応用化学科に多目的X線回折装置が設置されました(高橋教授)
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応用化学科に、新しい測定機器、X線回折装置(Rigaku社 Smart Lab 3)が導入されました。
物質の結晶構造を調べるためには無くてはならない測定装置であり、応用化学実験ではこの装置を用いた実験を行います。
この装置は、単色のX線を試料に照射し、試料から出てきたX線(回折X線)を観測します。
X線は電磁波ですから、可視光と同じように回折現象が起こります。可視光と比べて波長が短いX線では、物質に入射されたX線が物質中の原子の周りにある電子と相互作用することで回折現象が生じます。
この現象を利用し、回折X線を測定・解析すると物質内の原子の配列を調べることができます。
導入された装置を用いると、粉末試料や多結晶試料をはじめ、薄膜試料など様々な材料における結晶構造や結晶粒子の大きさ、結晶化度などの情報が得られます。
無機、有機材料や金属材料における結晶構造の情報を得るためには、試料を微細な粉末にして粉末X線回折測定を行います。
また、近年では薄膜材料や表面コーティング膜がもつ機能性が注目され、表面からナノメートル(ナノメートル:1メートルの10億分の1)程度の厚さの試料表面層における結晶構造の情報が重要になっています。
導入された装置では、平行性の高いX線を試料に照射して測定を行えるので、このような先端材料の精密な特性付けが可能になります。
X線といえば、レントゲン写真を思い浮かべる人もいるでしょう。
そうです。レントゲン写真を撮ることで、身体の内部を“破壊することなく”観察することが出来ます。
X線回折も同じです。物質や材料を破壊せずに内部を、しかも原子の配列を観察することができるのです。原子の配列(結晶構造)が分かり、先人によって蓄積されている膨大なデータと比較すれば、その物質の物性を予測することが可能になります。また、別の実験でその物質の物性・特性が分かれば、構造と物性の関係を詳細に調べることで新規の物質・材料を設計・開発するための知見が得られます。
応用化学科には、今回導入された測定装置以外にも、先進材料を精密に解析できる装置が数多く設置されています。応用化学科で学ぶ講義や実験を通じ、卒業時にはこれらの装置を駆使して最先端の研究を行う力が学生諸君に備わってくることでしょう。その成長ぶりが、今から楽しみです。
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