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「暑い!」のは温暖化のせい?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 今週の月曜日(5月23日です)、東京都で気温は30℃を超えて5月というのに真夏日となったと言います。われわれのキャンパスがある八王子でも30℃をこえたということであまりに急に暖かく、というか暑くなったためにどんな格好をするべきなのか迷ってしまいます。

 少し暑い日がつづくと「やっぱり温暖化は問題だな」などと言いたくなりますが、年々気がつくくらいに暑くなるようでは大変な事になってしまいます。気温は常に幅をもって変化しているものですから、暑い日もあれば寒い日もある。暖かい年も寒い年もありますから、その揺らぎとしての変化をならして平均化した温度についてみなければ温暖化の有無はわかりませんよね。

 と、いうわけで気象庁のサイトから以下の図表を持ってきました。これは気象庁のホームページ、「各種データ・資料」のページにある「気温・降水量の長期変化傾向」というページから、日本における「年平均気温偏差 [℃]」のデータを示したものです。「気温偏差」とありますから、平均からのずれを表しています。ここで言う平均とは注意書きに「基準値は1981〜2010年の30年平均値」とあるように最近の平均温度ですから、今に比べて昔が涼しかったかどうか、が示されています。

 赤い線をみればわかるようにはっきりと平均気温の上昇、つまり温暖化が見て取れます。でも、もうちょっと注意してみてください。

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 横軸は100年以上の幅がとってあります。温度上昇のトレンドは100年で1.16℃。100歳まで生きても、「若い頃はもっと涼しかった…」などとはとても言えそうにありません。

 「でも5月で真夏日というのはどう考えても異常だ!」と言われるとそんな気もしますが…。

 いえいえ、今度はアメダスのデータをチェックしてみましょう。昨年(2015年)も5月から真夏日になっています。2014年、2011年、2010年、2009年…という具合で5月に真夏日がくるのは普通の事なのです。(八王子では、という点にはご注意を。例えば今回真夏日になった北海道の帯広ではこの前は2013年、もう一つ前は2001年とずっと頻度は少なくなっています。)

 日本の気象については詳細なデータがアクセスし易い形で公開されていますから、このような情報も簡単に調べることができます。なんとなく思ったことは必ず実際に調べる、少なくとも調べる努力をする、ことを心掛けておくと世の中に見え方がわかってくると思います。

江頭 靖幸

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