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学生実験をみてみよう(第2期) 番外編 正確に計算するのは意外とむずかしい (江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 はい、まずは写真を見てください。

 これは学生実験(工学基礎実験Ⅱ「蒸留」)で使用したデータ整理用のワークシートです。一枚はデータを記録するためのシート、もう一枚は結果を整理するためのワークシートで計算式も記入されています。「蒸留」の実験では作業自体は短めに終わるので学生の皆さんはそのまま実験室でデータ解析を始めるのですが、そのときこのワークシートを完成させるのに皆さん結構苦労している様子でした。

 計算式は四則演算だけで特に複雑なものはありません。では何故むずかしいのか。ポイントは、一枚目のシートに記録する数値が53個。もう一枚のシートで計算する数値は42個になり、結構な数だ、という点にあります。

 皆さん、小学校時代の算数を思い出してください。計算問題のテストで100点しか取ったことがない人がいたでしょうか?(いや、いません。反語。)

 テストでは80%以上正解なら優秀、ということになりますが、逆に言えば20%くらい間違っていても良い、という見方もできますよね。でもこれはテスト、という特別なルールで行う計算の話です。実際には、例えば実験結果の整理なら、すべての計算が正しく行われていなければなりません。つまりテストで言えば100点でなければダメだ、ということなのです。

 算数のテストでは複数の計算は独立していますが、実験結果の整理では多くの計算はそれ以前の計算結果を参照していて、その計算結果自体も後の計算で利用されることになります。つまり、多くの計算が連続しているので、そのうちひとつでも間違っていたら最終的な結果も間違ったものになるのです。

 ひとつの計算の正答率が80%だとしても、ふたつの計算が連続して正解である確率は64%に下がります。10個の計算が連続していれば約11%、20個なら約1%しか正解の確率はありません。

 では、多数の計算をすべて正しく行うにはどうすれば良いのでしょうか。

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 まずは一つ一つ丁寧に計算してそれぞれの計算の正答率を上げることです。テストと違って時間制限はありませんし、電卓やパソコンの表計算ソフトなどを使うことができますから、これだけでも効果は絶大でしょう。

 そしてもう一つ。「検算」をしましょう。これは同じことを繰り返すのではなく、同じ計算を別な方法で行う方が有効です。一番簡単なのは暗算。そろばんの達人でもない限りむずかしい暗算はできないものですが有効数字一桁の暗算なら普通にできるはずです。計算結果を見ながら「一桁の暗算」を行うだけで数値の書き間違い・打ち間違いを見つけることができます。

 「蒸留」の学生実験は3人一組で実験しますが、一人一人が別々に計算を行って最後に結果を突き合わせて確認をしている班がありました。これも「検算」の一種ですがとても良いやり方だと思います。

江頭 靖幸

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