学生実験をみてみよう(第2期) その8「アボガドロ数の測定」(江頭教授)
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東京工科大学工学部応用化学科の学生実験、「工学基礎実験Ⅱ(C)」の内容を紹介している本シリーズ、今回は「アボガドロ数の測定」がテーマです。
マクロな物質を取り扱う限り、物質に最小単位がという証拠はなかなか見当たりませんが、現在ではいろいろな証拠が見つかっています。アボガドロ数はマクロな物質の量と物質の最小単位である分子との関係を表す数字ですから、アボガドロ数の測定に際しては分子の存在が影響している現象、つまり物質に最小単位がある証拠となる現象が利用されることになります。
さて、今回のアボガドロ数の測定の方法は以下の通り。
まず墨汁を垂らした水面にステアリン酸のヘキサン溶液を垂らします。ヘキサンは蒸発してステアリン酸の膜が得られます。
もし物質に最小単位がなくどこまでも分割可能だとしたら水面のステアリン酸はどこまでも広がっていく(あるいは凝集して滴になる)でしょう。水面にできるステアリン酸の膜は単分子膜であり、その面積とステアリン酸の量には比例関係があります。そこからアボガドロ数を求めることができます。
実際には単分子膜の面積は写真のデータを使って測定します。スタンドにスマートフォンを固定してパチリ。この辺の便利さは私の学生時代とは大きく違っていますね。
さて、長い棒状のステアリン酸分子は水面に大して鉛直方向を向いて整列していると考えられています。単分子膜の面積を分子の断面積で割れば、その単分子膜に含まれる分子の数がわかります。ステアリン酸の分子量から1molに相当する分子の数、つまりアボガドロ数が計算できるわけです。
分子の断面積は分子模型から推計しますが、これもコンピュータで計算して利用します。この辺も本当に便利になったものですね。
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