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「サチる」は化学者の方言?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 昔、私が大阪に転勤してすぐの話です。大学のイベントでパソコンを使った展示を行いました。無事イベントが終わって…

  「会場のパソコン、なおしといて。」

  「えっ?パソコン壊れたんですか?」

この「なおす」という表現、関西の方言で「片付ける」という意味なのだそうです。

 さて、方言というもの、本来は各地方固有の言い回しのことですが、職業による特徴的な言い回しもあります。いわば化学者の方言、とでも言うべきものでしょうか。その中でも以前から気になっていた表現が「サチる」という言い回し。皆さんは意味がわかるでしょうか。あるいは普通に使っていますか?

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 「触媒を使って反応を起こす場合、触媒の量を2倍にすると反応速度も2倍になる。量を3倍にすれば速度も3倍。それでは、と触媒を10倍にすると今度は速度が5倍にしかならない。」

 こんな状況のとき、「反応速度がサチった」と表現します。「サチる」はおそらく「Saturationする」の略。Saturationは化学の分野では「飽和」という意味で、何かの原因となるものを増やしてもそれ以上その何かが増えなくなる状態を意味してしています。たとえば「NaClの飽和溶液」といえばもうそれ以上NaClを入れてもNaClの濃度が増えない溶液のことですね。

 自分自身、大学では普通に使っている言葉なのですが、研究以外の場で「サチる」という表現を聞いたことがありません。そもそも日常生活で「サチる」という表現を必要とすることが少ない気もしますが…。

江頭 靖幸

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