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「安全工学」の講義 番外編 3.11被災地の今 国道6号線(片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

2年生の選択必修の講義「安全工学」の担当の片桐です。

今回は、8月14日に福島、宮城の被災地跡を見学に行った時の、片桐の個人的な意見と感想を述べます。

 2016年8月の今も、福島県浜通の一部は「帰宅困難地域」として封鎖されています。しかし、経済的な理由から、この地域を通過する国道6号線、および常磐自動車道は通行できます。しかし、通行できるのは四輪車のみでバイクや自転車、歩行者は通行を禁止されており、自動車も窓を閉めエアコンを室内循環にして外気を取り込まないことが求められています。この国道6号線を、道の駅「よつくら港」から「南相馬」まで走ってきました。

 「SOEKS」という簡易型のガイガーカウンターを持参しました。私はこの装置を2011年から愛用しています。この装置はβ線もα線もγ線も峻別できない、おもちゃのようなもので、有効数字も1桁あるかないかでそれでもす。それでも、十分に目安になるものです。前に居住していた岡山は県北に人形峠(ウラン鉱で有名)な土地があり、ラドン温泉等もあるので、市内でも0.2μSv/h程度の自然放射線が観測されます。また、2011年秋の羽田空港では0.1μSv/hでした。その時のつくば市内で普通のところは0.1μSv/h程度、植え込みで0.2μSv/hでした。ところが2013年に国際線の飛行機の中で測定すると、3.2μSv/hもでます。脱線ですが大気は放射線から我々を守ってくれていることが分かります。

 今回、測定を開始した「よつくら港」では0.1μSv/hでした。その後、楢葉町をすぎまで、窓を少し開けて、エアコンも外気を取り入れていましたが、そこでの数値は0.2μSv/hでした。帰宅困難区域に入る富岡町のあたりから、国道6号線の測道や家々の門はバリケードで封鎖され、車はこの国道以外を一切通行できなくなります。

Fig1

Fig2

帰宅困難区域に入り、窓を閉めエアコンを内部循環にしても、福島第二原発のあたりから帰宅困難区域に入ると線量の数値は突然0.5μSv/hまで上昇しました。大熊町に入るとガイガーカウンターの数値は急上昇し、1μSv/hを超え、大熊町〜双葉町の境あたりで最大値の3.9μSv/hを示しました。車のボディを透過したのですから、おそらくγ線の値でしょう。最高値の後、急速に下がり、浪江町に入ると0.5μSv/h以下でした。道の駅「南相馬」では0.1μSv/hまでさがりました。この値は車内でも車外に出ても同じでした。以上の測定の絶対値は正確性に欠けていますが、道路の脇に設置してある線量の電光掲示板の値と、ほぼ同じでした。また、本当に危険な地域は数km程度であることを知りました。帰りの常磐自動車道も帰宅困難地域を貫通しています。そこもほぼ同程度の放射線量でした。

Fig3

 「不安」要因は残りますが、現時点での福島における帰宅困難地域の指定範囲は、おおよそ妥当ではないかと思います(http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/kokudou6gou.pdf )。そして,最高線量も飛行機の中と同じ程度であることを知りました。もちろん、これは5年目の値で、初期の放射能汚染を反映しません。また、自動車の中という閉鎖空間の値で、作用の大きなα線の影響を加味しない値です。すなわち、この結果は、実際にそこで住んだ場合の被爆線量やその影響は、もっともっと大きなものになる可能性を否定していません。

片桐 利真

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