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学生実験をみてみよう(第3期)「熱測定(PETボトル)」(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 本学の応用化学科の学生実験の紹介、今回は2年の向けの応用化学実験から「熱測定」を取り上げてみました。今回の測定対象は身近な化学製品のひとつ、「PETボトル」です。

 PETボトルの材料、ポリエチレンテレフタレートは熱に弱い、ガラスや金属とちがいプラスチックですからこれは常識の範囲内でしょう。では実際に熱をかけたらどうなるのか?柔らかくなって融け始めるのか、分解してガスが放出されるのか、それとも発火してしまうのか。そこまで知っているひとは少ないとおもいます。今回の実験でそれを確かめることになります。

 熱測定に使用する装置は以前このブログで高橋教授が「熱と温度と熱分析」というタイトルで紹介していた装置です。分析方法はTG-DTAといわれる方法で、対象となる物質(今回はPETボトルの切れ端です)を加熱した際の吸熱・発熱の多寡を測定するDTA、質量の変化を測定するTGとがセットで行える様になっています。

 普通の固体は加熱されると液体に、さらに加熱されると気体に、と高校の化学では習います。しかしPETの様なポリマーには「構造としては液体だが見た目は固体」という状態、極端に粘っていて固体と同様に流動が起こらない状態が存在します。これがガラス状態です。見た目が固体のPETには、本当の意味での固体(結晶状態)と見た目だけの固体(ガラス状態)の二つがあるのです。

 市販のPETボトルをサンプルとして実験を行います。

Peg

 室温から融解の始まる300℃まで温度を上げて測定は一旦終了ですが、サンプルを急速に冷却した後もう一度300℃まで加熱して変化の様子を比較します。一度融解されたあとで急速に冷却されたサンプルはガラス状態になる、これをDTAで確認するのが目的となります。

 さて、もっと温度を上げていけばPETの分解(空気中であれば酸化・燃焼)が始まるはずです。その際は当然質量の変化が起こって熱質量測定(TG)の出番となるのですが、今回の実験はそれ以前温度で終了です。質量変化が起こる、ということはPETの一部分が反応してガスとなって抜け出す、ということに対応します。そう考えると…実験室が臭うのはやっぱりいやですからね。

江頭 靖幸

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