レイチェル・カーソン「沈黙の春」の暗黒面(片桐教授)
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1960年代初頭、WHOはキニーネとDDTでマラリアを、天然痘と同様に撲滅可能と見積もりました。実際、セイロンにおけるマラリア撲滅は年間250万人の患者を30人以下に抑えることに成功しました。 しかし、カーソンの沈黙の春とそれに共感したケネディの政策によりDDTは禁止され、数年後には元の木阿弥になりました。
全世界のマラリアの患者は毎年数億人、死者は200~300万人、その多くは幼い子供です。 この書籍の影響により、45年間に日本の人口に匹敵する「救えたはずの命」を失わさしめたのです。
彼女の書籍に記載の「天敵農薬」が沖縄のマングース騒動の問題を生んでいます。これもまた大きな間違いでした。ヤンバルクイナのような希少種がマングースにより駆逐されかけています。未だにその災厄は継続しています。DDTにより虫が死にそれにより鳥が死に沈黙の春を招くという主張は、もっと大きな災禍を人類に与え続けています。
今日でも、このカーソンの本は環境問題を訴えた記念碑的な書籍として、高く評価されており、一部の熱狂的な支持者を持ちます。
私も、環境問題を提起し知らしめたこの本の「功績」を否定しません。しかし、その上で、この本の罪、暗黒面もまた我々は忘れるべきではありません。
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