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天気が悪い日、水の沸点は100℃じゃなくなる?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 「水の沸点は100℃」いえいえ、正確には「1気圧での水の沸点は100℃」ですよね。

 沸騰という現象は圧力と蒸気圧が釣り合って液体のどこの部分からも気化が起こる状態を言います。ですから圧力が低いと沸点も下がります。これを利用した装置、エバポレーターについてはこのブログ記事でも紹介しています。前回のブログ記事で大気圧の変動の実測値を示したのですが、今回のお題は大気圧の変化で水の沸点はどの程度変化するか、です。

 図は100℃近傍での水の蒸気圧の変化です。100℃でちょうど1気圧(1013hPa)、1気圧ではの沸点は100℃だ、といいうことです。グラフを逆にみて気圧の変化から温度(沸点)の変化をみると0.01気圧の変化で沸点は約0.3℃変化しています。先の記事では一週間のうちに大気圧が0.01~0.02気圧程度変化していましたから、水の沸点は0.3~0.6℃程度変化しているということになります。実生活ではほぼ気にならない数値ですが沸点を測定する実験(たとえば『学生実験をみてみよう(第2期) 番外編 実験室ライフハック「蒸留の温度測定」(江頭教授)』)では少し気になる誤差要因ですね。

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 ちなみに気圧が低い、といえば低気圧。その親玉である台風の中心圧力の記録は1961年の第二室戸台風と呼ばれる台風で、上陸時の中心気圧は925hPaだったそうです(気象庁のサイトより)。

 このとき水の沸点を計ったとしたら97.5℃になっていたはずです。ここまで来れば普通の温度計でも沸点の差がわかるでしょう。もっとも超大型台風の上陸のときに何しているの、と言われるでしょうが。

江頭 靖幸

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