱量は変わらない、というヘスの法則を実験的に示すのことが目的です。

 高校でこの実験を体験した人、右の写真を見て違和感はありませんか?

 そうです。実験は普通のビーカーで行っていて、とくに保温に注意を払っていないように見えます。高校の教科書では発泡スチロール製のカップを利用した実験が紹介されていたのではないでしょうか?

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2015.07.30

コーオプ実習のある工学部って、ひょっとしてお得?(笹岡コーオプセンター長)

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(本学工学部の特徴、就業力を高める本格的なコーオプ教育について笹岡コープセンター長が直接紹介するブログ記事です。工学部電気電子工学科BLOGより転載。)

 コーオプセンター長の笹岡(コーオプ教育担当)です。

 7月6日(月)、8日(水)、9日(木)と三日間、昼休みを使って、今夏のコーオプ実習のトライアル(試行)の学生募集を行う説明会を開催しました。

 工学部以外の八王子キャンパスの2,3年生が対象でした。コーオプ実習の期間は学生と企業が合意した8月5日から9月17日までの間の一定の期間(実働5日以上)です。実働5日以上としているのはインターンシップの単位が1単位あげられるからです。一昨年春休み以降これまで5回、延べ65名の学生がこのトライアルに参加し、希望した学生50名全員に成績を付けて単位をあげました。

 それにしても驚きは説明会への参加者の数です。

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2015.07.29

「シアナミド」(高橋教授)

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 大学、企業、様々な研究機関において、有機化学、無機化学、高分子化学、生物学、医薬などそれぞれの分野で、新しい物質が日夜報告されています。

 以前に、世界中の物質を集計しているアメリカ化学会(CAS)のデータベースがあることを紹介しました。そのデータベースによると、7月時点で、1億件以上の物質が登録されています。
 これらの膨大な数の化学物質の中で、毒物及び劇物について、保健衛生上の見地から必要な取締を行うことを目的とし、製造、輸入、販売、取扱いなどが規制されています(毒物及び劇物取締法)。そのようなものを合成しなければ良いではないか、とも言えません。例えば、殺菌作用を有する製品を作るためには劇物、毒物に分類される物質も必要になります。

 今回、シアナミド(H2CN2)という言葉を引用したのは、この物質が毒物及び劇物指定令(*1)に追加されたと、官報(*2)第6557号(平成27年6月19日)で目にしたからです。

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*1:毒物及び劇物取締法の規定に基づき、この法律の別表の載っていない毒物や劇物を指定する政令
*2:法律、政令、条約等の公布をはじめとして、国の機関としての諸報告や資料を公表する「国の広報紙」

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2015.07.28

仕事で大切なこと、ほうれんそうのポイント(笹岡コーオプセンター長)

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(本学工学部の特徴、就業力を高める本格的なコーオプ教育について笹岡コープセンター長が直接紹介するブログ記事です。工学部電気電子工学科BLOGより転載。)

こんにちは、コーオプセンター長の笹岡(工学部コーオプ教育担当)です。

前回のブログで仕事では「報連相」が大切と書きました。これまでの試行で一度コーオプ実習予定者に以下のような一斉メールを書いておりました。「報連相」の要点として丁度良いと思いましたので、引用します。

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これから書く内容は企業で実習する本学学生に最低限の社会人基礎力として心得ていてほしいことです。いわゆる「報連相」に関するポイントですので、今後の企業実習ではぜひ実践してください。

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2015.07.27

光で動く材料~フォトメカニカル材料(山下教授)

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 自動車はガソリンでエンジンを回転させて動きますし、電車は電気と磁石でモーターを回転させて動きます。ジェット機は高圧ガスを噴射して動き、また、生物はATPで組織を変形させて動きます。
 近年、光エネルギーにより動く材料の開発が精力的に行われています。光で発電してモーターを回して動くのではなく、光エネルギーを直接材料の動きに変換する研究で、フォトメカニカル効果と呼ばれます。(右図をクリックしてください。フォトメカニカル現象の具体例です。)

