「安全工学」の講義 第5回安全対策のたてかた(4) 安全対策で何を守るのか(片桐教授)
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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。
このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。
実験の事故による被害は、肉体的な被害だけではありません。肉体的被害の他に、精神的被害、経済的被害、信用被害、そして環境への被害も想定されます。被害者も加害者も負担を負わないように、安全対策を取らなければなりません。
肉体的な被害については、あえて言うまでもないでしょう。
精神的な被害は、最近PTSD(心的外傷後ストレス障害)やトラウマということばで知られるようになりました。小さくても爆発を経験すると,同じ実験を行うことを躊躇することになります。また、その事故で他人を巻き込み傷つけてしまうと、自責の念で心を病む場合もあります。
経済的な被害は、単にものを壊されてしまうだけではなく、損害賠償の形で負担を負ったり,あるいは被害者の側も損害賠償を受けられないなどの形で金銭的に困窮することがあります。
そして,信用被害。同じ失敗を繰返す者はその実験をやらせてもらえなくなります。また、大学の場合、繰り返し爆発事故などを起こすと、その大学の信用もなくなります。
また、サステイナブル工学を目指す立場としては,環境への負荷,被害も無視できません。
では、それぞれどのように対策すれば良いのでしょうか。