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学生実験をみてみよう(第3期) 「ペーパークロマト」(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 このシリーズ「学生実験をみてみよう」では、本学の応用化学科で行われている学生実験を紹介してゆきます。今回は1年生向けの実験、「ペーパークロマト」です。

 ろ紙の下端を溶媒に浸すと、溶媒がろ紙を這い上がってゆく。その際、ろ紙に垂らしておいた物質が溶媒の移動とともに動く、というペーパークロマトの実験はなじみの材料でできる簡単な実験です。動く速度が物質により異なり、その違いで分離が起こります。インクを用いて実験すれば見た目も面白いので1年生の実験として最適のものですが、意外に奥深い内容が含まれています。

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 この学生実験は今年で二回目になります。最初の実験は昨年の4月。学生実験の計画から準備を行ったのはさらに前になります。

 その際、参考のために集めた学生実験のテキストの中に「ペーパークロマトによって物質が移動した距離の時間変化から拡散係数を計算する」という課題を載せたものがありました。これは明らかな間違いで、クロマトグラフィによる移動速度は移動相の速度と対象物質の吸着の強弱によって決まるものです。拡散係数が関係するとしたらスポットの広がり具合に影響がでるはずなのですが…。

 多くの大学で学生実験は「例年通り」で進められていると思われます。一旦、何かの間違いが紛れ込むと修正されることなく残り続けてしまうのでしょう。われわれの学生実験ではそんなことが起こらない様、常に改善を続けていきたいと思います。

江頭 靖幸

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