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混成軌道(山下教授)

| 投稿者: tut_staff

 原子は原子核(陽子と中性子)と電子から成ることはご存知でしょう。原子核の陽子が一つ増えるごとにその元素の化学的性質も変化するため、似たような性質をもつ原子を周期的にならべたものが周期表です。原子核の周りにある電子は不連続なエネルギーを持つ軌道に存在し、最外殻の軌道にある電子が2個、8個、18個のときに原子は最も安定になります。オクテット則と呼ばれる法則です。

 しかし、周期表にある元素は全てがその条件を満たしているわけではありませんので、2つの原子間で電子を共有することによってオクテット則を満たし安定に存在することになります。このとき、2つの原子間で電子を共有している状態が即ち、原子どうしの結合なのです。

201510

 炭素は周期表で6番目の元素なので、1s2 2s2 2p2 という電子配置をとります。厳密には 1s2 2s2 2px1 2py1と書け、1s軌道、2s軌道とも満たされているため結合を作れるのは2pxと2pyの2つの軌道だけということになります。ところが、炭素はメタンやエタンなど4つの結合を作ることが知られています。どのようにして4つの結合を作るのでしょうか?

 p軌道はs軌道よりもやや高いエネルギーをもつ軌道ですが、同じ主量子数2に属する軌道なので2s軌道と2p軌道は他の軌道に比べて互いに近いエネルギー準位にあります。そこで、2s軌道と3つのp軌道の合計4つの軌道が混成し、新たに4つの軌道を作ります。これをsp3混成軌道とよびます。

s軌道と3つのp軌道を組み合わせた新しい軌道はpx,p,pのいずれを入れ替えても、得られる混成軌道は同じ式となります。即ち4つのsp3混成軌道は全く等価であるということです。4つの軌道が空間上で等価であるということから、これらが正4面体の中心から各頂点に向かう形であるということが容易に想像できるでしょう。このようにして4つの結合をもつようになった炭素と水素が電子を共有することによってメタン分子ができます。

山下 俊

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