学生実験をみてみよう(第3期)「反応速度」(江頭教授)
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本学科の学生実験を紹介している本シリーズ、今回は2年生向けの応用化学実験(物理化学実験)のなかから「反応速度」について紹介します。
化学反応には早い反応、遅い反応、じつに幅広い速度の変化があります。でも、非常に遅い反応は私たちの興味の対象ではありません。逆に非常に早い反応の速度を知りたいと思うことも少ないはずです。「瞬時に反応する」などと表現されて実際に速度が問題となることはないはずですから。実際に反応速度を測定するニーズが高いのは、有意な反応が起こるために数秒から数時間の時間がかかる反応だと思います。逆にこれらの反応は速度を測定し易い反応だとも言えるでしょう。
今回紹介する学生実験では二つの反応を対象としました。一つは酢酸メチルの加水分解。もう一つはp-ニトロフェニルアセテートの加水分解です。化学反応の速度を求めるには生成物や反応物の濃度を測定し、その時間変化を追跡する方法、生成物の量に対応する物性値を測定する方法がありますが、前者を酢酸メチルの反応で、後者をp-ニトロフェニルアセテートの反応で利用します。
下の写真は酢酸メチルエステルの加水分解の実験。40℃の恒温槽中で反応を起こさせています。
こちらの写真にはビュレットが写っていますが、これは酢酸メチルの分解反応で生成した酢酸を滴定で定量するためのものです。また、p-ニトロフェニルアセテートの反応は奥に見える分光光度計で吸光度を測定して反応速度を測定するのでプラスチックの光学セルの中で行います。
反応物の量の時間変化から反応速度式をもとめることができます。どちらの反応も加水分解なので水の量の変化を無視して擬一次反応として解析します。温度を変えた実験を行い、活性化エネルギーが求められれば一連の実験も終了となります。
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