« 「東京工科大学の魅力は...」コーオプ演習Ⅰ実習講義より(江頭教授) | トップページ | 単位の話(山下教授) »

理系の文章技術(基礎編)-3(片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

「理系の文章技術(基礎編)-2」はこちら

3 学びの技術ついて

3.1 学習法の分類
 学習法は大きく4つに分類できるとされている。
  1. 活動的学習
  2. 熟考的学習
  3. 理論的(体系的)学習
  4. 現実的学習
学習法は各人の個性や科目との相性により異なる。自分がその科目を学ぶ際に、どの学習法が最も適しているかを見いだすためには、全ての学習法に精通しなければいけない。

3.2 自己診断

 自分はどの学習法を行えるタイプなのかをチェックしてみよう。
1.活動的学習タイプ
  • 開放的な人柄である。
  • 新しい出来事を楽しめる。
  • 活動的に日々を送っている。
  • 問題が起こったらみんなで相談して解決する。
  • 物事を次々にやっつけていく。
  • 挑戦することが好きだ。
  • みんなと一緒に仕事をするのが好きだ。
  • みんなの中心に居たい。
2.熟考的学習タイプ
  • 忍耐強く物静かである。
  • 物事を色々な側面から考えるほうだ。
  • データーを集めて解析するのが好きだ。
  • 結論に至る前に色々考える。
  • 結論に至ることを先延ばしにすることがある。
  • 車で後ろの席に座り、人の運転を見るほうが好きだ。
  • 全体像がみえないと動かない。
3.理論的(体系的)学習タイプ
  • 分析的に物事を見る方だ。
  • 理論と理性に価値を見いだす。
  • 多くの事柄を一つの理屈に乗せたがる。
  • 完全主義者である。
  • 理論とか原理とかに敏感である。
  • 判断するのがにがてである。
  • 複雑な理論構成が苦にならない。
4.現実的学習タイプ
  • プロジェクトXの「地上の星」タイプ
  • 理屈のための理屈ががまんできない。
  • 現実的解決を好む。
  • 理論は実践できるものにだけ価値を見いだす。
  • とのかくまず手を動かすほうだ。
  • 自分の行動に自信を持っている。
  • 問題が発生している情況を好む。
 自分が全てのタイプに当てはまれるならば、それにこしたことはない。しかし、自分が当てはまらないタイプがあるのなら、その欠点をうめるべき努力、自己研鑽をすべきであろう。
3.3タイプ別学習法
 さて、それぞれのタイプの向き不向きは以下の通りである。

1.活動的学習タイプ
  • みんなと学習することに向いている。
  • グループでの演習に向いている。
  • 議論をすることに向いている。
  • 締切りのある仕事に向いている
2.熟考的学習タイプ 
  • 講義へ参加することに向いている
  • プロジェクトや研究活動に向いている。
  • 一人でこつこつ仕事をすることに向いている。
  • 仲間内での議論に向いている
3.理論的(体系的)学習タイプ
  • 文献調査に向いている。
  • 理論構築に向いている。
  • 理屈に関する議論に向いている。
4.現実的学習タイプ
  • 実際の問題の解決に向いている。
  • 「仕事」をこなす。
  • ケース・スタディに向いている。
  • 活動のメンバーとして働ける。
 例えば「フレッシャーズセミナー」は1のタイプに当てはまる者には楽しい講義であろうが、当てはまらないものには苦痛であろう。「有機化学」は3と4のタイプに当てはまらない場合には、ちんぷんかんぷんになり、他人のノートを写して何とか凌ごうと考えてしまうのではないだろうか。

3.4 なりたい自分になる訓練法

 自分は上記の4タイプのどれであるかはわかったであろう。しかし、科目によっては相性が悪い場合がある。そこで、今の自分とは違う側面を伸ばさなければならない。

1.活動的学習タイプになるためには
  • ダラダラ勉強をせずに勉強時間を半分に分けて異なることせよ。例えば1時間の自宅学習の半分は本を読み、もう半分は演習をする。
  • 仲間内での発表を積極的に行え。
  • いつもと違うことに挑戦してみよ。
2.熟考的学習タイプ
  • 規則的に家庭学習の時間を設けよ。
  • その日に行なったことをノートにまとめよ。
  • 結論は必ず文章化せよ。
  • 何か趣味的なものでも良いから研究し、文章にまとめよ。
  • 観察力を鍛えよ。例えば、授業で教官の癖を見つけだせ。
3.理論的(体系的)学習タイプ
  • 厚い本を読んで、その内容を自分の言葉でまとめよ。
  • 他人の言葉のあげ足取りを頭の中で行なえ。突っ込め。
  • 人生相談のような、ややこしい情況の解析をやってみよ。
4.現実的学習タイプ
  • 計画的に勉強せよ。
  • 実際的なプロジェクトに参加せよ。
  • アイデアを書き留めよ。
3.5 能動的な学びについて

 学ぶということは能動的な活動である。

 受動的に教員の言葉を受け止めているだけでは学んだことにはならない。自分のモノとするためには学んだことを自分の頭で考えなければならない。考えることは能動的な活動であり、それにより初めて習ったことを学んだことになる。能動的な学習を行うためには、意欲を必要とする。しかし、意欲を育てることは大変難しい。具体的な意欲を育てるための方法を列挙する。
  • 質問せよ。授業終了時に無理にでも質問せよ。授業中に質問内容を考えよ。
  • 授業内容のダイアアグラムを書いてみよ。教官の教え方を分析してみよ。
  • 自分が授業を行うことを想定して、教え方の改善方法を考えてみよ。
  • 講義において何が一番大事だったのか、を中心に据えて、講義の全体像をイラスト化してみよ。
  • 授業において以下の事柄を抜き出してみよ。
    1. もっとも重要なコンセプト
    2. もっとも便利なコンセプト
    3. もっともおもしろいコンセプト
    4. もっともばかばかしいコンセプト
    5. もっとも強烈なコンセプト
  • 毎日決まった時間に家庭学習を行なえ。
 当り前のことを当り前に行なうことは難しい。結局、自分を甘やかさずに自分に言い訳をしないようにすることである。人間、自分に言い訳をしたり、自分に嘘をつくようになったら、もうお終いである。

次回の理系の文章技術-4ではノートの作り方について述べる。

片桐 利真

« 「東京工科大学の魅力は...」コーオプ演習Ⅰ実習講義より(江頭教授) | トップページ | 単位の話(山下教授) »

基礎講座」カテゴリの記事