理系の文章技術(基礎編)-1(片桐教授)
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文章を書くこと=情報を発信することは難しい。
現在の中等教育(中学、高校)の内容を見てみると、情報を発信するという能動的な能力を育てるというよりも情報を正しく受信し、それをアクションに移す受動的な能力の涵養にとどまっている。これは、1割の指示者(従わせる者)と9割の作業者(従う者)からなる現在の社会構造に合致する。私には、義務教育や高校教育は、従う者を育てることを目的としているように思える。その中で、自ら情報を発信できる能力を身につけた者は、指導者や指示者になれる。
もちろん、指示を出す者は指示を受ける能力を持つ者でなければならない。これは、プロ野球の監督はプロ野球の選手の経験を必ず持っていることに似ている。プレーヤーの能力と経験を持たない者には、プレーヤーを監督し、指示し、動かすことはできない。しかし、すべてのプレーヤーは監督になれるわけではない。監督になるためにはプレーヤーとしての技能に加えて、指導者に特有の技能を獲得しなければならない。それは、情報発信能力である。プレーヤーのわずかに数%の者しか監督になれないことを鑑みれば、この能力の獲得の難しさを理解できる。
これから,何回かに分けて情報発信能力=文章を書く能力の身につけ方についての個人的な意見をまとめる。
1.文章を書く準備-学びのノウハウ-
情報を発信するためには、まずそのネタを入手しなければならない。このブログの作成も、まずネタ探しから始めている。そして、ネタはどこにでも転がっている。松下電器の創業者、松下幸之助氏も「学ぶ心さえあれば、万物すべてこれ我が師である。」とおっしゃっている。
1.1 学び方を学ぶことの重要性。
学ぶことは孤独な作業である。講義において先生はその科目の全体像を示してくれる。でも、個々の学生の頭の中まで覗けるわけもなく、その指導は表層的なものにならざるを得ない。しかし、目的(単位や卒業)を達成するためには、自分がその科目で先生の考えるレベルを越えて、その科目を「十分に」理解していることを先生にアピールしなければならない。そのために、自分でなんとかしなければならない。
また、仕事や学問を行なうことには、人によって色々な目的がある。だからこそ、自分の目的を達成するために、その目的に合致した多種多様な学びの技術を獲得しなければならない。
学ぶチャンスを最大限に活かすためには、効率的に学べるようにならなければならない。そのためには、自分にもっとも適した学び方を身に付けることが必要である。
学習能力向上のために、
- 演習・復習・試験を大事にすること
- 科目と自分の性格にあった学習法を選ぶこと
- 能動的に学習すること
は必須である。技術も意欲もあっても、正しくないタイミングや順番では効率は悪く、あるいは手も足も出ない。大学のカリキュラムは一般論として一番良いと思われる順番やタイミングを示している。意欲を持っていてもそれを活かす技術に不足していれば、効率は悪い。技術を持っていても意欲をもたなければ、何もしないうちに時間だけは過ぎていく。孫子の兵法に言う「天の時(タイミング)、地の利(技術)、人の和(意欲)」である。これをそろえなければ、効率の良い学習は難しい。
学ぶことの目標は理解することである。学ぶということは「まねぶ」=「まねる」から来ている。それに加え、理解できる能力を獲得することが本当の目標である。ある事象についてもし本当に理解しているのなら、
- 簡単に記憶できるはずである
- 自分の言葉で説明できるはずである
- 色々な場面で使うことができるはずである
これができないということは、学んだのではなく「頭の中にコピーした」だけである。
次回(10月9日公開)につづく
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