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雑談から 講義の単位の意味、成績の意味(片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

 学生さんとの雑談はブログネタの宝庫です。講義の前後に,廊下であるいは教室で、いすではなく机に腰掛けてカジュアルにざっくばらんに、自分の経験や失敗の話などをフッてから、学生さんの意見やホンネを引き出します。身近な面白い話や学生さんのホンネを聞くことができます。(時には教員がきいてはイケナイようなヤバイ話も聞けたりします。キコエナイ、キコエナイ!) 学生さんの勘違いや思い込みへの突っ込みは、先生業(ぎょう)の楽しみです。

 最近、そのような雑談で単位の話をしました。私が学生時代、まだ情報システムも不完全で取得単位の上限制もなかった頃に、1コマの表、裏、その裏と、試験成績さえ良ければ3倍ましましで単位を取ることができた話をしていました。そのとき、

「それってズルくありませんか。講義を受けてもいないのに、単位をもらうなんてオカシイ」

といわれました。

「もちろん、その先生の教科書をしっかり読んで、ノートも見せてもらって、試験もしっかり受けたよ。それでその科目の先生に評価されたのだから、特に問題はないと思うけど….ところで、単位を英語でなんというか知ってるかい?。」

「『Unit』ですか?。」…

56tani

 単位は英語ではcreditと呼びます。語源はラテン語の「信じる」です。その大学のその教員による、その学生がその科目を理解していることの「連帯保証」です。だから、その単位の発行権はその科目の担当教員にあります。ただし、その保証範囲はその学生のその教科の修得度により異なります。完璧ならばS(秀)、ほぼ完璧ならA(優)、だいたい完璧ならB(良)、まあ大丈夫ならC(可)の評価が与えられます。逆に保証できなければD(不可)になります。

 今期の私の講義では、最初の講義で述べたように講義会場=教室での「存在点」ではなく「(講義への)出席点」を加味する、としています。すなわち、講義室にいても、講義を聴いていない場合は大幅に減点した出席点を評価に使用します。毎回、授業内容を聞いて、メモすれば答えられるような小テストを課すのは、その評価のためです。さらに、積極的に授業に参加した場合には、それを評価して加点します。そして、授業内容の理解度に応じた試験点と兼ね合わせて評価し、単位を認定し成績を付けます。

 また、成績評価は相対評価ではありません。学生さんみんなが完璧に理解すれば全員にS(秀)を出すこともやぶさかではありません。むしろ、それは、私の講義がわかりやすい、良い講義であることの証左にもなります(もちろん、学生さんが皆、まじめにその科目を学ぼうとしていることが前提です)。学生さんの成績がSまたはAとDに二極化すれば、それは私の講義の質のスバラシさの証明になる、ということです。…理想は遠いですが…。

 成績証明書は就職の際に選考でも使われます。だから、絶対にAを取らなければならない科目もあります。具体的には「実験」と「安全」です。有機化学などがCでも実験がAなら、会社のひとは「こいつは実戦に強いやつなのかな」と評価されます。一方、有機化学がAでも実験がCなら、「こいつは頭でっかちで手のうごかないやつかな」、安全がCなら「こいつを会社に入れたら事故を起こすかも」と勘ぐられてしまいます。単位を取ることはもちろんですが、それを「飛び越えて」その質にもこだわらなければなりません。

先の会話の続きです。

「まあ、人生山ありタニありだしな」

「?」

「単位をローマ字で書くとtani(タニ)になるよ。タニは飛び越えて行かなくちゃ。」

お後がよろしいようで。

片桐 利真

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