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πファクター、π/2ファクター(片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

 なんと片桐は25年くらい前に飛び込みに近い営業をやったことがあります。当時、新入社員だった片桐のOJT(On Job Training)はある含フッ素有機化合物を売れる形にして売ってくるという、研究、製造、販売をまとめて企画するという無茶振りでした。まあ、29歳で入社2ヶ月の係長相当の新入社員にどんなテーマでどんな仕事をさせるのか、会社の方も困ったのでしょう。

 飛び込みの営業は、まず電話でアポを取る。「突然の電話で申し訳ありません。」自己紹介の後に「実は当社ではこのような化合物があるのですが…ご興味はありませんか?」。事前に興味を持ちそうな会社の関係ありそうな部署の方に話をしても、乗ってくるのは数十人に一人くらいでした。でも、アポが取れたらこっちのもの。さっそく先方を訪問します。

 そのとき、訪問時間には気を使いました。10時に約束なら、9:55-10:00にその会社の受付にたどり着かなければなりません。もし、1分でも遅れたら、会ってもらえないかもしれないし,少なくても交渉ごとで不利になります。だから、その会社の前に、15分以上前に着くように準備します。

 でも、電車の遅延などで予定が狂うことがあります。そのようなときのために、πファクター、π/2ファクターという余裕を持たせるとよいと習いました。

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つまり近くである、あるいは少し遅れて行っても、まあ大丈夫そうな場合には、移動に必要な時間(もちろん乗り換えや待ち合わせ時間を含む)にπ/2(約1.6倍)した時間を余裕を持ってみておきます。1時間で行ける場所なら1時間35分前に出発します。そうすれば列車の遅延が会っても、だいたい間に合います。どうしてもまちがいなくその時間までに行かなければならない場合や遠方の場合には所要時間にπファクターをかけます。余った時間は現地を観光すればよいのです。その見聞は、話のきっかけになり、雑談のネタになり、交渉をスムーズにします。

 上司からのこの教えを守っていたおかげで、約束の時間に遅れたことはほとんどありませんでした。しかも、このルールは上司公認なので、会社の出張でいろいろと観光し、見聞を広めることができました。

 イギリスのネルソン提督は「私の人生における成功のすべては、どんな場合でも必ず15分前に(海戦の場所に)到着したおかげである」と述べています。その15分間で直前の連絡や士気を整えたりしたことが、勝利の方程式だったのでしょう。

 この教えは、日本では帝国海軍の5分前精神に引き継がれ,今でも多くのビジネスの心得集に「5分前行動」として大事にされています。時間厳守は、ちょうどのその時間に行けばよいのではなく、必ず前に行うことです。

 授業のある日は、ぎりぎりに来るのではなく、余裕を持って来なさい。「スクールバスが込んでいて、乗るつもりだったものに遅れて15ふふん遅刻しました」というような言い訳を、片桐は「なるほどね」と流しつつ、冷ややかな目で見ていることを忘れないでください。損をするのはあなたです。そんな言い訳しかできない生活態度でイイワケない。

 おあとがよろしいようで。

片桐 利真

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