学生実験をみてみよう(第2期) その3「分離技術あれこれ」(江頭教授)
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本学科の後期学生実験の紹介。今回は先週に引き続き基礎技術の習得を目標とした授業の風景を紹介します。
今回のテーマは分離技術あれこれ。化学の実験で利用される基礎的な分離を体験します。(前回の「クロマト」も分離技術の一種ではありますが、物質分離が目的ではありません。物質の特徴である保持時間を調べる際、他の物質と分離されることがある、という程度でしょう。)
さて、写真の実験風景、真ん中の西洋なしをひっくり返したような形のガラス器具が目立っていると思います。これが分液ロートです。よく見ると中に入った液体が2相に分離しているのが分かるでしょう。分液ロートは下部のコックのついた出口から液の下の層を取り出すための器具です。2相の分かれた液を分離するから「分離技術」、まあそのとおりではありますが、実際の化学実験で分液ロートが用いられるのは溶媒抽出を行う場面です。溶液の中から欲しい物質を分離するために、その溶液とは分離するが目的の物質は溶かす溶媒を巧く選んで目的物質を溶かしだして分離するのです。
溶媒にとけた目的物質を回収するには溶媒を蒸発させてしまえばよいですよね。
それを実行するのが写真のエバポレーターという装置です。
蒸発がエバポレーションなので、エバポレーターは蒸発装置、という程度の意味になります。
本学実験室に4台設置されたエバポレーターは加熱と同時に減圧ができるタイプ(「揮発性有機溶媒を室温付近で蒸発させる装置〜エバポレーター〜」でも紹介しています。)。もちろん、溶液中の溶媒の蒸気圧は温度で決まり空気の有無には影響されません。(空気の成分である窒素や酸素が溶ける溶媒なら影響を受けますが…、ちょっと具体例が思いつかないですね。)それでも減圧することによって蒸発した溶媒は空気にじゃまされることなく素早く冷却管の部分に移動するようになり、蒸発の速度は格段に速くなります。
さて、盛りだくさんな後期実験の基礎技術ですが、これにて終了。次回からは個別の実験テーマが始まります。
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