理系の文章技術(ノウハウ編)-2(片桐教授)
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2.漢字で書くか平仮名で書くか。
文章は、できるだけ分かりやすく書かなければならない。畢竟、普段用いられないような漢語や古語由来の漢字をできるだけ排除することを望まれる。(この文の接続詞「畢竟(ひっきょう)」を何人が読め、その意味がわかるだろうか?)
「当該課題の処置に関して、関係各位で可及的速やかな対応策を勘案されたい。」よりも
「この問題については、関係者の間で至急に対応策を考えて下さい。」はわかりやすい。
平仮名と漢字の使い分けについて、確定的な規則はない。ひとつの規準としては
1.当用漢字を使用し、人名や地名以外は特殊な漢字を使用しない。(文部科学省常用漢字表を参照のこと)。また、漢字そのものは常用漢字表に存在していても、その読み方が存在しない場合は、原則としてひらがな表記にする。例えば:「予め」は「あらかじめ」とひらがな表記する。
2.以下の接続詞の表記は、基本的に平仮名を使用する。
あるいは、かつ、しかし、すなわち、そして、ただし、なお、また、および、したがって、ならびに、ゆえに、
ただし、特許文章の場合には「及び、並びに」など漢字表記を使用する。
3.形式名詞(助詞)は平仮名で書く。意味を持たない以下に挙げるような形式名詞は漢字ではなく平仮名で書くこと。特にワープロを使って文章を作成する場合は、漢字へと自動的に変換してしまうので注意を払うこと。
・極小値を示すあたり(辺り)で
・検討のうえ(上)で
・再実験のおり(折り)には
・本実験結果で検討したかぎり(限り)は
・本くらいの(位の)大きさ
・解明されたこと(事)は
・グループごとの(毎の)実験結果は
・測定のたびに(度に)洗浄した。
・検討するつもり(積り)であったが
・測定は以下のとおり(通り)に行なった。
・測定したとき(時)には、
・調査したところ(所)、
・器具などは、
・先の方法より後者のほう(方)がよい
・この値の大きいほど(程)結果は良いものであった。
・つぎのように(様に)示される。
・この結果を納得できるわけ(訳)ではない。
4.補助動詞も平仮名で書く方がわかりやすい。
・校正してあげた(上げた) ・そういう(言う)意味である。
・減少していく(行く) ・移動している(居る)
・用意しておく(置く) ・壊れかける(掛ける)
・断定しかねる(兼ねる) ・膨らみきる(切る)まで
・理解できてくる(来る)ときに ・車が動きだす(出す)までには
・何も考えつかない(付かない) ・計算してみる(見る)
5.以下の副詞は平仮名で書くべし。
・あえて ・あらかじめ ・いかにも
・いずれ ・いったん ・いつも
・おおよそ ・かえって ・かって
・すべて ・ただ ・たちまち
・たまに ・ついでに ・ついに
・とっくに ・とても ・どのみち
・どのくらい ・どれほど ・なお
・なおかつ ・なぜ ・まえもって
・まことに ・まず ・ますます
・まだしも ・まっすぐ ・むしろ
・めったに ・もしも ・もちろん
・もっとも ・ようやく ・よくも
・よろしく ・わざと ・わざわざ
・わずかに
(次回(11月27日公開予定)は「ノウハウ編-3」です。)
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