 この研究は化学者にとっては大変魅力的なテーマです。

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2015.07.24

学生実験をみてみよう その7「吸光分析」(江頭教授)

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 本学の学生実験を紹介するシリーズ、今回は7本目です。

 今回は分光分析、タイトルからして分光光度計を使用した実験であることはおわかりでしょう。本学科の分光光度計については以前こちらで紹介しましたが、今回使用するのは写真にあるような、もう少し小型の装置です。(工学基礎実験Ⅰ(C)の後半は3人が人グループになって7~8班が一度に同じ実験を行いますので、数が多く必要になるからです。)

 鉄鋼中のマンガンの含有量が何パーセントか、を測定する。これが実験の目的です。得られるのは一つの数値ですが、そのためには検量線の作成から試料の調整まで、たくさんの操作を正確にこなしていかなければなりません。

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2015.07.23

コーオプ実習、そして仕事で大切なこと(笹岡コーオプセンター長)

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(本学工学部の特徴、就業力を高める本格的なコーオプ教育について笹岡コープセンター長が直接紹介するブログ記事です。工学部電気電子工学科BLOGより転載。)

こんにちは、コーオプセンター長の笹岡(工学部コーオプ教育担当)です。

本日は、コーオプ実習(試行)を経験した先輩方の実際の声とそこからわかるコーオプ実習で大事なことをお伝えしたいと思います。

前々回のブログでは実際にコーオプ実習が試行として行われたことに触れましたね。実は、私が着任してからは50名の学生をコーオプ実習の試行に送り出し、実習終了後原則全ての先輩学生と面談をしました。

それによれば、まず会社で働くということはどういうことか、即ち、個人ではなく、周りの方々と協調してチームで成果を出すということが如何に大事か理解できたことのようでした。

例えばある学生は、小さな会社だったので社内会議に出させてもらったそうです。

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2015.07.22

学生実験をみてみよう その6「凝固点降下による分子量測定」(江頭教授)

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 本学の学生実験を紹介する記事、今回で6本目になりました。

 今回のテーマ、凝固点降下は高校の化学でも学ぶ内容で、溶液の凝固点降下度は溶質のモル濃度に比例していること、その比例係数(凝固点降下定数)が溶媒によって一定であることを利用すれば分子量を測定することができます。

 はい、ここまでは教科書で判る範囲ですが、それを実際に実験してみる、となると簡単にはいきません。写真の融点測定装置を使って2コマ分、約3時間の時間をフルに使って測定に取り組むことになります。

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2015.07.21

コーオプ実習から生まれた製品(笹岡コーオプセンター長)

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(本学工学部の特徴、就業力を高める本格的なコーオプ教育について笹岡コープセンター長が直接紹介するブログ記事です。工学部電気電子工学科BLOGより転載。)

こんにちは、コーオプセンター長の笹岡です。

今回もコーオプ教育について最近のニュースを報告します。
本学学生(当時コンピュータサイエンス学部2年生)が今年の春休みに㈱エイビットで約1か月コーオプ実習でお世話になった際に開発した製品、無線による遠隔操作用のキットが実際に製品化されたというニュースです。

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2015.07.20

It’s a small world ~ 桁を表す接頭語(山下教授)

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 化学の世界では非常に大きな数字や非常に小さな数字が表れることがあります。たとえば、原子の大きさは0.0000000001m、大気の圧力は100000Paなどです。このように桁が大きいあるいは小さい場合、ゼロの数を数えるのは大変なので普通は指数形式で表現し、10-10mや105Paと記述します。しかし指数にするとゼロの数はわかりやすくなりましたが毎回その大きいあるいは小さい数が登場することには変わりありません。そこで、桁を表す接頭語を用いることにより扱いやすい大きさの数字で表現することができます。
 たとえばキロ(k)という接頭語は1000を表すので1000メートルという代わりに1キロメートルとなります。このような桁を表す接頭語にはどのようなものがあるかご存知でしょうか?

