「安全工学」の講義 第3回安全の法律から(1) 法律の目的は? (片桐教授)
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2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。
このブログのシリーズでは、安全工学という講義の中でお話しした内容について、片桐の個人的な意見を述べていきます。
以前のブログ([2016.05.18安全への関わり方])で、世間には安全管理を専門とする方が多くいらっしゃるのに、安全を推進する方が少ない理由を、片桐なりに考察しました。あの文章を読むと、片桐は「無法者」と誤解される方もいらっしゃるかもしれません。
とんでもない!
片桐は「法の精神」を常に守りたいといつも考えています。
先の文章で批判しているのは、法令遵守を目的にしてしまうことです。法令遵守はその法令の目的を達成する手段です。
例えば、安全衛生の基盤となる法律のひとつである「労働安全衛生法」では、その第1条にその目的が明示されています。
「第一条 この法律は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)と相まつて、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。」。つまり、この法律の目的は「職場における労働者の安全と健康を確保する」「快適な職場環境の形成を促進する」ことです。その後の法律の条文はその目的達成のための手段を記載しています。
安全から脱線しますが、特許法はその法律の目的が誤解されている法律のひとつです。その第1条に明示されたその目的は、
「第一条 この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。」と書かれています。つまりこの法律の目的は「発明を奨励し、もって産業の発達に寄与すること」であり、発明(者)の保護は、その手段であるとされています。ぶっちゃけて言えば、新しい発明を公表させるため(目的)に、国が一定期間その発明権の独占を保護する(手段)、というものです。発明者の保護を目的とはしていません。特許出願から20年たてば、特許は期限が切れて、誰もがそれを使うことができるようになります。ジェネリックの医薬品は、そのような特許有効期限切れのものを、発明者以外の別の会社がまねして作って販売しているものですね。
工業や工学に関係する法律を勉強すると、その技術に対する社会の理解と姿勢が理解できます。
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