学生実験をみてみよう(第2期) その9「COD」(江頭教授)
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このシリーズ「学生実験をみてみよう」では応用化学科の学生実験、工学基礎実験Ⅰ(C)、Ⅱ(C)の実験を紹介しています。
今回の実験テーマはCOD。
「COD」という言葉を聞いたことがない方もいらっしゃるかも知れませんが、私くらいの世代は昔、環境汚染、というか公害が問題となっていた時代に良く聞いた言葉です。CODとは水の汚染の度合いを示す数値で、化学的酸素要求量(Chemical Oxygen Demand)の略です。水に含まれている汚染物質を酸化して取り除くのにどのくらいの酸素原子が必要か、という数値で値が大きいほど「汚い水」ということになります。化学的(Chemical)とついているのは化学反応によって酸化を行う、という意味ですが、これは微生物によって酸化する測定値(BOD)と区別するためですね。
さて、CODの測定には過マンガン酸カリウムを用います。水に一定量の過マンガン酸カリウムを加え、混入している汚染物質を強い酸化力をもった過マンガン酸イオンで分解します。汚染物質が多いと大量の過マンガン酸イオンが消費されますが、きれいな水なら過マンガン酸イオンはそのまま残ります。
残った過マンガン酸イオンの量が分かればCODも分かることになります。その測定方法は滴定。本学の学生実験では滴定の操作は何回も行っていますが、今回の実験では光で分解する性質のある過マンガン酸を用いるので特別な褐色のビュレットを用いています。
CODの数値は環境水の水質を評価する基準となるものですから、どこでもだれでも同じ値が測定できる様な測定手順の規格がJISで定められています。今回の学生実験ではこの規格に準じた手順で行われています。過マンガン酸イオンによる汚染物質の分解を再現性良く行うために水浴の中で温度を一定にし、一定時間反応させるようにします。
測定するサンプルは練習としてスクロースの水溶液に加えて、学生の皆さんが身近な場所で採取してきた環境水に対する測定を行いました。4月にはビュレットを扱う手つきも怪しかった学生さんも、実用的な数値の測定ができるようになったと思うと感慨深いものです。
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