授業紹介 2年後期「化学工学」(江頭教授)
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本学の工学部もこの4月には新入生を迎え、今の1年生は2年生に進級します。
今回は2年の後期に行われる授業、「化学工学」について紹介しましょう。
化学工学は化学物質を生産する装置(化学プラント、化学プロセス)の設計を目的として発展した工学ですが、その方法論は現在では化学反応を含むいろいろな現象の理解と制御のために用いられています。
この授業では主に化学プラントの設計に適用される化学工学の考え方を習得することを目的としましょう。
本授業を受講する学生諸君には、化学工学の「実学に基づく専門能力」の基礎として、化学反応や物質移動、相分離を伴うシステムを対象として、適切な境界を設定した上で物質収支、エネルギー収支を把握する手法を身につけることも目標の一つです。
また、化学プラントに用いられる各種装置や反応器を実例として、目的に応じてシステムを改善・改革してゆく問題解決力も習得できるでしょう。
教科書は
化学工学会高等教育委員会編「はじめての化学工学 プロセスから学ぶ基礎」
丸善 (2007)
を予定しています。
さて、本科目を修得することで、化学工学を基盤にした実学に基づく専門能力と化学工学的考察に基づく問題解決力を身につけることを目指しています。これは具体的には、以下のことができるようになることだと考えています。
- 化学反応や物質移動、相分離を伴うシステムを対象として、物質収支、エネルギー収支を理解し、数式として記述できる。
- 物質、エネルギーの移動現象を理解し、数式で表現できる。
- 化学プラントで使用されている各種反応器の特徴を反応速度、移動現象、エネルギーの観点から説明できる。
- 化学プラントで使用されている分離技術について、その原理と設計手法を説明できる。
- 現代の化学プラントの設計思想と化学工学の役割を説明できる。
いかがでしょうか。
以下に具体的な授業日程を示して紹介を終わりたいとおいます。
- 第1回: 概論(化学工学とは化学プラント設計のための工学)
- 第2回: 化学プラントの特徴(化学実験を化学プラントにアップグレードする)
- 第3回: 物質収支(化学物質生産に必要な原料の量を計算する)
- 第4回: エネルギー収支(化学物質生産に必要な燃料の量を計算する)
- 第5回: 化学平衡と反応速度(反応器を設計するために必要な反応の情報)
- 第6回: 反応器(化学反応を制御する装置)
- 第7回: 流動現象の基礎(流れを作るために必要なエネルギーを計算する)
- 第8回: 流体の輸送(化学プラントの物質輸送システムを設計する)
- 第9回: 蒸留(気液平衡を利用した分離プロセス)
- 第10回: ガス吸収と膜分離(物質移動と分離プロセス)
- 第11回: 熱移動の形態(いろいろな熱の伝わり方)
- 第12回: 熱交換器の設計(熱エネルギーを無駄なく使う)
- 第13回: プロセスの設計(プロセスフローシートを作成し、最適化し、選定する)
- 第14回: プロセスの制御(自動制御の考え方)
- 第15回: 化学工学の展望(全体まとめ)
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