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理系の文章技術(ノウハウ編)-1(片桐教授)

2015.11.13 基礎講座 | 固定リンク 投稿者: tut_staff

「理系の文章技術(基礎編)-6」はこちら

 「天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず」福沢諭吉
 「天は自ら助けるものを助ける」聖書の言葉  

この文章は抽象的である。100人が100人とも同じ意味で理解できない文章である。「天って何?誰?」「上と下は同じ天?」という疑問は当然であろう。他人に考えさせる文章としては良い文章であっても、事実を正しく共有するための理系の文章としては、好ましくない。

1 文章のお作法

 レポートや答案の目的は「評価」である。従って、評価ポイントにあった文章を書けばよい。評価ポイントは人により様々である。ある先生の場合は「その人の志」であり、ある先生の場合は「理解の程度」であったりする。学生側に共通して大事なことは、自分の志や理解を正しく伝えることである。その意味で「記述する」技術は重要である。良い文章を書くには、「思考力」と「記述力」を必要とする。どんなに良い文章を書けても、書きたいことや頭に中身が無ければ、良い文章は書けないし。どんなに高邁な理想を持ち、素晴らしい感性と思考を持っていても、文章の書き方がなっていなければ、良い文章は書けない。
 思考力の鍛練は一朝一夕にはならない。しかし、記述力や文章力はコツをつかむことにより、短期間のうちに格段に改善できる。
 ひとまとまりの文章や文書を仕上げるための基本単位である文を正しく書くため作法やノウハウのうち、まず、ごく基本的な事柄をまとめる。この辺りはフレッシャーズセミナーの日本語教育の内容と重なる。

  1. 科学・技術文章は横書きで書く。日本語は元々縦書きだが、理系の文は必ず横書きで書く。
  2. 段落の冒頭は1字分下げる。インデントはパラグラフの始まりを表すモノであり、これを怠ると文のマルを忘れたぐらい具合が悪い。
  3. 文章を書く範囲は一定にする。手書きのレポートで、文を書き始める位置の一定でないモノは読めない。また、パラグラフの終了を明確に示すためにも、後ろも一定にそろえること。小学校・中学校の国語では、文末をそろえる必要はないと教える先生もいらっしゃるようであるが、文学作品、特に詩歌や戯曲(あるいはラノベ)はともかく、科学・技術文章は論理文章である。従って、論理の構成単位であるパラグラフを明確にすることを優先する。
  4. 禁則処理をする。行の先頭に「。」や「、」、小文字の「ょ」(拗音文字)、右かっこ“」”を置かない。行の末尾に左かっこ“「”や“(”を置かない。
  5. 文末には必ず「。」または「.」を入れること。句読点の「,」は正しく使うこと。技術文章中の点については、「、」と「,」のうち後者を使うほうが好ましいとする場合もある。
  6. 1つの文には、原則として一つの意味を持たせること。1文中に2つの内容のある場合は、2文に分けること。
  7. 内容を過度に省略しない。文字などを省略する場合にはルールを守り、共通性の高い略号を使用すること。

(次回(11月20日公開予定)は「ノウハウ編-2」です。)

片桐 利真

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