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講義紹介 2年前期「安全工学」(片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

 今回は2年前期に行われる授業、「安全工学」について紹介します。

 工学は人を幸せにするための学問です。したがって、その実践には「安全」への最大限の配慮を必要となります。しかし、安全はTPO(Time, Place, Occasion)により大きく異なります。日本の産業と安全を現場から支えてきた「改善提案」の不適切な適用は、1999年に東海村JCOの臨界事故を引き起こしてしまいました。安全には「情報」や「知識」だけではなく、それを現場に当てはめる「知恵」を必要とします。さらに、これからのサステイナブル社会は国際的視野での安全を求めており、それを支えるために必要な学問分野や教養の裾野は広いものです。

 この授業では、安全における倫理学、心理学、法学などの広範な教養・知識の重要性を理解し、安全を推進するための手法や技術を学び、工学部生として知っておくべき危険要因とその発見法を習得し、それを元に社会で「安全を指導する」人材に必要な基礎的な能力の獲得を目指します。

 そして、この講義を受講することにより、 社会・現場での安全指導に必要な技能の獲得を目指します。つまり、正しく状況を把握する「取材力」(危険発見・分析・評価能力)、安全に関する正しい基礎的な知識に基づく「理解力」(国際的教養と安全の専門知識)、正しく安全対策を考える「思考力」(論理的思考力)、そして、相手を考慮したうえで自分の考えを正しく伝える「表現力」(リスク・コミュニケーション能力)、の4つの能力の習得を目指し、安全に関する問題解決能力の獲得を目指します。

 

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 教科書は指定しません。プリントなどを配布します。また、毎回課される課題のために、毎回、(自分の専門外の)書籍や資料を探して読むことを求めます。覚悟してください。おおよそ課題の作成には講義に2〜3倍する時間を想定しています。

 この講義は工学部全体の学生、300人以上一度に受講するので、先生も大変です。学生さんにも講義の進行に関していろいろと負担があります。特に、無断遅刻は切り捨てられ、提出物を提出できなくなります。それにより大きな損失を被ることになります。もし鉄道遅延などでやむを得ず遅刻するときは必ず、メールなどで直前でもよいから「事前に」連絡ください。

 成績評価はもちろん絶対評価です。これは、できれば全員にSまたはAを取ってもらうためです。「実験」と「安全」の講義ではSまたはAを取ってください。これらの講義のCは就職時に会社側から能力の不安材料とされますよ。

 以下に、授業の予定を記します。

第1回:安全工学とは,工学倫理

第2回:緊急時対応、応急処置

第3回:安全の法律

第4回:安全の心理

第5回:安全対策のたて方

第6回:危険要因分析

第7回:ヒヤリハット報告書の作成

第8回:生活の中の危険

第9回:化学の安全 危険性

第10回:化学の安全 有害性

第11回:電気・電子の安全

第12回:機械の安全

第13回:情報の安全

第14回:廃棄物と排水 環境への配慮

第15回:災害から身を守る

片桐 利真

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