実験における失敗から学ぶ 保護具の話-4 帽子 片桐!あたま!あたま!(片桐教授)
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化学実験で保護具として帽子をかぶることはまれです。しかし、時に必要な場合もあります。
私の大学4年〜修士2年の研究は毎日4時間のガラス細工、4時間の真空ライン作業、4時間の測定+α(たまに原料合成)でした。おかげでガラス細工は上手になりました。
ある日、いつもの様にガラス細工をしていると、何やら焦げ臭いにおいがしました。
「おーい!、誰か何か焦がしていないか?」と聞きましたが、誰も心当たりがありません。しばらくすると、焦げ臭いだけではなく、黒っぽい灰色っぽい灰のようなものも降ってきます。ガラス細工の火がどこかに燃え移ったのかと、周りをきょろきょろしてみても、どこにも燃えているような様子がありません。
同じ部屋の後輩が私を指差しています。もうおわかりと思います。燃えていたのは私の髪の毛でした。当時は身だしなみに無頓着で、ぼさぼさ頭で実験をしていたのですが、その頭に何かの拍子に火がついていたようです。慌てて水道で消火し、やけどなどの被害はなかったのですが。しばらく研究室の笑い者になりました。
その日以降、私はタオルやら手ぬぐいやらで頭を覆うように縛るようになりました。白衣姿のタオルターバンは、異様な服装だったようです。ノーベル医学生理学賞の利根川先生の凱旋講演が京都大学理学部で行われたときも、その服装で聴講し、ひんしゅくを買いました。
粉塵爆発の例を挙げるまでもなく、空気を含んだぼさぼさ頭は着火しやすいようです。同様にモヘアのセーターなどの衣類も火を取り扱う作業では危険です。そして、必要なら安全帽をかぶりましょう。
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