出前実験を行ってきました!(上野講師)
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11月14日(土)に神奈川県逗子市にある逗子開成中学校・高等学校に行き、ハンカチの染色について講義や実験指導を行ってきました。逗子開成中学校・高等学校は、東京工科大学八王子キャンパスから電車で1時間30分の距離にあり、近いとは言えないのですが、土曜日に「土曜講座」というものを定期的に行っており、今回はその時間をお借りしました。
内容としては、朝10時から15分程度、どのような化学反応が起こって染色しているのか、またどのようにして色がハンカチに定着しているのかについて簡単な化学式を使って講義形式で説明しました。また、ハンカチの染色の実際の実験方法についても説明しました。その後、1時間20分程度、参加者全員がハンカチの染色を行いました。自分の好きな絵や文字などを自由に描いており、とても楽しめていたのではないかと思います。最後に20分くらい全員で片付けをして終了という2時間程度の講義・実験になります。
ハンカチの染色は、高等学校の授業の実験でも「草木染め」として行っているところもあるようです。しかし、実は今回逗子開成中学校・高等学校で行った「ハンカチの染色」では、次の3つの点で一般的に授業などで行われている草木染めとは異なっています。
- 玉ねぎの皮に含まれる色素である「ケルセチン」とナス漬けの素に含まれる「アンモニウムミョウバン(アルミニウムイオン)」という薬品をそれぞれ購入して使用しています。これによって、玉ねぎの皮やナス漬けの素に含まれる余分な成分がなくなり、鮮やかな黄色に染めることができます。(玉ねぎの皮とナス漬けの素を使うと暗い黄色になります。
- ケルセチンは、アルミニウム(III)イオンと錯体を形成して黄色になった後でも、鉄(III)イオンと錯体を再形成して黒色に変わる性質を利用して、ハンカチ全体を黄色に染めた後に黒色に染めています。
- 適切な濃度の鉄(III)水溶液を調製すれば、それを絵の具のようにして、筆を使って文字を描くことができます。
これらのことをうまく組み合わせると、写真のように、全体を黄色に染めた後で、筆で黒色の絵や文字を描くことができます。個人的には、鉄(III)イオンの水溶液を使って筆で絵や文字を描く際に、ケルセチンと鉄(III)イオンが錯体を形成するのに時間がかかるため、実際に筆で描いた2〜3秒後に色や浮き出てくる現象に多くの生徒が興味を持ってくれたのではないかと思っています。
このブログでは少し難しいことも書いてしまいましたが、その内容は中学生や高校生でも十分に理解して楽しめる実験内容となっていますので、本記事を読んで興味を持ったら是非お問い合わせ下さい。
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