講義「有機化学1」第3回目の講義から 命名法の困ったチャン(片桐教授)
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このシリーズでは、片桐の担当している有機化学1の講義のポイントを読み物にして、解説して行きます。
命名法は人間が決めたルールなので、めんどくさいし憶えることばかりで嫌われがちです。しかし、これは有機化学の「ことば」ですから、これを知らなければ有機化学を学ぶことすらできません。あきらめましょう。
今回は、その中でも、特に日本語で憶えることのデメリットについてまとめます。
Xの読み方、alkane,alkene、alkyneの発音
Xenonは日本ではキセノンと呼びますが、英語ではズィーノンと発音されます。これはゼロックス(Xerox)という会社名の発音に似ています。同様に、xyleneは日本語よみではキシレンですが、英語ではザイレンと呼ばれます。このような齟齬は、IUPACの英語の日本語表記への変換法の問題です。でも、今更直せないというのが,ホンネでしょう。
同様に飽和炭化水素のalkaneは日本語ではアルカンと呼びますが、英語ではアルケーン、二重結合を持つalkeneは日本語ではアルケンですが、英語ではアルキーン、三重結合を持つalkyneは日本語ではアルキンですが、英語ではアルカインと発音されます。ああややこしい!。これはaをアと発音するかエーと発音するか、eをエと発音するかイーと発音するかの違いから生じています。
同様に、rとlの発音の区別表記のできない日本語ではCH2=CH-CH2-のallyl=アリル基と、芳香族基を表すaryl=アリール基をのばしだけで区別します。さらに、C6H5-CH2-のbenzyl=ベンジル基と、ジフェニルジケントン化合物(C6H5-CO-CO- C6H5)の慣用名benzil=ベンジルは,日本語表記が同じになってしまいます。
慣用名の難しさ
イソプロピルアルコール=isopropyl alcoholは2-propanolの別名です。しかし、isopropanolはIUPACで許されていません。これは混乱します。しかし、ああなんと言うことでしょう、日本薬局方(医薬品の合成法をまとめたもの)にはイソプロパノールの表記があります。
命名法を日本語で理解しようとすると、手間が倍かかりますので、英語で憶える方が簡単ですよ。まして、人名反応の人名はアルファベット表記が無難です。
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