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動画「工学部 応用化学科の特徴 サステイナブル化学」の内容を紹介します(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 先日公開した本学の工学部 応用化学科の解説動画から、本学工学部の特徴である「サステイナブル工学」と化学との関係について解説した動画の内容を紹介しましょう。(動画はこちらから閲覧可能です。)
 この動画は炭化水素が燃えている様子からスタートします。

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ナレーション「ここではこの炭化水素の合成を例に、サステイナブル化学(サステイナブル工学としての応用化学)について説明します。サステイナブル化学と普通の応用化学とはどのように違うのでしょうか。」

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 「液体燃料として使えるこの炭化水素は、下図の様な装置で一酸化炭素と水素を含んだガスを反応させて合成することができます。」

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 「さらに、この原料となるガスは炭素と水蒸気を反応させて発生させることができます。」

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 「つまり、固体の炭素から炭化水素の液体燃料を造る事ができる。これは炭素という物質についての化学の知識です。
 ここに二つの炭素があります。向かって左は化石資源から作られたグラファイト、もう一つは樹木を炭化した炭です。両方とも同じ炭素ですから、同じように反応します。どちらも液体燃料の原料となり、化学の目から見て両者に違いはありません。」

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 「では、サステイナブル工学の目から見るとどうなるのでしょうか。」
 
 「化石資源から作られたグラファイト、そのグラファイトから液体燃料を作る反応は、液体燃料が使われると大気中のCO2が増えるという問題があります。これは温暖化問題の原因となっている化石燃料の利用と同じです。」

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 「一方、樹木を炭化した木炭からつくった液体燃料の場合は、木炭の中の炭素はもともと樹木が吸収した大気中のCO2から来たものなので、CO2は循環しています。これはバイオマス燃料、化石燃料にかわる再生可能エネルギーの一つであり、サステイナブルな社会造りに役立つものだと言えるでしょう。」

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 「炭素という同じ物質を原料とする反応でありながら、一方は温暖化問題を深刻にするプロセス、一方は温暖化問題を解決するプロセスとなりました。」

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 「つまり、サステイナブルな社会のための化学プロセスの開発には物質の化学的性質以外の性質、それぞれの物質の造られ方による、必要エネルギーや環境への負荷を知る必要があるのです。」

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 「本学で学ぶサステイナブル工学のカリキュラムではいろいろな物質が製造されてから廃棄されるまで、つまり生まれてから死ぬまでのライフサイクル全体での環境負荷を評価する方法を学びます。」

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 「皆さんには物質の性質や反応を応用化学の目で理解し、同時にサステイナブル工学の目でその環境負荷を見極めて、真の意味でサステイナブルな社会造りに役立つプロセスを開発できる能力を身につけて欲しいと考えています。」
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 ここでは「サステイナブル化学」を視野に入れた本学の応用化学と従来の「応用化学」の違いについて説明しました。本学科のホームページには他にも動画をはじめとするコンテンツがありますので、是非ご一覧ください。

江頭 靖幸

 

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