理系の文章技術(基礎編)-5(片桐教授)
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5 指示の受け方報告のしかた
指示を正しく受け、結果を正しく報告する技術は、学生生活を円滑に進めるために重要な技能である。
講義において出される課題や、教室の変更、その他の指示を正確に受けなかったことによる不利益は、受けそこなった本人にかかる。後から他の人に聞けばよい、という考えで指示を受けた場合の多くは、伝聞で指示を聞くことになり、ゆがんだ情報、時には誤った情報を聞くことになる。
数年前、レポートの締め切り日に関して誤った情報が蔓延したことがあった。情報の出所を探ると、「レポートの締切りが試験の前日なのは大変だ、1週間延びればよいのに」という希望を友人同士で話し合っているのを立ち聞きした者が「レポートの締切りが試験の前日なのは大変だから、1週間延びた」と勘違いし、それが蔓延したものである。私に確認した者がいたため、それでも過半数の者は締め切り日に提出できた。しかし、1/3の者は締切りに間に合わなかったことを理由に、大幅に減点された。この件の場合「○○の誤った情報に振り回されてしまいました。救済して下さい。」という者も複数現れた。しかし、レポートを課した立場からすればどんな噂が広がろうとそれはこちらの関知したものではない。「それは残念だったねえ。身の不運と諦めなさい。」としか返せない。
安全工学の課題「魚の骨図」でも、課題を「分析結果の提出」と勘違いし、魚の骨を描かなかった者が多数現れた。これは教員の課した課題の意図を無視したものであり、大幅な減点や課題未提出の扱いになる。講義の流れを理解していればあの課題が要因分析を実際に行う手法の演習であり、要因の分析そのものが目的ではないことは容易に理解できる。
5.1 指示の受け方の技術
指示を受けるときにすること
聞き間違いや聞き漏らしは勘違いの原因である。正確に指示を受けること。
- 指示であることを認識する。講義中に寝ていては指示は受けられない。
- 必ずメモを取る。聞くことが主の講義でも、ノートと筆記具は用意しなければならない。片桐は過半数の学生がノートを取っていないと判断したときは、講義に集中させる目的で、無理やりでも新規に課題を課すことにしている。
- 大事な点をメモする。「課題」なんて単語は後回しで良いから、具体的な締切りや、相手の要求するところを要領良くまとめる。
- 途中で疑問に思っても最後まで聞く。話をしているときに遮って質問するものの多くは、説明する予定のことを聞いたり、早合点したりすることが多い。
- わからないことがあれば、必ず確認する。このとき5W1H(6W2H)を意識して、課題の上っ面ではなく、その意図や目的を把握する。特に1:1で課題を受ける場合には、必ず確認を取る。
5.2 指示を遂行する障害が発生した場合
- 課題が重なってしまった場合。仕事では上司の判断を仰ぐことになるが、学生では自分の判断で動くしかない。教官にそのような情況を報告するのは良いが、それによる猶予や配慮を求めてはいけない。
- 課題途中で疑問が生じた場合。教官に相談すべきである。但し、必ずアポイントを取ること。多くの課題は1週間以上の期限が切られている。その間には必ず「オフィス・アワー」が設定されている。片桐は、3日くらい前までに質問してきたものは「こいつはまじめにやっているな」とその評価を高くするが、提出の前日や当日に相談された場合、「こいつは、ぎりぎりまで課題をほっておいたな」とその人の評価を(課題によっては意識的にあるいは無意識的に)下げる。相談に来ずにちゃらんぽらんなモノを提出した場合はさらに論外である。
- やむを得ず課題を提出できない場合。身内の不幸や、急病、事故等で、課題を提出できない場合は、必ずその場で連絡し、教官の指示を仰ぐこと。課題によっては「残念でした」になる場合もあるし、「できかけでよいから提出」の場合もあるし、「取材ノートのコピー提出」となる場合もある。しかし、基本的にはそれによる猶予や配慮を求めたり、期待してはいけない。
次回、理系の文章技術-6では、指示の遂行後の報告についてまとめる。
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