It’s a small world ~ 桁を表す接頭語(山下教授)
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化学の世界では非常に大きな数字や非常に小さな数字が表れることがあります。たとえば、原子の大きさは0.0000000001m、大気の圧力は100000Paなどです。このように桁が大きいあるいは小さい場合、ゼロの数を数えるのは大変なので普通は指数形式で表現し、10-10mや105Paと記述します。しかし指数にするとゼロの数はわかりやすくなりましたが毎回その大きいあるいは小さい数が登場することには変わりありません。そこで、桁を表す接頭語を用いることにより扱いやすい大きさの数字で表現することができます。
たとえばキロ(k)という接頭語は1000を表すので1000メートルという代わりに1キロメートルとなります。このような桁を表す接頭語にはどのようなものがあるかご存知でしょうか?
まず、大きな桁を表すものを列挙すると以下のようになります。101=da(デカ)、102 =h(ヘクト)、103 =k(キロ)、あとは3桁ごとに、106=M (メガ)、109=G (ギガ) 、1012=T (テラ) 1015=P (ペタ) 1018=E (エクサ)、1021=Z (ゼタ) 、1024=Y (ヨタ)・・・となります。小さい方は、10-1=d (デシ)、10-2=c (センチ)、10-3=m (ミリ)となり、また3桁づつ10-6=µ(マイクロ)、10-9=n (ナノ)、10-12=p(ピコ )、10-15=f (フェムト)、10-18=a (アト)、10-21=z (ゼプト)・・・となります。
ハードディスクの容量を表すギガやテラはよく目にするでしょう。
西洋の数字はこのように3桁づつ区切って単位があるのに対し、日本では4桁づつ区切り単位があります。100=一、101=十、102=百、103=千、104=万、このあとは4桁づつで108=億、1012=兆、1016=京、1020=垓、1024=𥝱、1028=穣、1032=溝、1036=澗、1040=正、1044=載、1048=極、1052=恒河沙、1056=阿僧祇、1060=那由他、1064=不可思議、1068=無量大数・・・となります。
単位を変えると同じ量でも違った印象になります。たとえば、「昨日2時間しか勉強しなかった」という代わりに「昨日は120分も勉強した」、「昨日は7200秒も勉強した」ということもできます。
では、科学を勉強する上でどのくらいの大きさの数字が必要でしょうか?一つの例として時間の大きさを見てみましょう。宇宙が誕生して現在までの時間は137億年と言われています。秒に直すと1018秒(エクサ秒)です。一方、光と分子が相互作用して分子の中の電子が励起される時間はフランクコンドン状態といいますが、およそ10-15秒(フェムト秒)です。われわれの回りの化学反応の時間スケールはその程度の大きさを表す単位があればすべて網羅できるわけです。
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