« 嗚呼、高校四年生(江頭教授) | トップページ | ラジカルに関するあれこれ-2 丸山教授の冗談の思い出 (片桐教授) »

ちょっと気になる「ちょっと」という言葉(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

Photo_3

「こないだの実験結果のまとめ、どうなった?」

「まだ、ちょっと未完成なのですが...」

「ちょっと未完成、ということはほとんど完成、ということだよね。それで良いから見せてよ。」

「...すいません。えーっと、ちょっとしか完成していません。」

いやいや、最初の「ちょっと」という言葉の使い方、特に意味はなくて雰囲気を和らげるためだ、ということは理解しています。それを言えば文末を「なのですが...」とするのも曖昧で、本来なら「まだ未完成です。」で良いはずですよね。

 さて、この話、どう転がしていきましょうか。

「科学・工学の分野では余計な修飾を廃して正確な言葉遣いを」とかでしょうか。
「仕事での連絡は簡潔で正確に」というとコーオプ教育の雰囲気になります。
「コミニュケーションのスキルは大切で云々」といって肯定的に扱うの有りですね。

 では、おまえはどう考えるんだ、となりますが私の今の考えはこうです。

学生さんが「ちょっと」という言葉使いをするのは有り。
ただし、聞き手が気にしている、ということが分かったら使わない。

これにプラスして

自分も「ちょっと」を気にしない。

 言葉は常に変化している、ということは良く指摘されることです。それを認めたとして私たちが取るべき態度は「相手が言葉に対して自分と違う感じ方をする」ことを念頭において、相手に合わせる様な言葉使いを心掛けることです。
 コミュニケーションは双方の協力で成り立つものですが、コントロールできるのは自分の方だけです。ですから、相手に要求する前にコントロール可能な自分の方を変えるべきなのです。

 でも、やっぱりちょっとはちょっと気になるんですけどね。

 さて、こんな風に考える様になったきっかけは以前の信州大学繊維工学部の高橋伸英教授との会話です。彼は「ちょっと」はまったく気にならないが「普通に」が気になる、というのです。

「今日、なんで遅刻したの?」

「普通に寝坊しました。」

「いや、寝坊が普通じゃ困るから!」

なるほど。結局、言葉に対する感じ方は人それぞれだ、と考えた方が良さそうだと納得しました。高橋先生も今頃

普通に気になる「普通に」という言葉

というタイトルのブログを書いているかも知れません。

江頭 靖幸

« 嗚呼、高校四年生(江頭教授) | トップページ | ラジカルに関するあれこれ-2 丸山教授の冗談の思い出 (片桐教授) »

日記 コラム つぶやき」カテゴリの記事