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2015.07.17

記事100本到達記念「応用化学科ブログ」あれこれ(江頭教授)

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この応用化学科ブログも今回で100本目の記事になりました!
今回は以下の内容でこのブログの今までを振り返ります。

  1. アクセスランキングNo1はやっぱりこれ 
  2. google検索で上位に!「学生実験 ガラス細工」
  3. 入学予定者には気になる「新学期の時間割」

1.アクセスランキングNo1はやっぱりこれ
 「ノーベル物理学賞おめでとう!天野浩君との思い出。」
 本学の片桐先生とノーベル物理学賞受賞者、天野浩先生は実は小、中、高と同じクラスで学んだ親友同士。その思い出を綴ったこちらこちらの記事がやはりアクセス数トップです。

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 以前、本ブログのアクセストップ5を紹介した記事でも書きましたが、知り合いがノーベル賞を取った、という話以前に、そもそも小学校から高校まで 同じクラスの旧友がいる、という段階で珍しいですよね。大学院生時代の片桐先生に天野先生が送った年賀状を紹介した記事「天野浩先生からの年賀状」も心に響く内容でした。

 大学院といえば片桐教授の「大学院のすすめ」三部作(第1回第2回第3回)も多くのアクセスを集めた人気の記事でした。

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2015.07.16

東京工科大学のコーオプ教育(笹岡コーオプセンター長)

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(本学工学部の特徴、就業力を高める本格的なコーオプ教育について笹岡コープセンター長が直接紹介するブログ記事です。工学部電気電子工学科BLOGより転載。

 こんにちは、1年後期から始まるコーオプ教育担当の笹岡(研C307:ほとんどおりませんが・・・(^_^;))です。

 コーオプ教育のクライマックスであるコーオプ実習は、最初のガイダンスでも説明しましたが、時給900円で6~8週間、原則企業で働いてもらう東京工科大だけのユニークな実習です。

 これまで試行(工学部での本格実施に向けた予行演習)ということで、既存のコンピュータサイエンス学部やメディア学部の学生、延べ65名に実際に企業でコーオプ実習を体験してもらいました。実習期間が5日以上の方には希望すれば全員インターンシップの単位も1単位付与しました。

 これまで50名の先輩が最大で6週間のコーオプ実習を経験し、そのうち私の知る限りでも数名がそのまま実習先企業で内定をもらって就職しています。もらった給料で自動車教習所に行って運転免許を取った方もいます。

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2015.07.15

水素結合の話-DNA編(須磨岡教授)

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図1 DNAの二重らせん構造と相補的塩基対

 大学入試の化学では,しばしば「水素結合」に関する出題が見られます.2015年のセンター試験でも出題されていた水素化合物の沸点に関する問題はその典型といえるでしょう.

 水素結合とは,電気陰性度の高い原子(フッ素,酸素,窒素など)に共有結合した水素原子が,近くに存在する分子のいくらか負の電荷を帯びた原子(フッ素,窒素,酸素など)と主に静電気力によって引き合ってできた結合のことをいいます.ただし,結合とはいっても分子間力のひとつであり,水素結合の強さは共有結合の10分の1程度の弱いものです.しかし,水素結合は,生体の中では構造の維持や機能の発現に重要な働きをしています.高校化学の教科書で最後の方にある天然高分子に関する章を見てみましょう.遺伝子の本体であるデオキシリボ核酸(DNA)は,糖(デオキシリボース),核酸塩基,リン酸からなるデオキシヌクレオチドが鎖状に縮合重合した高分子で,核酸塩基にはアデニン(A),チミン(T),グアニン(G),シトシン(C)の4種類があります(図1).

