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テレビ番組への感想 NHK BSプレミアム 木曜21時 ボス潜入(片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

 仕事モードの脳みそが眠りにつくにはクールダウンのためにぼさっとすることが必要です。そのようなとき、私はテレビを見るともなく見ます。

 木曜日の夜、NHK BSプレミアムの「ボス潜入」という番組を見ました。企業の執行役員や部長がカツラをかぶりほくろを描いて変装し、中途入社希望のおっさんのふりをして、その会社の現場に潜り込み、現場の人の上司に言えない愚痴や現場の問題を実際に見聞きするという番組です。もちろん番組の趣旨は偽っているものの、NHKのカメラがそのおっさんの周りを追うので、対外的に言えないような過激なコメントは、あまりありませんが、それでも見ていて「あっ!それを言っちゃうの?」というようなコメントも見られ、ある意味スリルに満ちた番組です。そして、番組の最後にはそのおっさんの指導役の社員やアルバイトが本社に呼びつけられ、その変装したお偉いさんに面会し、「実は私は…」で種明かしをされ、あらまあ、となる番組なのですが…。

 元々はイギリスBBCの企画を持ち込んだ番組だそうです。しかし、何かすごく既視感を覚えるなあ、と思っていたところ、これって「水戸黄門」とか「遠山の金さん」のパターンではないかと気がつきました。

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 番組の最後は「現場の皆さんのご意見をうかがうことができました、今後、経営に役立たせていただきます」とハッピーエンド風味です。でも、実際にこれをやられたらたまらんなあ、とも思います。

 学科のE先生とこの番組に着いて雑談をしていたら、「水戸黄門みたいな逆切れはないのかな」というコメントをいただきました。確かに初代の東野英治郎の頃の水戸黄門では印籠で平伏させた後、悪役が「えーい,これまでだ。やっちまえ!」と御老公たちに切り掛かり、それを助さん角さんが切り伏せて成敗するところまでが一セット、ワンパターンでした。しかし、里見浩太朗の頃になると、まずチャンバラシーンがあり、その後に印籠が出てきて「まいった」となるパターンが多かったように思います。

 この順序の変化は何なのでしょうか?。「実力」と「権威」の発動の順番の違いは、もしかしたら、その社会における位置づけや重要性の変遷を表しているのではないかとも思います。東野英治郎の頃は「最後は実力で鎮圧する」、一方、里見浩太朗の頃は「最後は権威で平伏させる」の違いではないかと、うがった見方をしてしまいそうです。

 いろいろと考えさせてくれる番組は、それだけでも良い番組のように思います。

片桐 利真

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