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「安全工学」の講義 第1回安全と倫理から(2) 安全工学の使命

| 投稿者: tut_staff

2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。
このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。
安全工学の教科書[1]によりますと、安全工学は、
 安全な科学技術を提供するための基礎知識であり、その特徴は:
  1.  新規分野である
  2.  学際的総合工学
  3.  ヒューマニティを基盤にする
  4.  産業能率向上の基礎
だそうです。そして、その社会的目的は
  1.  産業従事者の生命と健康を守る
  2.  地域住民の平安と健康を守る
  3.  災害による設備、原料、製品の損失防止
であり、「人道主義と経済主義を一体として調和し、理想的な産業社会を築く」ことにあるそうです。
 以前のブログ(4月11日「理学部と工学部の違い」)でマートンのCUDOSとザイマンのPLACEという考え方を紹介しました[2] が、こうやってみると、やはり安全は「工学」であることがわかります。

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すなわち、普遍的な「真理」を追求するのではなくTPOに応じた問題の解決策を提示することを目的としています。「安全工学」は100年以上の歴史をもつものです。普遍的な安全を考える「安全学」への試みは、1999年以降に提案されていますが、まだまだ成立していません[3,4]。
 しかし、上記の安全の工学の社会的目的,特に2番目の「地域住民の平安と健康を守る」を普遍化すれば、「地球環境を損なわない、守る=人類の未来を守る」ことであり,「理想的な産業社会を築く」ことはまさしく「サステイナブル工学」の使命そのものになると、私は思います。その意味で、サステイナブル工学は「安全学」の一つの形態であり、「安全工学」を学ぶことは、サステイナブル工学の基礎や基盤を学び理解することになると思います。
 安全工学もサステイナブル工学も、全ての工学の目的は「人を幸せにすること」です。

参考

[1] 北川敬三「基本安全工学」海文堂(1982)

[2] 村上陽一郎「科学・技術と社会」ICU選書(1999)

[3] 村上陽一郎「安全学」青土社(1998)

[4] 村上陽一郎「安全学の現在」青土社(2003)

片桐 利真

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