理系の文章技術(基礎編)-4(片桐教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
「理系の文章技術(基礎編)-3」はこちら
4 ノートの作り方
ノートは人間の外部記憶装置である。しっかりとしたノートを作っていれば、これを引き金にして何年も前に受けた講義の内容を鮮明に思い出すこともできる。自分の得たものをより確かにする手段としてノートを作ることは非常に重要である。ノートを大事にしよう。ノートは世界で一つの君の宝である。単位取得後もノートを捨ててはいけない。大事に保管しよう。
4.1 ノート作りということ
まずなによりも、ノート作りを、ノート取りと混同してはいけない。ノート取りは受動的な行為であり、特に板書の書き写しは単なる(できの悪い)コピーである。コピーならコピー機の方が上手である。教員のしゃべっていることをまるまる書き取ったとしても、まだこれは単なるノート取りである。最近はViaVoice (IBM)のようなプログラムも出てきた。人間は機械に劣ってはいけない。
ノートを作ることは高度に知的な活動である。ノートを作るためには見聞きしたことを自分の頭での処理を必要とする。必要な部分を抜き出し、並べ替え、自分の言葉でまとめる作業には、それなりの知恵と技術を必要とする。さらに講義を聞きながらノートへ記録を行い、それを頭脳で処理することを同時に行うためには訓練を必要とする。
4.2 ノートを作ることの効用
ノート取りだけでなくノート作りを同時にやることには以下のような効用がある。
- 何を書くかを考えさせられるので、能動的に講義を聞ける。
- 今、何の話をしているかを自覚できる。
- ノートを自分の言葉で書けば、理解する助けになる。
- わからないところがどこかを、その場で明確にできる。→後で質問の役に立つ
- 集中できる。
- 記憶の助けになる。
- 重要なところを明確に意識できる。
- 復習の助けになる。
4.3 ノート作りのスタイル
ここでは2つのスタイルを紹介するが、一番良いのは自分のスタイルである。
キーワード主体のノート作り法:
ノート作りの目的の一つは記憶を呼び覚ます鍵となることである、その鍵となるキーワードを主体にノートを作る場合、講義そのものをしっかりと聞き、理解し、講義の重要な内容を見いだして、それを記憶に留めておくことが重要である。
ノートの作り方
受講時
- ノートの左側に薄く3本の線を引いておく。
- 聴講時、ノートは1行おきに書き込む。
- 項目のタイトルは一番左側の線を起点に書く。
- 内容とそれに関するキーワードは2番目の線を起点に書く
- 自分のコメントや気のついたことを3番目の線を起点に書く。
- 一区切りの所で書いた分量と同じくらいの場所を空けておく。
- キーワードは必ず記録し、語句の関係は文章ではなく記号で記述する。
受講直後
- 講義修了直後に空けておいた場所に以下の項目を書き込む。
- キーワードとその簡単な解説(その場で自分の言葉で)
- その節の要旨
- わからなかった点の要約(何がどのようにわからなかったかを明らかにする)
- 質問事項をキーワードで作ってみる。後日、教官に実際に質問してみる。
記録上の注意事項
- 講義日時、講師名等は記入すること
- 関連する参考書や教科書の名前とページは書き込むこと
- ページ番号は付けておくこと
- 自分の意見、例えば「重」=重要、「試」=試験に出る、「疑」= 疑問点等記入
- 必要に応じて色を付けること。
- ノートに書き込む前にちゃんと聞くこと。断片的な書き込みはしないこと。
関連主体のノート作り法:
色々な話は、複雑に絡まっている。これを聞いた順番で書き込んでいっても、講義内容の全体像はみえない。そこで、講義内容の関連を地図化し、関連を主眼に記録する。
関連地図の作り方
- A4の白紙を用意する。
- その講義の主題を紙のど真ん中に枠をつけて太文字で大きく書く。
- 小項目やキーワードをその周りに並べる。
- そのキーワードへの幹を作り、関連するキーワードをつなげていく。
- 枝を付けて、それぞれにキーワードを配する。
- それぞれの枝に自分の考えを書き込む。
講義科目により、ノートの作り方も最適なものを選ばなければならない。
理系の文章技術-5(10月30日)では指示の受け方報告のしかたについて述べる。
「基礎講座」カテゴリの記事
- 理系の英語勉強法-14 TOEIC受験対策-8 (片桐教授)(2017.12.27)
- 理系の英語勉強法-13 TOEIC受験対策-7 (片桐教授)(2017.12.26)
- 理系の英語勉強法-12 TOEIC受験対策-6 (片桐教授)(2017.12.25)
- 理系の英語勉強法-11 TOEIC受験対策-5 (片桐教授)(2017.12.21)
- 理系の英語勉強法-10 TOEIC受験対策-4 (片桐教授)(2017.12.20)