学生実験をみてみよう(第3期) 「蒸気圧」(江頭教授)
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本学科の学生実験を紹介するシリーズ、今回は応用化学実験の授業から「蒸気圧」の実験を紹介します。
まずは実験装置の写真を見てもらいましょう。
手前側にあるフラスコに液体が入っていて加熱されて沸騰しています。そこで発生した蒸気は冷却管で冷やされています。この構成は「学生実験をみてみよう(第2期)」で紹介した「蒸留」の実験によく似ていますね。ですが、ここでは冷却されて蒸気が凝集した液体をそのままフラスコに戻すように冷却管はフラスコの上に垂直に配置されています。さらに蒸溜の装置との大きな違いはこの装置が外気から遮断されていてポンプによって内部の圧力が大気圧より低い圧力に自由に設定できる点です。(大気圧より高いとジョイントの部分が外れてしまいます。)
圧力が下がると水の沸点が下がる、だから高い山ではご飯が生煮えになる、などという話を聞いたことがあるかも知れません。沸騰という現象は外気圧と蒸気圧が釣り合うことで液体のどの部分でも蒸発がおこる、つまり気体が発生する様になる状態ですから、ある温度で沸騰している液体の圧力をはかることで、その温度での蒸気圧を求めることができるのです。
「蒸溜」と今回の「蒸気圧」の測定装置、実はもっと大きな違いがあります。
「蒸溜」に際してフラスコに入れられていたのはエタノールと水の混合溶液でした。ですが、今回の実験では純粋なエタノールが用いられています。
蒸留の実験では液の組成が変わるにつれて沸点が変化しましたが、圧力は大気圧のままです。今回の蒸気圧の実験では組成はエタノール100%で固定、そのかわり圧力によって沸点が変わるのです。これは「相律」の簡単な例ですが、実験に当てはめて考えるとイメージし易いですよね。
おまけ:この実験、圧力測定には当初、水銀マノメーターという装置を使う予定でしたが、実際には圧力センサーに切り替えられました。装置が壊れたときの処置などを考えると、やっぱり水銀の入っている装置は使いたくないものですから。
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