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2015.07.14

学生実験をみてみよう その5「緩衝液」(江頭教授)

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 本学の学生実験を紹介する記事、今回はその5回目です。

 応用化学系の工学基礎実験Ⅰは最初に実験の基礎を学ぶための二つの実験(化学メッキと実験基礎)を行った後、四つの班に分かれて「中和滴定」「ペーパークロマト」「ガラス細工」「液晶」など実験を行いました。
 四班で四種類の実験を行って一巡したあと、こんどは二巡目の実験が始まります。
 さて、今回紹介するのは二巡目の実験の一つ、「酸解離定数と緩衝液」です。
 右の写真を見てください。緩衝液の実験のセットアップです。
 特に目立つのはビュレットとビュレット台。これは一巡目の「中和滴定」でも使ったもので、同じように水酸化ナトリウム溶液を滴定してゆく実験操作を行います。
 では、「中和滴定」の実験と今回の「緩衝液」の実験、どこが違うのでしょうか。違いはこの写真にも写っているのですが、気がつきましたか?

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2015.07.13

常温核融合 【続続・科学者と良心】(山下教授)

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 原子力はウランなどの核分裂反応を利用してわずかな量の核物質から莫大なエネルギーを取り出すことができます。これに対して核融合反応は重水素やトリチウムなどの軽い元素を核反応によってくっつけ、エネルギーを取り出すものです。ウランなどの核分裂反応に比べさらに大きなエネルギーを取り出せ、また、ウランなどの放射性物質が必要ないことから人類にとって大変魅力的なエネルギー源と考えられます。ところが、原子どうしを核融合がおこるほど近づけ反応させることは容易ではなく、圧縮するための強力な起爆剤が必要になります。一例を挙げると、水素爆弾は重水素の核融合反応を利用し原子爆弾の数百倍のエネルギーを発生させることができるものですが、重水素どうしを圧縮し核融合反応を起こさせるための起爆剤には原子爆弾が用いられている、換言すれば、原子爆弾のエネルギーを用いないと核融合が起こるほど原子核どうしを近づけることはできないということなのです。
 1989年3月23日にイギリス・サウサンプトン大学のマーティン・フライシュマン教授とアメリカ・ユタ大学のスタンレー・ポンズ教授が、重水を満たした試験管にパラジウムとプラチナの電極を入れ電流を流したところ、電流による発熱以上のエネルギーが発生し、核融合の際に生じるトリチウム、中性子、ガンマ線を検出した、すなわち試験管の中で核融合反応がおこったと発表しました。これが事実とするならば大変衝撃的です。

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2015.07.10

応用化学科紹介映像の撮影 その2 (西尾教授)

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 応用化学科の映像撮影の最終日は、学生実験の様子を撮影しました。この日は、新入生90名が4グループに分かれて吸光光度法、凝固点降下、反応熱測定、緩衝溶液の実験にそれぞれ取り組みました。実験に集中している学生にとっては、撮影隊は単に邪魔な存在だった様です。しかし、応用化学を志望した新入生が真剣に実験に取り組んでいる姿を、皆さんに後日動画で見て頂けると思います。

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2015.07.09

応用化学科紹介映像の撮影 その1 (西尾教授)

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東京工科大学は、学内の事を良く知ってもらう方法の一つとして、映像を数多く取り揃えています。今年の4月に設立されたばかりの工学部も、紹介映像を充実させるために撮影を行いました。

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2015.07.08

SciFinder講習会を実施しました!(上野講師)

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こんにちは、上野です。

 今年度4月から本応用化学科が設置されたわけですが、それに伴い化学に関連するいろいろな環境が整ってきました。その中の一つにSciFinderも挙げられ今年度4月から利用できるようになり、6月にはSciFinder初心者講習会を実施しましたので紹介します。

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 SciFinderとは、Chemical Abstract Serviceが提供するデータベースであり、有機化合物・無機化合物・高分子・タンパク質などの幅広い物質科学分野の世界中の文献・物質・反応情報を調べることができます。大学で化学を専門にしている人はほとんどと言っても良いほど知っているくらい有名なデータベースです。私の専門分野である有機合成化学では頻繁に使用しています。例えば、ある有機化合物の合成方法を知りたいというときは、その化合物の反応式を描いて検索すれば、過去の文献のデータベースから検索結果を抽出して、こちらの希望する結果を表示してくれます。

