お酒を飲んでも呑まれるな(お酒は二十歳をすぎてから)(片桐教授)
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久々に帰省した息子と夕食時に「獺祭(だっさい)」(山口県)スパークリング濁り酒(1瓶360mLアルコール度数15%)をのんだら、コップ1杯(約150mL)で酔っぱらってダウンしました。疲れていたとはいえ情けないなあ、年を取ったなあ、と思ったら息子も同じ量でダウンしていました。口当たりがよく、果実酒のような甘口の日本酒で「これが日本酒?」というようなお酒でした。息子も「こんなん飲んだら、たいがいの日本酒を飲んでも美味しいと思えなくなっちゃう」と偉そうな事をもうしておりました。滅多に手に入らない上に、ネット販売ではプレミアがついて定価の4倍近い価格で売られています。もしチャンスがあったら、二十歳を過ぎてから試してみてください。
このお酒は「劇場版エヴァンゲリオン」で葛城ミサトが愛飲するお酒として有名だそうです。
日本酒は普通1.8 L = 一升で販売されています。この1.8 Lの意味は何でしょうか。エタノールの経口摂取の半数致死量(それだけ飲んだ人の約半数が志望する量)はもちろん個人差はありますが約7.2 g / Kgといわれています。体重60 Kgの人で約430 gです。
日本酒の度数は16~19%なので、2.2 L(19%とし)飲むと致死量です。1.8 Lは致死量の80%程度ですね。必ず死ぬ量ではありません。同様にウイスキーはエタノール45%です。致死量は950 mLです。ウイスキーの瓶は720 mLですから、致死量の85%です。いずれも1本では半数致死量に至りません。
もし、ウイスキーがきりよく1瓶 1 Lだったら、1瓶あけると致死量になります。酔っぱらっていて、瓶の4/5飲んだところで、「これ以上飲むのは危ない」と自制心が働くことは期待できません。多くの人が急性アルコール中毒で亡くなってしまいます。逆に、1本あけたあとに、すぐに次のボトルに手を出す人は少ないでしょう。「切りが良いこと」=お酒の瓶の容量には、意図的か習慣的なものかはおいておいても、意味があるようです。
でも、これは経口摂取(お酒を飲んだ)の場合です。アルコールの蒸気を肺から摂取した場合、もっと少量でも命に関わります。飲み慣れていない人がゲップを変に飲みこんだり、トイレで吐瀉物を吐き出した便器を抱えていると、体温で気化したアルコールを高効率で吸い込み、死に至ることがあります。
酔っぱらいをほっておいてはいけません。もし,後輩を酔いつぶしたら、ケアが必須です。へたをすると、ビール1本分のアルコールでも命を落とすことがあります。
お酒は飲ます側にも大きな責任があります。酒を飲むことでも「生命の危険」はあります。楽しくお酒を飲むための知識は重要です。
さて、「獺祭」のシリーズでは、このスパークリングのみが360 mLの小瓶で販売されています。その理由を、身をもって理解しました。やっぱり酔いやすいのでしょう。
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