嗚呼、高校四年生(江頭教授)
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この時期、東京工科大学の先生達は高校訪問に出かけます。我々応用化学科の教員もあちこちの高校へ、特に化学の先生達のところへ、学科紹介を半分の、高校の化学教育に関するいろいろな情報収集をもう半分の目的として伺っています。それがきっかけとなって出張実験を行ったり、高校生の発表会に参加することもあります。
さて、今年の訪問校の中には東京工科大学、工学部応用化学科の1年生の出身高校もあります。そんなとき、従来ならば「OBの○○君の成績は…、まだ一学期の成績が出ていないので何とも言えませんね。」となるところですが、今回、我々はもう少し詳しい情報を持っています。
下の写真を見てください。これは本学の講義室の机の一部です。プラスチックのふたの下にはノートPC用の電源コンセントとイーサーネット端子(いまは無線LANに移行して使われていません)が有ります。そのとなりには2次元バーコードとIDの数字のシールが貼ってあるのが分かると思います。これは本学の全ての教室の全ての席にあるのですが一つとして同じものは有りません。これは授業中に着席している席を示すIDなのです。
授業に出席した学生さんは自分が出席したことをこのIDを使って大学のシステムに登録します。その結果は我々教官からもチェック可能なので、どの学生さんが授業に出ているか、あるいは、どの学生さんが授業に出ていないのか、がすぐに確認出来るしくみになっているのです。ですから、採点結果のでる前から学生さんの出欠状況は分かっています。
欠席の多い学生さんは、やはり心配ですから話を聞きます。問題を抱えているときは本学の学習支援センターや学生相談室などと連携して問題の解決に協力します。これが本学の「ベストケア」の仕組みです。
少し考えてみてください。高校の生徒が遅刻する、欠席する、何日も欠席する、となれば叱られたり、心配されたり、家に電話がかかってきたりと、とにかく学校側と生徒のコミュニケーションが始まるのが普通のことです。その一方で、従来の大学では(研究室に配属される前は)遅刻、欠席、連続の欠席もおとがめ無しが普通です。しかし、本学では出欠システムを使った学生とのコミュニケーションの仕組みを使って、ある意味で大学一年生を高校四年生の様に扱っている、とも言えます。
さて、このような高校の延長は、自主自律を旨とすべき大学生にはふさわしくない、という考え方もあるかも知れません。でも、この様な仕組みがあるからと言って自主自立が妨げられるわけではありません。普段は自主自立を前提としていても、トラブルや悩み事があるとき誰かの助力が得られる、というのが有るべき姿ではないでしょうか。何が何でも自己責任、というのでは殺伐としていますよね。
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