 6月16日(火)には化学情報協会の担当の方にお越しいただき、本応用化学科の1年生向けに初心者講習会を実施していただきました。

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2015.07.07

書評「水俣病の科学(西村 肇, 岡本 達明 著 日本評論社)」(江頭教授)

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 これは面白い本です。それも科学の面白さを伝えてくれる本だと思います。

 もちろん興味深い、とか考えさせられる、という面もあるのですがそれ以外の科学の面白さ、あえて言えば「スリリング」な面白さを感じさせてくれる、というのが私の感想です。

 内容は表題の通りで水俣病についての研究成果をまとめたものです。前半はかつてチッソの水俣工場で働いていた岡本氏が当時の状況を解説。水俣工場で水銀がどのように扱われていたか、など水俣病の原因特定までの議論の流れと対比すると興味深い内容です。

 後半は水俣病の本当の原因が何であったのかを掘り下げる西村氏の研究報告で、この部分が非常にスリリングです。

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2015.07.06

ポリウォーター事件 【続・科学者と良心】(山下教授)

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 前稿、「科学者と良心」では科学者に求められる客観性とそれを実現するための自己批判的研究検証について述べました。しかし、不思議なことに20年に1度ほどの頻度で科学界になにやら怪しい事件が起こっています。今回はポリウォーター事件について紹介します。
 ポリウォーターとは、1966年にソ連のボリス・デリャーギンによって発見・報告された「特殊な水」です。デリャーギンは水をキャピラリー(細管)に通すことにより通常とは異なる性質をもつ水ができると報告したのです。たとえば、水をキャピラリーに通すだけで融点は −30℃、沸点は 400 ℃ にも達し、粘性や膨張率も通常の水とは大きく異なることを「発見」したのです。この発見は後に本人が測定上の誤りであったことに気づき論文を撤回するのですが、ともあれ、その「発見」とともに世界に異常なフィーバーが始まりました。世界中の研究者から肯定的意見、批判的意見の議論が始まり、次々とデリャーギンの実験の「追試に成功」した報告がなされたのです。

 そもそも測定の誤りであったはずの現象に対して、なぜ多くの科学者が追試に成功したのでしょうか?

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2015.07.03

温暖化についての「すぐ使える図表集」(江頭教授)

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 地球温暖化について人に話をする場合、とても便利なサイトを紹介しましょう。「全国地球温暖化防止活動推進センター」JCCCAのサイト、特に「すぐ使える図表集」のコーナーです。

 地球温暖化問題に関連した興味深いデータがずらりと並んでいて、洗練されたグラフやチャートになっています。各図表は商用利用はできないそうですが、出所を明記すれば自由に利用できます。

 私自身、環境に関する授業のなかでこのサイトにはお世話になってきました。ありがたいのは新しいデータが発表されるたびにこのサイトの図表も更新されることです。その意味で特に興味深いのは「世界の二酸化炭素排出量に占める主要国の排出割合と各国の一人当たりの排出量の比較」です。

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2015.07.02

有機分子の構造の理解の歴史(片桐教授)

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 有機分子の構造の理解の進歩というと、ケクレのベンゼン環の構造の提案を思い浮かべると思います。ここでは、そのあたりをより詳しく解説します。
 ケクレ以前の分子モデル:ケクレより前は、有機分子の構造の記述は19世紀の中頃に出てきた原子価理論、すなわちそれぞれの原子は何本の手を持っていて、それがそれぞれ他の原子と結合を作る、というものに基づくものでした。これは図1の繭玉モデルに代表されます。

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 しかし、この書き方では、ベンゼン分子を記述できませんでした(図2)。

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2015.07.01

2015年度第1回のオープンキャンパスを開催しました(西尾教授)

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 6月21日(日)に、八王子キャンパスの今年度第1回のオープンキャンパスを開催しました。応用化学科では、学生実験室を会場とした学科説明(下の写真)、模擬授業、体験実験、個別相談や研究紹介に加え、今回から研究室・研究施設見学ツアーを実施しました。

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