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「安全工学」の講義 第1回安全と倫理から(6) 学会の倫理規定(片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。
このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。
 
 学会はその分野のプロフェッショナルの集まりです。その倫理規定はその分野世界の住人として守るべきこと、守るべき態度を示しています。講義では日本化学会、電気学会、機械学会の倫理規定を紹介しました。
 
 日本化学会の会員行動規範[1]では
  1. 人類に対する責務
  2. 社会に対する責務
  3. 職業に対する責務
  4. 環境に対する責務
  5. 教育に対する責務
の5項目が記述されています。
電気学会の行動規範[2]には
  1. 人類と社会の安全,健康,福祉をすべてに優先するとともに,持続可能な社会の構築に貢献する。
  2. 自然環境,他者および他世代との調和を図る。
  3. 学術の発展と文化の向上に寄与する。
  4. 他者の生命,財産,名誉,プライバシーを尊重する。
  5. 他者の知的財産権と知的成果を尊重する
  6. すべての人々を思想,宗教,人種,国籍,性,年齢,障害に囚われることなく公平に扱う。
  7. プロフェッショナル意識の高揚につとめ,業務に誇りと責任を持って最善を尽くす。
  8. 技術的判断に際し,公衆や環境に害を及ぼす恐れのある要因については,その情報を時機を逸することなく,適切に公開する。
  9. 技術上の主張や判断に際しては,自己および組織の利益を優先することなく,学術的な誠実さと公正さを期する。
  10. 技術的討論の場においては,率直に他者の意見や批判を求め,それに対して誠実に対応する。
の10項目が記述されています。

Fig

 機械学会の倫理規範[3]には

  1. 技術者としての社会的責任
  2. 技術専門職としての研鑽と向上
  3. 公正な活動
  4. 法令の遵守
  5. 契約の遵守
  6. 情報の公開
  7. 利益相反の回避
  8. 公平性の確保
  9. 専門職相互の協力と尊重
  10. 研究対象,研究協力者などの保護
  11. 職務環境の整備
  12. 教育と啓発

の12項目が記述されています。

いずれの規範にも、以前にこのブログで述べた内容に矛盾しないものです。(「安全工学」の講義 第1回安全と倫理から(3) プロフェッショナルに求められるもの)(「安全工学」の講義 第1回安全と倫理から(4) ノブリスオブリジェ)。そして、どの規範でもサステイナブル社会の構築をうたっていることは,工学分野におけるサステイナブル工学の重要性を示す証左なのでしょう.

[1]日本化学会「日本化学会 会員行動規範」日本化学会(2008)http://www.chemistry.or.jp/activity/doc/kodokihan.pdf

[2] 電気学会「行動規範」(2007) http://www.iee.jp/?page_id=2313, http://www.iee.jp/?page_id=2321, http://www.iee.jp/?page_id=2325

[3] 日本機械学会「倫理規定」(1999制定、2012改訂)http://www.jsme.or.jp/notice36.htm

片桐 利真

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