「百万長者」ってそんなにお金持ちかな?(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
最近はあまり聞きませんが、私が子供のころには「百万長者」という言い方がありました。「百万円もお金を持っているなんて凄い!」と子供のころには素直に思っていたのですが、よく考えると「百万円程度で長者(お金持ち)かな」との疑念が。
日本人の平均給与が414万円だ、と言いますから少し頑張ればだれでも百万長者に成れてしまいます。これでは少しありがたみが足りないですね。
実のところ、この「百万長者」という言葉、英語のミリオネア(millionaire)から来ているのでしょう。有名なクイズ番組の『クイズ$ミリオネア』や、それをモチーフにした映画『スラムドッグ$ミリオネア』などで、日本でも耳慣れた言葉になっています。このmillionaireが「million」=百万という単語からできているので、「百万長者」は本来は「百万ドル長者」なのでしょう。円基準なら「約一億円長者」略して「億万長者」。「百万長者」という言葉が使われたのは1ドル360円時代なので「三億六千万長者」とすべきな気もしますが。
「一億円」となればそれなりの金額です。ただ、大卒サラリーマンの生涯賃金が2億1千万~2億6千万円(出典:労働政策研究・研修機構『ユースフル労働統計2015』)であることを考えると「一生遊んで暮らせる」金額とは言えないようです。やっぱり「三億六千万長者」ぐらいが本当の長者なのでしょう。
さて、この「millionが百万だ」という件、SIで使用する接頭辞のM(メガ)と同じで欧米の言語と日本語とでの数字の数え方の違いの一例です。
英語ではthousand(103)、million(106)、billion(109)、trillion(1012)と3桁づず新しい数を表す単語が出てきます。
SIの接頭辞も同様で、k(キロ)、M(メガ)、G(ギガ)、T(テラ)と3桁づず増えてゆきます。(もっと大きい桁についてはこの記事を見てください。)
一方で日本語では万(104)、億(108)、兆(1012)と4桁ごとに増えてゆきますから、「1millionは100万」という不細工な関係になってしまいます。12桁なら「1trillionは1兆」とスッキリした関係になりますが、これは12が3と4の公倍数だからたまたまそうなっただけです。
数値の位取りも欧米系の表記に準じていて
1,000,000,000,000
と3桁区切りになっています。日本語で読み下すには桁がずれているので面倒ですから、4桁区切りにしたらさぞかし便利だろうと思います。でもグローバル化の時代、そんなことをしたら混乱は必至なのでやめておきましょう。
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